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しおりを挟むルイーズは修道院で神に祈りを捧げながら、人々に奉仕したり集団生活で穏やかに暮らすような令嬢ではない。
跡継ぎとして育ってきたこともあり、刺繍や読書で一日を過ごせるような令嬢ではないからこそ、すぐに働きに出たのだから。
修道院行きは勘弁してほしい。
それならば、実家の領地で大人しく父や将来伯爵を継ぐ弟の仕事を手伝った方がよほどいい。
令嬢としての価値がなくなったのであれば、いっそのこと貴族籍を抜いて平民になっても構わないし、死んだことにしてくれても構わない。
それくらい、修道院行きは嫌である。
侯爵様やガレント様を騙すのは気が引けるけど、父ならば修道院に行ったことにして領地に置いてくれると思う。
なので、即刻解雇を言い渡して貰って実家に追い返してほしい。
ルイーズがそんなことを考えていると、医師がやってきて純潔を失った裂傷を確認された。
医師の診察と体を洗ってくれた侍女、シーツの情交の跡、ガレント様の証言によってルイーズの純潔をガレントが奪ったと証明された。
いやまぁ、それは確かに誤魔化すことはもう無理だと理解しているわ。
だけど、医師が置いていった避妊薬を飲ませてもらえないのは何故?
聞きたいのに、聞ける空気ではない。
今、ここにいるのは屋敷の主であるイーグル侯爵夫妻と長男のロダン様、それにガレント様と私。
ルイーズの父親とガレントの父親を待って話をするらしいのだけど、そのままお父様と一緒に実家に帰れるのかしら。
もしそうなら、最後にローラお嬢様を抱きしめてからにしたい。
天使のように可愛いお嬢様と離れるのは寂しいわぁ。
もちろん、セルフィ様ともなんだけど、セルフィ様にとって私は夫の一夜の寵愛を奪った情婦みたいなものよね?
のこのことお別れの挨拶をできるような立場じゃないわ。
あー。なんでこんなことに………
待っていた2人が到着し、イーグル侯爵様が経緯を説明し始めた。
「客間の差配ミスにより、ガレント殿とルイーズ嬢が閨を共にするという事態が起こってしまいました。
誠に申し訳ない。」
言われてみれば、私の隣にガレント様が泊まる予定だったのは少し不思議。
いつもであればセルフィ様と一緒に違う階のお部屋なんじゃないのかな。
昨日は一人だったから、一人用のベッドの部屋になったのかな。
ガレント様と一緒に泊まったのは初めてだからわからないけど。
「閨を共に?ははっ。酔っ払って気づかずに寝てしまったのでしょうか?
ルイーズには婚約者がいるわけでもありませんから、使用人たちに口止めすれば大丈夫です。
なぁ、ルイーズ。大げさにしなくても気にしないだろう?
お前はそんな細かいことで責任を取れだなんていうような娘じゃないもんな。」
面倒事の予感がしたのか、引きつった顔で空笑いをしながらお父様は私に問いかけた。
ええ。ただ一緒にベッドで眠っただけであれば、笑い話のように侍女たちにも口止めして終わったでしょうけどね。
でもお父様。残念ながら、それは無理なのですよ。
父の言葉に、ガレント様が勢いよく頭を下げて父に言った。
「ゴート伯爵、申し訳ございません。
私はルイーズ嬢の純潔を奪ってしまいました。
口止めで済むような事態ではないため、お出でいただくことになってしまいました。
誠に申し訳ございません。」
「え?……は?」
お父様が私を見る。だけど、思わず目を逸らしてしまった。
「ルイーズ、お前が誘惑したのか!?」
「ゆ、誘惑?違うわ。ただ、ちょっと………酔って寝ぼけてたの。」
お父様は言葉が出ないようだった。
って言うか、私が誘惑した発想ってどうなの?
「伯爵、明らかに非があるのは私です。
部屋を間違い、眠っていたルイーズ嬢を見て、私も酔って夢を見ているのだと思っていたのです。
夢だと思い込んで………ルイーズ嬢を襲いました。
眠っていた彼女が目を覚ましても酔っていたので、夢だと言った私の言葉をそのまま受け取った。
夢だから逃げないでほしいと言えば、素直に従ってくれたのです。
現実だとは思っていなかったから。だけど、これは現実です。
ルイーズ嬢の今後について話し合いをさせていただきたいのです。」
ガレント様の言葉に、お父様はまばたきをするだけだった。
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