突然ねこになった俺

にーにゃ

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「にゃふ(ふーお腹いっぱい)」


「美味しかったか?」


「にゃにゃあ
(うん
食べたことがないものばかりで面白かったし、美味しかった)」


「そうか
気に入ったものはあったか?」


「にゃーにゃあ
(んー
黄色のパチパチと少し弾けたやつかな)」


あれは食べてて楽しいし、美味しい
味は胡椒をかけた肉の味だったけど、噛む度にパチパチと弾けてその後にじゅわっと肉汁があふれでてくる感じがたまらなかった
脂身が少なく何度でも食べたいと思わせる食べ物だった


「ああ、ドンレーか
俺もドンレーは好きだ」


「リュンヌはドンレーが好きなのか?
いいものを選んだな」


「そうね
ドンレーはそうそう現れないから素材があまり出回らないのよねえ
だから、この中の料理の中で一番の高級料理よ」


「にゃ!(そうなんだ!)」


それじゃあもう食べられる機会がないのかあ
もうちょっと食べとけばよかったな

ガックリと項垂れた。


「そう落ち込むな
ドンレーは俺も討伐出来るが、ランクが高い森に生息している
今のままだと危険だから、リュンがその森に適した強さになれば一緒に討伐しに行こう
それまでは肉が出回りしだい買うことにしよう」


「にゃにゃあ
(ありがとう、ベル
でも高級料理って言うくらいだから結構高いんじゃ・・)」


「いや、そこは問題ない
これでも結構稼いでいるからな」


「そうだぜー
遠慮することはねえぞ」


「そうね
ベルンちゃんがギルドの中で一番稼いでいるんじゃないかしら」


「そういうことだ
だから何も心配いらない」


「にゃあ(うん、ありがとう)」


ぽかぽかと温かい気持ちになった
日本では社会人になると自分で稼いで生きることが当たり前だ
こうやって召喚されただけなのに、温かく包んで優しくしてくれるベルたちに、兄ができたような気持ちになる

特にベルには凄く甘えてると思う
殆ど初めから
無償で甘やかしてくれるから、嫌われないようにか無意識に幼い?というか素直な?言葉で話している自分に驚いたけど、納得している
この世界で頼りになるのはベルだけだと本能で感じたのだと思った

お腹がいっぱいで心も体も満足したのか、今までの俺やベルの事を思い出しそんな事を考えた。


「ふにゃ(ふわあ)」


眠くなってきた


「眠そうだな
そろそろ帰ろうか
アンバーは食べ終わったか?」


「ワウ(おう、満足したぜ)」


「帰るのね
リュンヌちゃんに会えて嬉しかったわ
また会いましょうね」


「今日は楽しかったぜ
リュンヌ、また会おうな!」


「にゃあ
(俺も今日はありがとう
ネルとダルクに会えてよかった)」


「ネルとダルクに会えてよかった、ありがとうと」


ベルが俺の言葉を通訳しながら俺を抱き上げた。


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