こっそりと仕返してから、公認で愛人持ちますね。

しゃーりん

文字の大きさ
1 / 10

1.

しおりを挟む
 

結婚して6か月、妊娠がわかって4か月。
キアラはとても幸せだった。


夫であるチャールズが知らない女性と街でイチャついているのを見るまでは。


「レナード。」

「はい。」

「アレの後をつけて。」

「かしこまりました。」


レナードはキアラが実家の伯爵家から連れてきた従者兼護衛。
キアラに忠実で何でもこなす。
アレに気配を悟られることなどあり得ない。


夫であるチャールズの名前をもう呼びたくない。アレでいい。




悪阻が落ち着いてきたので気分転換に出掛けたら、愛を誓い合った夫の見たくない姿を見てしまった。

結婚してたった半年で愛は冷めてしまったのか。
それとも、キアラが今まで気づかなかっただけなのか。


屋敷に戻り、必要な薬草をすり潰す。

ゴリゴリゴリ………

ジュースに溶かして魔力を込める。

自白剤の出来上がり!



チャールズの執務室に向かい、扉をノックした。


「はい?」

「キアラです。入っていいかしら?」

「え……あの……」


扉を開けたのはチャールズの侍従であるクルス。


「あら。チャールズはいらっしゃらないの?」

「え、ええ。少し用ができまして。夕方には戻りますが。」

「そう。残念ね。じゃあ、あなたが一緒にこのジュースを飲んでくれないかしら?
 せっかく持ってきたからもったいないわ。」

「ありがとうございます。いただきます。」


キアラの侍女が差し出したジュースをクルスはソファに座って口にした。
その前にキアラも座りジュースを飲む。

もちろん、自白剤入りはクルスのジュースだけ。
クルスが座ったまま目を閉じた。眠っているのではない。薬が効いたのだ。


「主人はどこに行ったの?」

「チャールズ様は、今日はミンカとの約束で街に行っています。」

「そう。主人の遊び相手は何人いるのかしら?」

「今は3人ほどです。たまに昔の相手とも遊ぶみたいですが。」

「そう。学生時代から女遊びを続けているのかしら?私と結婚してからも。」

「はい、そうです。キアラ様との婚約が決まり、閨事に興味が出ました。
 まず娼館の娼婦にハマり、それから酒場で男を探す女性にハマりました。
 結婚してからは夜に出掛けにくくなったので、昼間に約束しています。」

「貴族令嬢ではなくて平民?」

「はい。チャールズ様も身分を隠しています。」

「私と離婚したいのかしら。」

「そうではありません。ですが、慣れていないキアラ様との閨事はつまらないそうです。
 それに、すぐに妊娠してしまって今は抱けないので外で楽しんでいます。」

「私とはつまらないのね。」

「はい。チャールズ様は激しい交わりを好むそうです。
 攻めて攻められて絞り取られるような……
 いつかキアラ様にも仕込みたいと言っておられました。」

「わかったわ。ありがとう。」


侍女にグラスを回収させ、部屋を出た。

クルスは私との会話を覚えていられない。
自白剤は10分ほどの効き目で、話した内容は覚えていないのだ。


キアラは魔女の末裔。
母も魔女である。
通常は一子相伝で様々な秘薬の作り方を伝授する。
だが、キアラは双子だった。
姉であるカイラと共に魔女の素質があることがわかり、一緒に教わったのだ。

姉のカイラは実家の伯爵家を継ぐ。
キアラはチャールズの婚約者になり、この侯爵家に嫁いだ。

キアラは夫を愛していたし、夫から愛されていると思っていた。


幸せを感じていた日々は、終わりを告げた。




  
 
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

皇后陛下は愛に生きない

下菊みこと
恋愛
愛をぐっと堪えて、まず国に尽くすだけ尽くしてみたお話。 元サヤというか、仲直りします。 ざまぁはありません。 ご都合主義のハッピーエンドのSSです。 小説家になろう様でも投稿しています。

公爵令嬢は運命の相手を間違える

あおくん
恋愛
エリーナ公爵令嬢は、幼い頃に決められた婚約者であるアルベルト王子殿下と仲睦まじく過ごしていた。 だが、学園へ通うようになるとアルベルト王子に一人の令嬢が近づくようになる。 アルベルト王子を誑し込もうとする令嬢と、そんな令嬢を許すアルベルト王子にエリーナは自分の心が離れていくのを感じた。 だがエリーナは既に次期王妃の座が確約している状態。 今更婚約を解消することなど出来るはずもなく、そんなエリーナは女に現を抜かすアルベルト王子の代わりに帝王学を学び始める。 そんなエリーナの前に一人の男性が現れた。 そんな感じのお話です。

【完結】美しい家庭教師を女主人にはしません、私は短剣をその女に向けたわ。

BBやっこ
恋愛
私は結婚している。子供は息子と娘がいる。 夫は、軍の上層部で高級取りだ。こう羅列すると幸せの自慢のようだ。実際、恋愛結婚で情熱的に始まった結婚生活。幸せだった。もう過去形。 家では、子供たちが家庭教師から勉強を習っている。夫はその若い美しい家庭教師に心を奪われている。 私は、もうここでは無価値になっていた。

【完結】離縁など、とんでもない?じゃあこれ食べてみて。

BBやっこ
恋愛
サリー・シュチュワートは良縁にめぐまれ、結婚した。婚家でも温かく迎えられ、幸せな生活を送ると思えたが。 何のこれ?「旦那様からの指示です」「奥様からこのメニューをこなすように、と。」「大旦那様が苦言を」 何なの?文句が多すぎる!けど慣れ様としたのよ…。でも。

【完結】さようなら、私の初恋

蛇姫
恋愛
天真爛漫で純粋無垢な彼女を愛していると云った貴方 どうか安らかに 【読んでくださって誠に有難うございます】

その結婚、承服致しかねます

チャイムン
恋愛
結婚が五か月後に迫ったアイラは、婚約者のグレイグ・ウォーラー伯爵令息から一方的に婚約解消を求められた。 理由はグレイグが「真実の愛をみつけた」から。 グレイグは彼の妹の侍女フィルとの結婚を望んでいた。 誰もがゲレイグとフィルの結婚に難色を示す。 アイラの未来は、フィルの気持ちは…

貴方の理想には沿えません~侍女イルゼの奮闘記

藍田ひびき
恋愛
フィリーネ・ノルデン子爵令嬢は、初恋相手であるアルベルト・グラーツ伯爵令息と婚約していた。だがアルベルトは「君のため」と称して彼女へ身勝手な言葉をぶつけるばかり。周囲は婚約を見直すよう進言するものの、アルベルトを慕うフィリーネは首を縦に振らない。 そんな主の苦しみを見兼ねた侍女イルゼは、フィリーネを救うべく婚約解消へ向けて動き出す――。 ※ なろうにも投稿しています。

侯爵様の懺悔

宇野 肇
恋愛
 女好きの侯爵様は一年ごとにうら若き貴族の女性を妻に迎えている。  そのどれもが困窮した家へ援助する条件で迫るという手法で、実際に縁づいてから領地経営も上手く回っていくため誰も苦言を呈せない。  侯爵様は一年ごとにとっかえひっかえするだけで、侯爵様は決して貴族法に違反する行為はしていないからだ。  その上、離縁をする際にも夫人となった女性の希望を可能な限り聞いたうえで、新たな縁を取り持ったり、寄付金とともに修道院へ出家させたりするそうなのだ。  おかげで不気味がっているのは娘を差し出さねばならない困窮した貴族の家々ばかりで、平民たちは呑気にも次に来る奥さんは何を希望して次の場所へ行くのか賭けるほどだった。  ――では、侯爵様の次の奥様は一体誰になるのだろうか。

処理中です...