魔王の番

にーにゃ

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「おい、アベン
もっと静かに扉を開けることは出来ねーのか」


バタンッと音が聞こえた後に、低くて威厳のある声が部屋の中から聞こえた。

あれが魔王か?
黒髪黒目だ


「はいはーい
それより、連れて来たよお」


アベンは魔王の言葉を無視して、ズカズカと部屋の中に入った。


「はあー、座れ」


アベンは俺を抱いたままソファーに座った。


「は?「あ?」」


「んー?
どこか痛い?」


俺と魔王の言葉にアベンは素知らぬふりをして、どこから出したのか俺の膝にブランケットをかけた。


「はあー、まあいい」


え、何もツッコまないのか!?

魔王はそんなアベンの行動を呆れたように見た後、俺を見た。


「それで、名は」


「あ、血石 太陽、、です」


「ああ、普通の話し方でいい
それで、チセキヒナタは何が聞きたい」


「あー太陽でいい
それで、魔王様?」


で合ってるのか?
真正面から改めて見るとこの人も物凄く美形だ

黒い髪に黒い瞳、久しぶりに俺以外の黒を見るからかどことなく懐かしい気がして気が緩んだ。


「ああ、」


俺の疑問に魔王は頷いた。


「ここは何処だ?」


「ここはシュヴァルツ国だ
ヒナタがいたバアル国とは別の国だ」


「そうか」


その事に心からホッとした。


「なぜ、俺を攫ったんだ?
瑠璃は?
瑠璃はここにいないのか!?」


それと同時に、瑠璃が心配になった。


「落ち着いて、ヒナちゃん」


ぎゅっと後ろから抱きしめられて、アベンから乗り出していた体の力を抜いた。


「・・ヒナタを攫ったのは黒を持っていると報告があったからだ
それから、ルリ?とは誰だ?
神子のことか?」


「っ違う!!
あんな奴の心配なんかするかよ!!」


灰石が瑠璃だと!?
あいつのせいで、俺らがどれだけ酷い目にあったか!!

怒りで内側から何かが溢れてくれる感じがした。


「っ!!?」


「!?」


「あんな奴、死ねばいいっ!
あいつのせいで俺も!瑠璃もっ!!」


今なら、あいつも、あの王子も、あいつの虜になっている奴ら全員、殺せる気がする!
いや、殺してやるっ


「っヒナちゃん!!
落ち着いてっ!!」


さっきまで俺を抱いていたアベンの声が少し遠くから聞こえる


「おい、アベン
ヒナタを受け止めろよ」


「えっ!?」


「!?」


いきなり魔王の姿が近くに見えたかと思うと、目の前が真っ暗になった。




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