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娼館に出入りするところをアイリーン本人に見られていた。
これはジョルジュの大失態である。
しかも、アイリーンが見ていたということは、他の貴族にも見られていた可能性もある。
自分が後ろ暗いことをするという意識がなかったために、何の対策も取らなかった。
新婚3か月で娼館に通うなんて、悪意のある噂が回るに違いないと今頃気づいた。
『妻に閨を拒否された』あるいは、『妻では満足しなかった』
こんな噂をされると僕の方はともかく、アイリーンはますます会ってくれなくなってしまう。
早く誤解だと伝え、僕たちに問題がないと幸せな姿を見せつけたい。
そのためには、義兄上に言われたことをしなければ。時系列に沿って……
あれは、2週間前、いや12日前か。
友人のブレス伯爵令息マーキュリーが声をかけてきた。
「よお!新婚生活はどうだ?上手くいっているのか?」
「ああ、順調だよ。毎日が楽しい。」
「本当に?お前は何も問題がないと思ってるのか?」
「?……ああ。幸せだよ?」
「ふ~ん。気づいてないだけじゃないのか?例えば……閨事のこととか。」
「……どういうことだ?何でそんなこと聞くんだ?」
「あー。ちょっと小耳に挟んだんだよなぁ。……閨事情について。」
「僕たちの?まさか、誰がそんなことを言うんだよ。」
「お前の奥さんしかいないじゃないか。」
「アイリーンが?嘘だ。そんなこと、誰に話すんだよ。」
「少し前のお茶会で言ってたらしいぞ?
友人たちも既婚、未婚に関わらず興味があるみたいで新妻は質問されるらしい。」
「……つまり、アイリーンはそこで僕との閨事情を話した?」
「みたいだな。俺が聞いたのは、満足していないとか演技しているとかって言ってたことかな。」
「……演技……」
結婚して2か月半ほどが経ち、初めの頃に比べると体が馴染んで交わることがとても気持ちよくて幸せに感じていた。
それは僕だけでなく、アイリーンも同じ気持ちだとそう言ってくれていたのに。
アイリーンが達すると締め付けがきつくて、その姿を見るのも嬉しくて……
一晩に何度も気持ちよさそうにしているのに……
あれが演技?
アイリーンが?
しかも、お茶会でそんなことを話した?
僕は信じられなかった。
もしも不満に思っていたとしても、相談するなら親しい既婚者1人あるいは2人くらいが妥当ではないか?
仲が悪いわけでもないのに、お茶会という多数の場でアイリーンがそんなことを言うか?
誰かが聞き間違ったか、勘違い、思い込みで言ったことをこの友人マーキュリーは聞いたのではないだろうか。
そう言おうとしたところ、
「お前、奥さんばかり見てたからそっちの経験が少ないんだろう?
娼館にいる馴染みの娼婦に話してやろうか?
めっちゃ上手いぞ?お前にいろいろと教えてくれるからどうだ?」
「断る。僕は妻以外興味はない。
それに女性に教わるよりも、男側がどう触れているか知る方が興味がある。
自分と比較できれば、何が悪いか気づくかもしれないから。」
だが、他人の行為を見る機会など普通はない。
そう思っていた僕は、この話を終わらせたつもりだった。
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