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しおりを挟む「ネル、用意すべきものはあるか?」
ベルがネルに聞いた。
「そうね、特にないわ
私が趣味で集めている物でどうにかなるわね
取りに行ってくるから少し待っていてちょうだい」
「ああ、わかった」
「おい!
俺の事は完全に無視か!」
ネルが出ていった扉に向かってダルクが叫んだ。
「はあー」
ダルクがため息をつき、項垂れた。
「ピュイ?(ダルク、大丈夫?)」
「いつもの事だから気にするな
大方、ダルクが悪いのだろう」
「ピ?(そうなの?)」
「ああ、話を聞いていると大抵な
そのうちいつも通りになる」
「ピー(そっかー)」
俺らの話は聞こえていないのか、テーブルの上に顔をつけて目を閉じていた。
暫くすると、ネルが何か荷物を抱えて部屋に入ってきた。
「手伝おう」
「あら、ありがとうベルンちゃん」
ベルがネルを見た瞬間に側により、ネルの抱えている荷物を持った。
「ふー、重かったわあ」
「これで全部か?」
「ええ、全部よ」
ネルがテーブルの上に置いた荷物を見て、頷いた。
「ネル・・
あの件はすまねー
もうしねーから」
ダルクがしょんぼりという表現が似合うほど落ち込んだ顔でネルに謝った。
「・・・はあー
いいわ
その代わり、今から何をされても文句は言わないでね」
ネルは仁王立ちしながら、ダルクに言った。
「、ああ」
ネルの言葉に一瞬、眉間にしわが寄ったけど素直に頷いた。
「さて、それじゃあこれに着替えてちょうだい
何も聞かないでね
大きさは大丈夫だと思うわ」
ネルは先程の雰囲気を壊すように明るい声でベルとダルクに言い、服をそれぞれに渡した。
ベルとダルクはネルの言葉に素直に従い、服を脱ぎ始めた。
なんか、チャイナ服?みたいな服だなあ
それに女物みたいな服だ
あ、ズボンもある
チャイナ服は緑っぽい色でワンピースでスリットも入っていて、ズボンは濃い緑色で裾がストレートだった。
下を見ていた俺は見上げてみた。
ふわあ
かっこいい
ヤバい
本当にかっこよすぎ
ぽけっとベルを見ていると
「似合ってるか?」
俺を見て、微笑んだ。
「ピ、ピー
(うん、かっこいい、ヤバい)」
そんな事しか言えなかった。
「ははっ、そうか、ありがとう」
俺の言葉に嬉しそうに答えた。
その時だった、
「おい!
これなんだよ!
女物じゃねーか!」
「文句は受け付けないって言ったでしょ!
ほら、さっさとこれ履きなさいよ!
ほら!」
見ると、ダルクもベルと似たようなものを着ていた。
だけど、ズボンはなく、本当に女の人が着ているような服だった。
ネルはダルクに靴を押し付けていて、それも綺麗な模様が入った上品な靴で、ダルクは嫌そうにそれを履いていた。
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