こっそりと仕返してから、公認で愛人持ちますね。

しゃーりん

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結婚して6か月、妊娠がわかって4か月。
キアラはとても幸せだった。


夫であるチャールズが知らない女性と街でイチャついているのを見るまでは。


「レナード。」

「はい。」

「アレの後をつけて。」

「かしこまりました。」


レナードはキアラが実家の伯爵家から連れてきた従者兼護衛。
キアラに忠実で何でもこなす。
アレに気配を悟られることなどあり得ない。


夫であるチャールズの名前をもう呼びたくない。アレでいい。




悪阻が落ち着いてきたので気分転換に出掛けたら、愛を誓い合った夫の見たくない姿を見てしまった。

結婚してたった半年で愛は冷めてしまったのか。
それとも、キアラが今まで気づかなかっただけなのか。


屋敷に戻り、必要な薬草をすり潰す。

ゴリゴリゴリ………

ジュースに溶かして魔力を込める。

自白剤の出来上がり!



チャールズの執務室に向かい、扉をノックした。


「はい?」

「キアラです。入っていいかしら?」

「え……あの……」


扉を開けたのはチャールズの侍従であるクルス。


「あら。チャールズはいらっしゃらないの?」

「え、ええ。少し用ができまして。夕方には戻りますが。」

「そう。残念ね。じゃあ、あなたが一緒にこのジュースを飲んでくれないかしら?
 せっかく持ってきたからもったいないわ。」

「ありがとうございます。いただきます。」


キアラの侍女が差し出したジュースをクルスはソファに座って口にした。
その前にキアラも座りジュースを飲む。

もちろん、自白剤入りはクルスのジュースだけ。
クルスが座ったまま目を閉じた。眠っているのではない。薬が効いたのだ。


「主人はどこに行ったの?」

「チャールズ様は、今日はミンカとの約束で街に行っています。」

「そう。主人の遊び相手は何人いるのかしら?」

「今は3人ほどです。たまに昔の相手とも遊ぶみたいですが。」

「そう。学生時代から女遊びを続けているのかしら?私と結婚してからも。」

「はい、そうです。キアラ様との婚約が決まり、閨事に興味が出ました。
 まず娼館の娼婦にハマり、それから酒場で男を探す女性にハマりました。
 結婚してからは夜に出掛けにくくなったので、昼間に約束しています。」

「貴族令嬢ではなくて平民?」

「はい。チャールズ様も身分を隠しています。」

「私と離婚したいのかしら。」

「そうではありません。ですが、慣れていないキアラ様との閨事はつまらないそうです。
 それに、すぐに妊娠してしまって今は抱けないので外で楽しんでいます。」

「私とはつまらないのね。」

「はい。チャールズ様は激しい交わりを好むそうです。
 攻めて攻められて絞り取られるような……
 いつかキアラ様にも仕込みたいと言っておられました。」

「わかったわ。ありがとう。」


侍女にグラスを回収させ、部屋を出た。

クルスは私との会話を覚えていられない。
自白剤は10分ほどの効き目で、話した内容は覚えていないのだ。


キアラは魔女の末裔。
母も魔女である。
通常は一子相伝で様々な秘薬の作り方を伝授する。
だが、キアラは双子だった。
姉であるカイラと共に魔女の素質があることがわかり、一緒に教わったのだ。

姉のカイラは実家の伯爵家を継ぐ。
キアラはチャールズの婚約者になり、この侯爵家に嫁いだ。

キアラは夫を愛していたし、夫から愛されていると思っていた。


幸せを感じていた日々は、終わりを告げた。




  
 
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