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7.
リティカの元には、様々なお誘いが舞い込むようになった。
小人数のお茶会や食事会、慈善活動や、夜会のパートナーの誘いまで。
婚約者のマークスが不在の今、リティカの心変わりを狙っている。
「子爵家ということが裏目に出たか。」
父がそう言ってため息をついた。
リティカの婿になれたらバッケン子爵家に慰謝料を支払うことになるが、大金にはならない。
マークスが高位貴族であれば、リティカを奪おうとすることに躊躇する貴族の方が多かったはずだ。
相手が婚約者として関わりを怠っている場合、こちらの心変わりに非難の声はそれほどない。
今が絶好の機会なのだ。
マークスは手紙は書くが、おそらく届かないだろうと言っていた。
同じく、リティカが手紙を書いても届く可能性は低いとも。
戦地でも手紙は届く。
配給物資と共に。
しかし、配属先の手違いや、異動によってその場にいなかった場合、騎士の一人一人が今どこにいるかを調べて届け直してくれる可能性は低いのだという。
纏めて保管されていることもあるが、マークスへの嫌がらせで届かないのであれば問い質しても、郵送事故・紛失で終わる。
手紙しかお互いの連絡手段がないというのに、その手紙が届かないとなると、婚約者としての関わりを怠っていると見做されて、婚約解消を求められたらマークスは同意せざるを得なくなるのだ。
邪魔をする者があちこちにいる。
「私が他の男性に靡く気があるなら、マークスが旅立つ前に婚約を解消してました。婚姻届にサインまでしていたのに、どうして簡単に心変わりをすると思えるのかわかりません。」
「だが、好意を抱くきっかけというのはちょっとしたことだろう?お前がマークスに好感を抱いたのも危ないところを助けてもらったことがきっかけだ。マークスにとって、あれは職務だったのに。
あの時助けたのが自分だったらリティカの隣にいるのは自分だったかもしれないと頭をよぎる者はいるだろうな。」
「……もう危険な目にはあいたくありませんが、もしまたそんなことがあれば助けてくれた方の自作自演なのでしょうね。」
襲う役目の者とリティカを助ける者はグルに違いない。
それでは好意を抱くどころか軽蔑すると思う。
マークスは狙ってリティカを助けたわけではなかった。
助けてくれた後も、他の騎士たちがリティカに気づいてアピールする中、マークスはテキパキとその場の処理をしていたから。
ただ助けてくれたからと彼を選んだわけではない。
ちゃんと考えたつもりだった。
「マークスが戻って来るまで、屋敷に籠っていたいわ。」
しかし、そういうわけにはいかない。
姿を見せなければ、何かあったのではないかと憶測が飛び交う。
それが事実のように噂になるのが社交界であり、あっという間に評判を落とすことになるのだから。
感想
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