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魔王side
しおりを挟む「つまらねぇ」
机の上に足を乗せ、椅子にもたれ掛かった。
「仕事は終わらしたのお?」
「ああ、当たり前だ」
「ウンウン、偉いねえ
そんな魔王様に少しだけ面白い報告を持ってきたよお」
「あ?なんだ?」
「最近、人族どもの動きが活発になってきたらしいよお」
「ああ?チッ、人族どもの話か
興味ねぇ」
「えーそんな事言うんだあ
でも面白そうだから適当なやつに探らせようよ」
「はあー
勝手にしろ」
「はあい!」
アベンは緩く返事をして部屋から出ていった。
それから適当に人族の国に偵察に行かせた魔族から報告が来たのは1日経った時だった。
「ねえねえ、人族どもがまた神子を召喚したんだって」
「神子?それがどうした」
「もう、ここからが面白いんだよ
なんと、3人も異世界から召喚されたらしい」
「あ?3人?」
「そう!
それにねそれにね、3人の内の1人が黒髪で黒目だったらしいよお!」
「は!?」
「ね!面白いでしょ!?
その子ってもしかしたら魔族かなあ?」
「あー、どうだろうな
だが、生きているのか?そいつ」
「あー、かろうじて生きてるらしいよお?」
「チッ、仕方がない
直接行って確かめるか」
「ねえねえ、ついでに神子も拐っちゃおうよお」
「ああ、そうだな
退屈しのぎにはなるだろう」
「くふふ、焦る人族どもかあ
楽しみだなあ」
「行くぞ」
魔王とアベンは、瞬時に人族の国の城の上空まで移動した。
「確かあ、人族の王がいるのは天辺の部屋だったよね?」
「ああ、そうだな
俺が気を引いておく」
「はあい
それじゃあ俺は黒髪の子に会ってくるねえ」
アベンが消えたのを確認すると、俺は魔法で派手に城の天辺の付近にある部屋を破壊し、その場に降り立った。
「げほっ、何事だ!!」
「騎士ども何をしている!!」
「うわあああ!!」
などと様々な声が広がった。
魔王はそんな人族どもをつまらなさそうに見て
「おい、神子はどいつだ」
「ひっ!魔王!?」
「なぜ、魔王がここに!?」
今だに狼狽えている人間どもを睨み付け
「御託はいい
神子はどいつだ」
「誰が貴様にリンを渡すか」
「ええ
リン、下がってください」
「うわあ!
お前、かっこいいな!!
名前、何て言うんだ!?
俺の名前は灰石 燐って言うんだ!!
燐って呼んでくれよな!!」
リンは魔王に駆け足で近寄り、媚を売るような目で挨拶をした。
「あ?なんだ?こいつは」
「リン!!」
「リン様!!」
「そちらに行っては危険です!!」
王子達の言葉を無視して、さらに魔王に話しかけた。
「なあ!
お前の名前は何て言うんだ!?」
「あ?誰が教えるか
近寄るな」
そう言った瞬間に、リンを吹き飛ばした。
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