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しおりを挟むジョルジュが娼館に行って娼婦を抱いた。
自分がマレック侯爵家でそう思われていると知ったジョルジュは、これ以上誤解されないように理由を話すことにした。
「僕はアイリーンがずっと好きでした。」
「……ああ、知ってる。」
「別の男と婚約していても、いつか解消されるかもしれないと期待して僕は婚約しませんでした。」
「……ああ、そうだな。お前が元婚約者の浮気の証拠を集めて持ってきたんだもんな。」
ジョルジュはアイリーンの元婚約者が女癖の悪いことを知り、婚約解消になるようなネタを集めてマレック侯爵に直談判したのだ。
『こんな男よりも自分の方がアイリーン嬢を幸せにできる。僕と結婚させてほしい』と。
もちろん、アイリーンは元婚約者と婚約破棄、そしてジョルジュとの婚約を結ぶ時の条件がアイリーン以外の女性に性的に触れないことだった。
それを了承したから婚約、結婚に至ったのだ。
「僕は……アイリーン以外に経験がありません。」
「うん?うん。アイリーンが初めての相手だったってことだな。それは、うん。いいと思う。」
「つまり経験不足の僕の愛撫に、アイリーンは満足していないようなのです。
僕にはいつも満足そうなフリをしてくれます。ですが、それは演技らしいと聞いて……
娼館にはどうしたらアイリーンを喜ばせることができるかを教えてもらいに行きました。」
「うん?つまり、娼婦に触ったってことだろ?」
「違います。僕は触れていません。娼館に覗き部屋があるのはご存知ですか?」
「覗き部屋?そんなのあるのか?」
「はい。覗きたい人と覗かれたい人、そういう需要もあるそうで、僕は覗きに行きました。」
「……つまり、娼婦とどっかの男の絡みを見てたってことか?」
「はい。覗かれたい人は自分の性技に自信のある男性が多いそうで、女性の攻め方をよく知ってて。
僕の何が悪いか、どういうことを女性は好むのか、比べて見ていただけです。」
「……つまり、娼婦を抱いていないから誓いを破ったわけではない、と?」
「はい。」
「……だがな、それ、どうやって証明できるんだ?
アイリーンはお前が娼館に入ったところと出てくるところを見ていたそうだ。」
「……は?アイリーンが、見た、のですか?」
「そうだ。お前が娼館に出入りしている。
次はいつどこの娼館に行くか話しているところを聞いてしまった善意の者がアイリーンに知らせた。
あの子は実家に泊まると前もってお前に告げて、お前が現れるかを確認しに行った。
結果は……まぁ、黒だよな。入ったんだから。
その時の姿を思い出しては気分が悪くなって、アイリーンは吐いている。
あの子はベッドに寝たままだ。会わせることはできない。」
「そんな……ちゃんと説明させてください。誤解なんです。」
「だからっ!証明できないだろう?覗いていた?信じると思うか?」
娼館に入っていった男が娼婦を抱かずに出てくる。……客だったら普通はあり得ない。
それなりの金を払うし、ただ話をするだけの男なんて滅多にいないだろう。
「……どうすれば……落ち着いたら話合えませんか?」
「どうだろうなぁ。というか、そもそもアイリーンが満足してないってどうして知ったんだ?
それに娼館の覗き部屋の存在も。
私としてはお前が言ったことを信じたい。だから、釈然としないんだ。
アイリーンに教えた者が善意なのか悪意なのか、それについてもな。経緯が知りたい。」
「はい。えっと、あれは2週間くらい前?……」
「ちょっと待った。時系列に沿って書いてきてくれないか?父も知りたいと思う。
アイリーンに見せるか、話すかはまたそれから考えるから。」
「わかりました。」
こうして僕は事の発端から書き記していくことになった。
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