こっそりと仕返してから、公認で愛人持ちますね。

しゃーりん

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キアラは外出先から戻った途端、チャールズに問い質された。


「キアラ、君は外出で……あの部屋で何をしているんだ?」


あら。跡をつけたのね。
出かけなくなって真面目に仕事をしているのかと思えば、妻の行動を疑い始めたなんて。
ま、いずれバラすつもりだったしいいわ。


「何って、そうねぇ。一般的には不貞、というものかしら。」

「なっ!レナードとか?僕との閨事を断っておいてどういうつもりだ!」

「どういうつもりも、あなたには沢山の女性がいたじゃない。
 私はレナード一人だけよ?
 あなたとの閨事を断ったのは病気を移されたら嫌だって言うのと、私より他の女性を選んだから。」

「今は誰とも遊んでいない!」


遊べないんでしょ?


「それは不能になったからでしょ?元に戻れば遊ぶじゃない。」

「そんなつもりはもうない!治ればキアラ一筋になる。」


勘弁してよ。私ひとりじゃ満足できないって言ったのはあなたなのに。


「私はご免だわ。
 私の相手はつまらないのでしょう?レナードはそんなことは言わない。
 彼は私をとても大切に抱いてくれるわ。知らなかった快感も教えてくれた。
 私の体はレナードを求めているの。
 不能が治ったとしても、あなたと閨を共にしたくないわ。」

「っだが、妻が不貞をするなんて離婚されても文句は言えないぞ!」


そうよねぇ。理不尽よねぇ。夫の浮気は許されるのに、どうしてかしら。


「どうして?契約したじゃない。
 『妊娠しなければ浮気は認める。妊娠したとしても侯爵家の子だと認知しない。』
 つまり、あなただけでなく私の浮気も認められているの。
 もし、レナードの子供を妊娠したら、実家の養子にしてもらうわ。
 あなたの子供じゃないから侯爵家に認知してもらうわけにはいかないもの。」


私も浮気をできるということと、妊娠したら侯爵家の籍ではなくて実家の養子にしてもらう。
この2つの仕掛けがわからず契約したのはあなたなんだから。
魔女の魔力を継げるかもしれない女の子を産むのは魔女の宿命。
実家も喜んで引き取ってくれるわ。


「そんなの、詭弁だ!」

「詭弁じゃないわ。あれは正式な契約書なんだから。
 あなたと私、どちらにも通用する文言よ。
 それに、あなたが不能のままならルイン以外の子供を作ることすら不可能。
 私と離婚して再婚するの?不能なのに?社交界に不能を知られたいの?
 私は別に離婚しても構わないわよ?
 離婚したらレナードと結婚して子供を産めるし。でもルインには時々会わせてね。」


離婚すれば、ルインと会えなくなる。
離婚しなければ、この先に産むであろう娘と会えなくなる。
魔女となる娘を産むためには、この2択になってしまう。


「不能、不能と連呼するな!
 もしお前が妊娠したら、両親が僕の子供だと勘違いするぞ?不貞がバレてもいいのか?」

「構わないわ。経緯を説明するし、契約書もあるし。
 なんなら、夫が不能になったので侍従に体を慰めてもらっていますって私が言ってもいいわよ。
 妊娠してなくても事実なんだから。」


チャールズは何か言いたいようだけど、口をパクパクして言葉にならないみたい。
やがて、白目を向いて倒れてしまった。

あらら。 

どうやら正気を失ってしまったチャールズとは離婚話どころではなくなってしまった。



 
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