売られた先は潔癖侯爵とその弟でした

しゃーりん

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双子はスクスク育っている。歩き出し、話し出し、走り出す。 
ルーカスが兄だけど、兄として育てているわけではない。体格に差もない。
それなのに、ルーカスはステラをいつも手を差し伸べて守ってる。そんな風に思える。
 
「ルーカスにはステラが頼りなく見えるのかしら?」

「ステラはしっかりしてるよね?自分の思ってることを主張するよ?」

「そうよねぇ。じゃあ、あの歳でルーカスは紳士すぎない?」 
 
「エスコートのマネなのかな?兄上の顔でニコニコ笑顔がかわいいなぁ。」

「……ルーカスの中身はニック似だぞ。ステラは目以外はお前似だが中身はルビーナだ。 
 二人で遊んでるときは立場が逆になる。ルーカスはステラに甘えてるよ。
 完全にお前たちのマネだよ。よく見てるよ。双子は。」

なるほど。そう言われればそう見える。

双子はお利口だと思う。父親に触れてはいけないことを理解している。
でも、嫌われているのではないとわかっていて、楽しそうに父親と会話をする。
愛情はちゃんと伝わっているようだ。それがとても嬉しい。

そろそろマナー教育を考えなければならない。
自分で教えてはいるが、他人から教わることも勉強になるから。
双子は他人とほとんど会ったことがない。貴族の子供の頃はそんなものだけど。
親戚の少ない侯爵では尚更で、実家の伯爵家の両親と弟だけである。
あとは、アクア様夫妻とルネ様夫妻ね。
高位貴族としての教育だけは一応しておかないとね。

すると、やはりアクア様がご紹介くださいました。
お薦めだそうです。安心です。うん。

自分の社交で交友を広げる気はないけれど、双子のための情報は必要になる。
いつか双子も婚約し結婚することになるのだ。
父親同士では、ある程度は利益も考えるだろう。けど、本人たちの気持ちも大事だよね。
選べるのなら自分で決めてほしい気もする。



三人目を産むことはやめた。
ニコラスが思った通り、弟妹の行為を覗き見するのはちょっと…という感じだ。
また一度で出来るとも限らないので、娼館に何度も頼んでまで三人目に拘る必要ないかな?という結論になった。

今考えると、初夜がおかしかったのだろう。
後継を望むエドワードとルビーナを望むニコラスの一種の暴走だったのかなって思う。




双子が10歳の時、ルーカスがエドワードに確認に来た。

「父上、一度だけ確認させて下さい。僕たちの父親は父上ですよね?」

「そうだ。偽りなくお前たちの父親は私で、母親はルビーナだ。
 私たちはこの国で正式に認められた婚姻関係にある。
 
 そして、この屋敷内でだけ、ニックの恋人がルビーナだ。
 これは私が認めている。が、世間では認められないので公には出来ないことだ。
 まだお前には難しいかもしれない。しかし、これが私たち家族の形なんだ。」

「わかりました。ありがとうございました。」

ルーカスはすっきりした笑顔で答えた。




「ルーカスが兄上に確認に来たらしい。…父親は兄上で間違いないかって。」

「あら。まだ子供だって思ってたけど、聡い子だものね。悩ませてしまってたのかしら?」

「んー。おそらく、自分の考えが間違っていないか確認したかったのかな?」

「父親はあなたたちのどちらかと考えるだろうけど、母親が私じゃないって発想はないのかしら?」

「…きみの発想が面白いよ。まだ10歳でそこまでの考えには及ばなかったんだろうね。」

「そうね。『義母』なんて存在を知らないわね。じゃあ、今確認されて助かったのかしら?
 情報量が増えるとあの子なら、いろんな妄想しそうよね。」

「『エドワードが父でルビーナが母、ニコラスの恋人がルビーナ。』と聞いて笑顔で納得した。
 ルーカスはどっちが父親かが問題ではなくて、考えが合ってるかを聞きたかったようだね。
 泥沼のような展開の妄想はこの先もしないまま成長するよ。」

「どちらも父親だものね。双子はこれからも気にしないわ。」


ニコラスが笑顔でルビーナを腕に囲んで横たわった。
…10年以上が経っても、ここはまだ私の場所のまま。この先も?



 
 
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