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しおりを挟む昨日の夜会の疲れを、双子がコロコロ寝返りする姿を見て癒す。
転がることで見え方が変わり、うつぶせで顔を上げた時に目が合うと手足をバタつかせて笑う。
左右どちらにも転がるルーカスと、左にしか転がれないために左に何かあると元に戻れないステラ。
右側から声をかけ、手足を寝返りしやすいように傾けてやる。転がった。
可愛いなぁ。あと数か月でお座りができるようになり、その後は這うようになる。
1歳を過ぎると歩く子が多いそうだ。
自分が子供だった頃のことは何も覚えていない。双子もそうなるだろう。
こんなに可愛いのになぁ。これは親の特権なのね。
気づくとソファにエドワードとニコラスが座っていた。いつの間に…
「俺たちも双子の姿に癒されて見てたんだ。転がるだけで笑えるってすごいよね。」
双子が?私たちが?どっちもね。
「昨日の夜会で微笑み?を保つために頑張ったせいか、頬が筋肉痛みたいです。」
「夜会の次の日は肩が凝って仕事にならない。人の多さで避けることに意識が持っていかれるんだ。
昨日は普段よりも人の距離が近く感じたし、潔癖症が治ったか聞く者もいたな。」
うんざりしたようだ。
「次は即位式でいいね。あれだけ周知できたら十分だよ。とどめが公爵とのダンスだね。」
即位式にはダンスはない。よかった。
アクア様を侯爵邸にお呼びしたのは夜会から10日後だった。
イアン様の奥様のルネ様もご一緒です。
サンルームの一角においた敷物の上で双子が転がっている。
アクア様とルネ様は入ってくるなり夢中になって双子を見ている。
「可愛いわぁ。懐かしい。」
「本当に。似てないようで似てるわね。でも侯爵兄弟似ね?」
「そうなんです。でもステラの目が以前よりもパッチリしてきて、そこだけ私に似るかも?」
「それいいわね~。パッチリお目目のステラちゃん、うちの子の嫁にどう?」
「とんでもないです。公爵家に嫁げる教育は無理です。」
侯爵邸にはほとんど他人は入れない。侯爵が許可した知人のみである。
双子は誰が教育するのかな?要相談だね。
「そう?ちょっと歳も離れてるし…残念ね。でも、そろそろうちの子も婚約者を考えないとね。」
アクア様のお子様は7歳の男の子と5歳の女の子。
ルネ様のお子様は5歳の男の子。
高位貴族は婚約者が決まるのが比較的早い。
双子は顔を向き合って寝始めた。転がって疲れたね。
お茶を飲みながら、先日の夜会の話になった。
「ほとんどの貴族はあなたの顔を知らなかったみたいよ。
でも、あなたの母を知っている夫人は、よく似ているって言ってたみたい。」
確かに母似ですね。
「ルビーナ様は化粧映えするのね。ちゃんとメイクをしたら美人だったわ。
でも今の可愛いあなたが和んでいいのよね。」
「そう。可愛いは貴重よ。可愛いが美人になれるって羨ましいわ。
私が可愛いと言われたのは5歳くらいまでじゃないかしら。
いつの間にか『将来は美人ね』と言われて育ったもの。
嬉しいことではあるのだけれど、可愛いがよかったの。
でも可愛いものが似合わない子だったのは自分でもわかってたわ…」
なるほど。アクア様は可愛いに憧れていたのですね。
「あなたたちが帰った後、子供が既にいることが噂になったの。
結婚したことなど通り越して、そっちの方が驚かれてたわ。
言いたい放題よ。眠っている侯爵を襲ったとか手足を縛ったとか一瞬だけ我慢したとか。
あの方法が知れ渡るまでは謎の一つになりそうね。」
「お金で買ったというのは政略結婚にはよくあることだから、意外と批判は少ないわ。
いい縁談があったものだと言う人もいたくらいよ。」
「よくあることだもの。
私はイアンと結婚するのを親に反対されたの。
父が可愛がってる妹のためにそれこそ売られそうだったわ。好色老人にね。
イアンは医師を目指してたから貧乏だと馬鹿にしたわ。
侯爵令息でも後継じゃないからってね。
王太子様が『結婚式はいつだ?いつか主治医になってくれるのを楽しみにしている』
と人前で言ってくれたお陰で父は私を老人に売れなくなったの。
すぐに結婚したわ。父から逃げたの。
イアンは王宮医師として薬師としても成果をあげて伯爵位をもらったの。」
…貧乏でも親には恵まれたと思えた。
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