売られた先は潔癖侯爵とその弟でした

しゃーりん

文字の大きさ
7 / 26

7.

しおりを挟む
 
 
「子供をつくれない?」

「そう。12歳の頃、大人がかかると子種が死滅する恐れがあるという病にかかった。
 微妙な歳だった。
 早めに気づくと薬が効くけど気づくのが遅かった。
 大丈夫だろうと楽観視していたけど、数年後に調べたんだ。
 何回かに分けて子種を調べた。結果、子種は生きていなかった。
 回復することはない。だから、結婚する気はないんだ。」
 
「…辛いことを聞いてしまってごめんなさい。」

「いいんだよ。疑問は最もなことだからね。だから、兄の子種が必要なんだ。
 だけど、昨日の形に辿り着くまでが大変だったんだ。」


苦労を思い出すようにニコラスがその経緯を語った。

「まず、兄に射精してもらえばなんとかなると思ったが勃起しなかった。
 射精ってわかる?精を出すことね。
 勃起というのは昨日の俺のコレ見たでしょ?あの状態。
 兄は性的なことを避けてたからね。

 薬に詳しい兄の友人にお願いして媚薬を用意してもらった。
 弱いものから試して、兄に合うものを探した。
 同時に、兄は女性には触れられないからあの張り形を加工した。
 でも、勃起してもなかなか射精できなかった。
 いろいろ状況も変えて試した。
 媚薬だからやっぱり興奮が必要じゃないか?って。心と体は別と割り切って。
 娼館に協力してもらったんだ。他人の行為を覗けないか。顔は隠してね。
 そうしたら覗かれたい客が一定数いるらしく、専門の部屋があった。
 そうして、媚薬を飲んだ上で音や声、淫靡な雰囲気の中で射精できることがわかったんだ。」

というわけで昨日の状況になったそうだ。確かに大変だったようだ。


しかし、その説明を聞き、新たな疑問を私は感じた。

「では、別の方の行為を覗いて出された子種を私に入れればよかったのでは?」

「…もう気づいちゃった?やっぱり頭がいいね?」


渋々、ニコラスは言い訳?を語り始めた。

エドワードは侯爵家の後継のために、結婚しなければならない。
しかし、潔癖であることは知れ渡っているために候補の釣書さえ来ない。
褒められた手段ではないが、金と引き換えが一番有効であろう。
伯爵・子爵家の中で金に困っていて年齢的につり合う令嬢がいるところを探した。
その中で、親がギャンブルや酒に溺れているところを省いた。
そういう貴族は金を渡しても領民のために使わない。娯楽に金をやる気はない。
そして、候補が3貴族になった。

一方で、妻となる令嬢には、この子作り方法を了承してもらわなければならない。
契約の時に伝えてしまえば断られると面倒なことになる。
迂闊に酒に酔った勢いなどで言いふらされては困るから。
だから、婚姻届を出してしまってから説明することになった。

養子を取るのではないかと思われている侯爵家に嫁ぐのだ。
潔癖な侯爵との夫婦生活はないだろうと思っているはずだ。
だから、子種が入った張り形を入れて懐妊を願っても従うのでは?と思った。

しかし、令嬢の人柄も調査が必要だった。
婚姻後に浪費が激しくなるのは多少は仕方ないだろう。今まで不自由な生活だっただろうから。
おしゃべりや噂好きも困る。黙っていられないだろうから。
浮気や愛人は認められない。侯爵家の子供を産んでから発覚した場合は離婚だ。

実は、金に困っている貴族や令嬢の年齢を調べたのもギャンブル癖などを調べたのもエドワードの友人たちである。
王太子、宰相の息子、調査部門にいる友人たちが手伝ってくれていた。
薬に詳しい医師兼薬師の友人は媚薬でお世話になったが、調査に関しては見物していた。

そして、令嬢の調査を始める時、王宮侍女の面接に来ている中に対象者が一人いると聞いた。
調査している兄の友人と覗きに行くとルビーナを指さされた。
一目見て『この子がいい』と思った。俺の嫁じゃなくて兄の嫁なんだけど。
そう伝えても全員調査すると言われた。当たり前だけど。

他の候補の令嬢も見に行った。でもやっぱりルビーナが良かった。
ニコラスも一緒に暮らすんだ。苦手なタイプと生活を共にして疲れるのは嫌だった。
調査結果、ルビーナが有力候補になった。一番若かったし。

宰相の息子が父に経緯を説明し、由緒正しい侯爵家の後継のためにひと肌ぬいでくれた。
こうして宰相から伯爵家に援助とルビーナとエドワードの縁組が伝えられた。
宰相からだったのは、エドワードが直接言うより圧力と信用を感じるであろうから。

というのがルビーナが選ばれた経緯だとニコラスは語った。



…なるほど。ん?論点がずれていない?



 
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

【10話完結】 忘れ薬 〜忘れた筈のあの人は全身全霊をかけて私を取り戻しにきた〜

紬あおい
恋愛
愛する人のことを忘れられる薬。 絶望の中、それを口にしたセナ。 セナが目が覚めた時、愛する皇太子テオベルトのことだけを忘れていた。 記憶は失っても、心はあなたを忘れない、離したくない。 そして、あなたも私を求めていた。

離婚を望む悪女は、冷酷夫の執愛から逃げられない

柴田はつみ
恋愛
目が覚めた瞬間、そこは自分が読み終えたばかりの恋愛小説の世界だった——しかも転生したのは、後に夫カルロスに殺される悪女・アイリス。 バッドエンドを避けるため、アイリスは結婚早々に離婚を申し出る。だが、冷たく突き放すカルロスの真意は読めず、街では彼と寄り添う美貌の令嬢カミラの姿が頻繁に目撃され、噂は瞬く間に広まる。 カミラは男心を弄ぶ意地悪な女。わざと二人の関係を深い仲であるかのように吹聴し、アイリスの心をかき乱す。 そんな中、幼馴染クリスが現れ、アイリスを庇い続ける。だがその優しさは、カルロスの嫉妬と誤解を一層深めていき……。 愛しているのに素直になれない夫と、彼を信じられない妻。三角関係が燃え上がる中、アイリスは自分の運命を書き換えるため、最後の選択を迫られる。

【完結】 愛されない私と隠れ家の妖精

紬あおい
恋愛
初恋は心に秘めたまま叶わず、結婚した人まで妹を愛していた。 誰にも愛されないと悟った私の心の拠りどころは、公爵邸の敷地の片隅にある小さな隠れ家だった。 普段は次期公爵の妻として、隠れ家で過ごす時は一人の人間として。 心のバランスを保つ為に必要だった。 唯一の友達だった妖精が、全てを明かした時、未来が開ける。

【完結】旦那様!単身赴任だけは勘弁して下さい!

たまこ
恋愛
 エミリーの大好きな夫、アランは王宮騎士団の副団長。ある日、栄転の為に辺境へ異動することになり、エミリーはてっきり夫婦で引っ越すものだと思い込み、いそいそと荷造りを始める。  だが、アランの部下に「副団長は単身赴任すると言っていた」と聞き、エミリーは呆然としてしまう。アランが大好きで離れたくないエミリーが取った行動とは。

「離婚しよう」と軽く言われ了承した。わたくしはいいけど、アナタ、どうなると思っていたの?

あとさん♪
恋愛
突然、王都からお戻りになったダンナ様が、午後のお茶を楽しんでいたわたくしの目の前に座って、こう申しましたのよ、『離婚しよう』と。 閣下。こういう理由でわたくしの結婚生活は終わりましたの。 そう、ぶちまけた。 もしかしたら別れた男のあれこれを話すなんて、サイテーな女の所業かもしれない。 でも、もう良妻になる気は無い。どうでもいいとばかりに投げやりになっていた。 そんなヤサぐれモードだったわたくしの話をじっと聞いて下さった侯爵閣下。 わたくし、あなたの後添いになってもいいのでしょうか? ※前・中・後編。番外編は緩やかなR18(4話)。(本編より長い番外編って……orz) ※なんちゃって異世界。 ※「恋愛」と「ざまぁ」の相性が、実は悪いという話をきいて挑戦してみた。ざまぁは後編に。 ※この話は小説家になろうにも掲載しております。

愛しい人、あなたは王女様と幸せになってください

無憂
恋愛
クロエの婚約者は銀の髪の美貌の騎士リュシアン。彼はレティシア王女とは幼馴染で、今は護衛騎士だ。二人は愛し合い、クロエは二人を引き裂くお邪魔虫だと噂されている。王女のそばを離れないリュシアンとは、ここ数年、ろくな会話もない。愛されない日々に疲れたクロエは、婚約を破棄することを決意し、リュシアンに通告したのだが――

唯一の味方だった婚約者に裏切られ失意の底で顔も知らぬ相手に身を任せた結果溺愛されました

ララ
恋愛
侯爵家の嫡女として生まれた私は恵まれていた。優しい両親や信頼できる使用人、領民たちに囲まれて。 けれどその幸せは唐突に終わる。 両親が死んでから何もかもが変わってしまった。 叔父を名乗る家族に騙され、奪われた。 今では使用人以下の生活を強いられている。そんな中で唯一の味方だった婚約者にまで裏切られる。 どうして?ーーどうしてこんなことに‥‥?? もう嫌ーー

最強魔術師の歪んだ初恋

黒瀬るい
恋愛
伯爵家の養子であるアリスは親戚のおじさまが大好きだ。 けれどアリスに妹が産まれ、アリスは虐げれるようになる。そのまま成長したアリスは、男爵家のおじさんの元に嫁ぐことになるが、初夜で破瓜の血が流れず……?

処理中です...