3 / 18
3.
しおりを挟む娼館に出入りするところをアイリーン本人に見られていた。
これはジョルジュの大失態である。
しかも、アイリーンが見ていたということは、他の貴族にも見られていた可能性もある。
自分が後ろ暗いことをするという意識がなかったために、何の対策も取らなかった。
新婚3か月で娼館に通うなんて、悪意のある噂が回るに違いないと今頃気づいた。
『妻に閨を拒否された』あるいは、『妻では満足しなかった』
こんな噂をされると僕の方はともかく、アイリーンはますます会ってくれなくなってしまう。
早く誤解だと伝え、僕たちに問題がないと幸せな姿を見せつけたい。
そのためには、義兄上に言われたことをしなければ。時系列に沿って……
あれは、2週間前、いや12日前か。
友人のブレス伯爵令息マーキュリーが声をかけてきた。
「よお!新婚生活はどうだ?上手くいっているのか?」
「ああ、順調だよ。毎日が楽しい。」
「本当に?お前は何も問題がないと思ってるのか?」
「?……ああ。幸せだよ?」
「ふ~ん。気づいてないだけじゃないのか?例えば……閨事のこととか。」
「……どういうことだ?何でそんなこと聞くんだ?」
「あー。ちょっと小耳に挟んだんだよなぁ。……閨事情について。」
「僕たちの?まさか、誰がそんなことを言うんだよ。」
「お前の奥さんしかいないじゃないか。」
「アイリーンが?嘘だ。そんなこと、誰に話すんだよ。」
「少し前のお茶会で言ってたらしいぞ?
友人たちも既婚、未婚に関わらず興味があるみたいで新妻は質問されるらしい。」
「……つまり、アイリーンはそこで僕との閨事情を話した?」
「みたいだな。俺が聞いたのは、満足していないとか演技しているとかって言ってたことかな。」
「……演技……」
結婚して2か月半ほどが経ち、初めの頃に比べると体が馴染んで交わることがとても気持ちよくて幸せに感じていた。
それは僕だけでなく、アイリーンも同じ気持ちだとそう言ってくれていたのに。
アイリーンが達すると締め付けがきつくて、その姿を見るのも嬉しくて……
一晩に何度も気持ちよさそうにしているのに……
あれが演技?
アイリーンが?
しかも、お茶会でそんなことを話した?
僕は信じられなかった。
もしも不満に思っていたとしても、相談するなら親しい既婚者1人あるいは2人くらいが妥当ではないか?
仲が悪いわけでもないのに、お茶会という多数の場でアイリーンがそんなことを言うか?
誰かが聞き間違ったか、勘違い、思い込みで言ったことをこの友人マーキュリーは聞いたのではないだろうか。
そう言おうとしたところ、
「お前、奥さんばかり見てたからそっちの経験が少ないんだろう?
娼館にいる馴染みの娼婦に話してやろうか?
めっちゃ上手いぞ?お前にいろいろと教えてくれるからどうだ?」
「断る。僕は妻以外興味はない。
それに女性に教わるよりも、男側がどう触れているか知る方が興味がある。
自分と比較できれば、何が悪いか気づくかもしれないから。」
だが、他人の行為を見る機会など普通はない。
そう思っていた僕は、この話を終わらせたつもりだった。
143
あなたにおすすめの小説
【完結】二度目の恋はもう諦めたくない。
たろ
恋愛
セレンは15歳の時に16歳のスティーブ・ロセスと結婚した。いわゆる政略的な結婚で、幼馴染でいつも喧嘩ばかりの二人は歩み寄りもなく一年で離縁した。
その一年間をなかったものにするため、お互い全く別のところへ移り住んだ。
スティーブはアルク国に留学してしまった。
セレンは国の文官の試験を受けて働くことになった。配属は何故か騎士団の事務員。
本人は全く気がついていないが騎士団員の間では
『可愛い子兎』と呼ばれ、何かと理由をつけては事務室にみんな足を運ぶこととなる。
そんな騎士団に入隊してきたのが、スティーブ。
お互い結婚していたことはなかったことにしようと、話すこともなく目も合わせないで過ごした。
本当はお互い好き合っているのに素直になれない二人。
そして、少しずつお互いの誤解が解けてもう一度……
始めの数話は幼い頃の出会い。
そして結婚1年間の話。
再会と続きます。
【完結】今日も旦那は愛人に尽くしている~なら私もいいわよね?~
コトミ
恋愛
結婚した夫には愛人がいた。辺境伯の令嬢であったビオラには男兄弟がおらず、子爵家のカールを婿として屋敷に向かい入れた。半年の間は良かったが、それから事態は急速に悪化していく。伯爵であり、領地も統治している夫に平民の愛人がいて、屋敷の隣にその愛人のための別棟まで作って愛人に尽くす。こんなことを我慢できる夫人は私以外に何人いるのかしら。そんな考えを巡らせながら、ビオラは毎日夫の代わりに領地の仕事をこなしていた。毎晩夫のカールは愛人の元へ通っている。その間ビオラは休む暇なく仕事をこなした。ビオラがカールに反論してもカールは「君も愛人を作ればいいじゃないか」の一点張り。我慢の限界になったビオラはずっと大切にしてきた屋敷を飛び出した。
そしてその飛び出した先で出会った人とは?
(できる限り毎日投稿を頑張ります。誤字脱字、世界観、ストーリー構成、などなどはゆるゆるです)
[完結]思い出せませんので
シマ
恋愛
「早急にサインして返却する事」
父親から届いた手紙には婚約解消の書類と共に、その一言だけが書かれていた。
同じ学園で学び一年後には卒業早々、入籍し式を挙げるはずだったのに。急になぜ?訳が分からない。
直接会って訳を聞かねば
注)女性が怪我してます。苦手な方は回避でお願いします。
男性視点
四話完結済み。毎日、一話更新
[完結]本当にバカね
シマ
恋愛
私には幼い頃から婚約者がいる。
この国の子供は貴族、平民問わず試験に合格すれば通えるサラタル学園がある。
貴族は落ちたら恥とまで言われる学園で出会った平民と恋に落ちた婚約者。
入婿の貴方が私を見下すとは良い度胸ね。
私を敵に回したら、どうなるか分からせてあげる。
【完結】旦那は堂々と不倫行為をするようになったのですが離婚もさせてくれないので、王子とお父様を味方につけました
よどら文鳥
恋愛
ルーンブレイス国の国家予算に匹敵するほどの資産を持つハイマーネ家のソフィア令嬢は、サーヴィン=アウトロ男爵と恋愛結婚をした。
ソフィアは幸せな人生を送っていけると思っていたのだが、とある日サーヴィンの不倫行為が発覚した。それも一度や二度ではなかった。
ソフィアの気持ちは既に冷めていたため離婚を切り出すも、サーヴィンは立場を理由に認めようとしない。
更にサーヴィンは第二夫妻候補としてラランカという愛人を連れてくる。
再度離婚を申し立てようとするが、ソフィアの財閥と金だけを理由にして一向に離婚を認めようとしなかった。
ソフィアは家から飛び出しピンチになるが、救世主が現れる。
後に全ての成り行きを話し、ロミオ=ルーンブレイス第一王子を味方につけ、更にソフィアの父をも味方につけた。
ソフィアが想定していなかったほどの制裁が始まる。
【完結】裏切られたあなたにもう二度と恋はしない
たろ
恋愛
優しい王子様。あなたに恋をした。
あなたに相応しくあろうと努力をした。
あなたの婚約者に選ばれてわたしは幸せでした。
なのにあなたは美しい聖女様に恋をした。
そして聖女様はわたしを嵌めた。
わたしは地下牢に入れられて殿下の命令で騎士達に犯されて死んでしまう。
大好きだったお父様にも見捨てられ、愛する殿下にも嫌われ酷い仕打ちを受けて身と心もボロボロになり死んでいった。
その時の記憶を忘れてわたしは生まれ変わった。
知らずにわたしはまた王子様に恋をする。
【完結】愛してました、たぶん
たろ
恋愛
「愛してる」
「わたしも貴方を愛しているわ」
・・・・・
「もう少し我慢してくれ。シャノンとは別れるつもりだ」
「いつまで待っていればいいの?」
二人は、人影の少ない庭園のベンチで抱き合いながら、激しいキスをしていた。
木陰から隠れて覗いていたのは男の妻であるシャノン。
抱き合っていた女性アイリスは、シャノンの幼馴染で幼少期からお互いの家を行き来するぐらい仲の良い親友だった。
夫のラウルとシャノンは、政略結婚ではあったが、穏やかに新婚生活を過ごしていたつもりだった。
そんな二人が夜会の最中に、人気の少ない庭園で抱き合っていたのだ。
大切な二人を失って邸を出て行くことにしたシャノンはみんなに支えられてなんとか頑張って生きていく予定。
「愛してる」
「わたしも貴方を愛しているわ」
・・・・・
「もう少し我慢してくれ。シャノンとは別れるつもりだ」
「いつまで待っていればいいの?」
二人は、人影の少ない庭園のベンチで抱き合いながら、激しいキスをしていた。
木陰から隠れて覗いていたのは男の妻であるシャノン。
抱き合っていた女性アイリスは、シャノンの幼馴染で幼少期からお互いの家を行き来するぐらい仲の良い親友だった。
夫のラウルとシャノンは、政略結婚ではあったが、穏やかに新婚生活を過ごしていたつもりだった。
そんな二人が夜会の最中に、人気の少ない庭園で抱き合っていたのだ。
大切な二人を失って邸を出て行くことにしたシャノンはみんなに支えられてなんとか頑張って生きていく予定。
お飾りな妻は何を思う
湖月もか
恋愛
リーリアには二歳歳上の婚約者がいる。
彼は突然父が連れてきた少年で、幼い頃から美しい人だったが歳を重ねるにつれてより美しさが際立つ顔つきに。
次第に婚約者へ惹かれていくリーリア。しかし彼にとっては世間体のための結婚だった。
そんなお飾り妻リーリアとその夫の話。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる