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しおりを挟むヴィクトル様だけじゃない。ケンドル様もラースさんも、もちろんドーソンも。
みんな笑顔で私の答えを待っている。
「ええっと。ヴィクトル様って婚約者がいらっしゃらなかったのですか?
てっきりおられると思っていたので。」
「以前はいたんだけどね、解消したんだ。考えが合わなくてね。」
なぜか遠い目をして疲れた表情をしている。どんな相手だったの???
「そうですか。ヴィクトル様は私との結婚をどう思いますか?」
「元々ね、ドーソンの従妹が相手っていうのは聞いていたんだ。男爵令嬢ってのもね。
会ってから断ってもいいからって。だからここに付いてきた。
他の家にも声をかけたら君の婚約者になりたい貴族家はたくさんいると思う。
知らないだろうけど、君の家の薬草に助けられた者は少なくないんだよ?
数が少ないし見つけるのが大変で、昔は助からない病だったから。
今でも定期的に流行る病だし。
ぜひとも窓口になりたいと思うよね。
でも、それだけで結婚するのは嫌でね。
政略結婚でも、今度は気が合う人と婚約したいと思っていたんだ。
ホリー嬢とは仲良くなれたと思うんだけど、僕じゃダメかな?」
いや、だから子犬のような可愛い顔でお願いしないで?
「ホリーの家があの薬草を栽培しているって知っているのはうちの国でも多くない。
隣国でも王家とケンドルの公爵家、ヴィクトルの伯爵家とあと数家だな。
ヴィクトルに政略結婚の話が行ったのは、婚約者がいないこととケンドルの従兄弟だから。
まずは信頼のおけるところから打診していくからな。
ホリーはもうこの国の貴族と結婚もし難いだろう?だからどうかな?」
頷くように圧力かけられてる気がするけど?その前に確認しておこう。
「私が隣国であの薬草を育てることは無理ですよ?絶対に。株分けしたとしても。
それはご理解いただいていますか?」
「ああ。どんな秘密があるのかは知らないけど、土や水が同じでも育たないって聞いてる。
薬草はキッカケだよ。
ホリー嬢との婚約は気が合うかどうかが僕は重視してるからね。」
あぁ、またニコニコしてる。この笑顔の裏に腹黒が隠れていたらどうしよう?
「僕の婚約者になると、男爵令嬢でも嫌がらせはされないはずだよ?
僕が婚約を認めた相手ってことはケンドルも認めたってことになるからね。
僕がなかなか婚約しないから、ケンドルが認めないと婚約出来ないって何故か思われていて。
公爵令息が認めた相手にケチつけられることはないから。」
ダメ押しが来たぁ~ナニコレ?考える時間もくれないってこと?もう圧に耐えられない……
「わかりました。よろしくお願いします。」
男4人はすごくいい笑顔。私は引きつった笑顔になっていると思う…
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