学園のアイドルが突然「猫の後ろ宙返り、見ない?」って聞いてきた!?

赤青

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夜のQQと遠回りの理由

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月曜日の夜、終業間際。
班主任の王炀が教室に入ってくると、重々しい口調で告げた。

「二回目の模擬試験が今月末の二日間で行われます」
「今日を除けば、あと四日です。この試験は非常に重要です。皆さん、しっかり準備してください!」

チャイムが鳴り響く。
放課を喜んでいたクラスメイトたちの表情が一瞬で曇った。

熊凱はげんなりとした様子で呟いた。
「一体どこの賢い指導者が考えたスケジュールだ?連休前に模試なんて、心臓に悪いよ」

葉洲は冷静に分析した。
「普通だよ。五一節(メーデー)が高校最後の連休なんだから」
「成績を早く出して、連休中も勉強させるための策略さ」

熊凱は深くため息をついた。
「義父、今日は俺の当番だ。手伝ってくれないか?」
「いいよ。代わりに今夜は送ってくれ。明日の朝も迎えに来い」
「そんなに!? ……わかったよ」

二人は気づかなかったが、この会話は通りかかった林浅月にしっかり聞かれていた。

掃除を終え、人影のまばらな校庭を歩く二人。
自転車置き場に向かおうとした時、李年がにこやかに近づいてきた。

「葉少爺、小姐が車でお送りするとおっしゃっています」

「は?」
熊凱が驚きの目を向ける。
「おい阿洲、まさか林さんとそんな関係に……?」

「いや、俺も知らん」

熊凱は胸を張って李年に宣言した。
「おじさん、林さんの気持ちはありがたいが、俺たちの兄弟の絆を試すような真似はやめてくれ」
「マイバッハなんかより、葉洲は俺の自転車の方が──おい!阿洲!?」

気がつくと、葉洲はすでに車内に座っていた。

「すまん、兄弟の絆は心の中にある」
「俺の限界に挑戦したくなっただけだ」

「?????」

李年は面白そうに笑い、車を発進させた。
マイバッハのテールランプを見送りながら、熊凱は呆然と立ち尽くした。

「ちくしょう……」
「『葡萄美酒夜光杯、馬鹿は俺だけ』か……」

車中、林浅月は淡々と言った。
「お礼はいりません。近所ですから」

[やった!隣人作戦成功!]
[この身分を最大限活用しなくちゃ]

葉洲は内心で苦笑した。
(なるほどな……)

しかし、李年の運転ルートが明らかに遠回りしていることに気づく。
「李さん、なんで科技四路を通らないんですか?そっちの方が近いでしょう」

「あ、あちらは工事中でして……」
「でもこのルートは明らかに遠回りですよ」
「すみません、ガソリンが切れそうで……」

「近所にガソリンスタンドありますよね?」
「この車は95番ガソリンが必要でして……」

葉洲は悟った。
(全部言い訳だな)
(林浅月がわざと遠回りさせてるんだ)

彼は横の浅月を見やった。
彼女は相変わらず無表情で腕を組んでいたが──

[もう!葉洲、そんなに細かく聞かないで!]
[ただ一緒にいる時間が長くなればいいのに……]

結果、自転車なら20分の道のりが、車では30分もかかってしまった。

帰宅後、葉洲はいつも通り夕食を作り、理系総合問題集を解いた。
二模試が迫っている。手を抜くわけにはいかない。

23時半、寝支度をしているとQQの通知が届いた。
【林間浅月】からのメッセージだった。

『葉洲、明日の朝、私の車で一緒に学校に行きましょう』

(おっと、アバターも変えてる)

葉洲は返信した。
『ありがとう。でもそのネットネーム、ちょっとダサくない?』
『もっとネットを楽しんだ方が、周りと打ち解けやすいかも』

『ネットを楽しむとは?』
『ネットサーフィンって言って、情報を得たり娯楽を楽しんだりすることだよ』

『わかりました。アドバイスありがとう、↑卌除丿恛忆ㄨ』

「?」
(これって……俺をからかってる?)
(いや、俺のハンドルネームはイケてるはず……だよな?)

葉洲は「おやすみ」と返信し、シャワーを浴びてベッドに入った。

一方、林浅月はパソコンの前で一心不乱に検索していた。
「これで……もっと近づけるかな?」

彼女の瞳には、画面の光がゆらめいていた。
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