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旦那様が騎士を退団なさって伯爵家に帰って来られたわ。
第一声で『離婚してほしい』と言わなかったから追い出しはしなかったけど。
それにしてもエルビスのこと、本当に気づいていなかったのね。
驚いたのは、エルビスがいるから平民になっても構わなかったと私たちが思っていたことに気づいたことね。
失礼だけど、旦那様は少し鈍そうだから気づかないかと思っていたの。
あの様子だと、伯爵家に帰って来た意味はあるのかと悩みそうだわ。騎士を続けたかったかしら?
まぁ、帰って来たからには仕事してもらいますけどね?
私の負担が大分減るし。
近いうちに私たち夫婦の今後を話し合わないとね。
ここは居心地がいいし、エルビスとも離れたくないし、もし旦那様が離婚を望むのであれば伯爵家の養子にしてもらって旦那様の妹になろうかしら?
旦那様が再婚なさりたければ、構わないわ。エルビスが旦那様の嫡男であることに変わりはないし。
実家の家族とも仲は良いからエルビスを連れ帰れるのであればそれでもいいけど、お義父様たちも使用人たちもエルビスを可愛がってくれているからここを出て行くのも寂しいなぁ、と思っているし。
そんなことを考えていると、旦那様が話をしたいと部屋に来られたわ。びっくり。
「あの、ロザリア。今まで済まなかった。エルビスのことも気づかなくて悪かった。自分の気持ちにいっぱいで結婚を受け入れられなくて離婚ばかり口にして申し訳なかった。今更なんだが、君のことが知りたい。」
自分の気持ちって元婚約者様に未練タラタラだったことでしょ?それがなくなったら妻のことを何も知らないことに気づいたのね。それはそうよ。まともな会話なんてしたことないんだもの。
「私のことですか?私は旦那様の1歳下です。リオット伯爵家の長女で弟がおります。」
「1歳下?失礼だが、僕と婚約するまで婚約者はいなかったのか?」
「いえ、おりました。9歳から16歳まで婚約していましたが、怪我をして婚約解消になりました。」
私は9歳で侯爵令息の婚約者になった。
彼は体を動かすことが好きで、私も乗馬やダンスを一緒に楽しんでいたわ。
だけど16歳の時、私は急に走り出した馬から落ちて足首を骨折してしまったの。
後遺症が残ると言われたわ。杖を持たずに日常生活を送れればいい方だって。
それを聞いて、彼は婚約解消を言ってきたの。ダンスを踊れない妻は困るからって。
両親は憤慨したわ。
だって、私の怪我の原因は彼にあるのだもの。
一頭の馬に2人で乗って散歩に行こうとしていたの。
私は馬に横座りで先に座って、彼が乗るのを待っていたわ。
乗ろうとした時に、彼のお母様が話しかけた。彼は手綱を私に渡さないで放してしまったわ。
しかも馬の腹をポンポンって叩いたの。多分、私にちょっと待っててって言おうとしたのね。
勘違いした馬は走り出したわ。
手綱を持っていない私は首に縋りついたけれど、横座りだったから結局落馬したの。
侯爵家は私の不注意ということにして婚約を解消しようとしたけれど、彼の妹の婚約者が見ていたの。
治療費はもちろんのこと、慰謝料も上乗せして払うべきだと言ってくださったわ。
16歳で足が不自由になって婚約解消されるのですもの。新たな縁談は望めないかもしれないからって。
お金はあって困りませんのでしっかりいただきましたし、リハビリも頑張りました。
少し引きずることもあるけれど、杖なしで歩ける状態で学園を卒業しましたわ。
それからすぐ、こちらの伯爵家から婚約の申し込みがありました。私の足のことは承知の上で。
お義母様からあなたのお話をいろいろ伺った上で、お受けしましたわ。
旦那様とは結局、結婚式当日までお会いすることはかないませんでしたが。
結婚式翌日から今で17回目ですものね。お目にかかるのは。今日2回目ですけどね。
そして、2回目から14回目をお会いした回数に入れても良ければ、ですが。
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