誤解されて1年間妻と会うことを禁止された。

しゃーりん

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14.

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アイリーンが家出をしてから7か月。

ようやく全てが判明して、処分も終えた。
処分と言っても、令嬢2人が修道院に行っただけだが。

修道院に行ったのは、サドルデン伯爵令嬢と同じテーブルにいた友人の子爵令嬢。

友人の令嬢はおしゃべりな令嬢で、アイリーンの嘘の噂話を何人かにしていた。
だが、聞いた者たちは誰も信じなかった。
元々、その令嬢の話には嘘が多かったからである。

2人の令嬢を侮辱罪で訴えた。
その結果が労働修道院ということになったわけだ。

マーキュリーに関しては、問える罪が特にない。
娼館に誘ったことも、覗き部屋も、アイリーンへの手紙も、アイリーンへの恋心も、罪ではないから。

ただ、多くの友人を失い、従妹のサドルデン伯爵令嬢を咎めなかったことについて親からの信頼を失った。
それだけだ。 



マーキュリーは僕が問い質すと、全て認めた。

アイリーンに手紙を送ったことも、アイリーンに恋心があったことも。


「俺さぁ、家に金はあるけれど次男だから爵位は継げないだろ?
 兄上の補佐をしろって言われてきて、親は婿入り先を探してくれる気もなかった。
 だから結婚するなってことなんだなぁと今まで遊んできたんだ。
 婚約者のいる令嬢には声をかけなかったし、純潔を奪うような最後までの関係にもならなかった。
 子供ができて責任取れってなっても金目当てだろうからな。
 一途なお前が羨ましかった。
 相手が誰かは聞いていなかったけど、婚約できたって聞いて執念は実るんだなぁと思った。
 お前の奥さんを間近で見たとき、清純そうで可愛いって思った。いいなぁって。
 別にお前から奪いたかったわけじゃないんだ。
 だけど、彼女がお前に満足してないなら俺にも可能性があるんじゃないかって思ってしまって。
 サミアの嘘だろうとわかっていながらも、可能性にかけたかったんだ。
 ごめんな。バカだった。
 あれから全然姿を見せないけど、奥さんと離婚したわけじゃないよな?」

「アイリーンは……実家に家出中だ。
 この一連の事態に意図的なものを感じるから、全部解明出来るまでは会わせてもらえないんだ。」

「それは……申し訳なかった。サミアと俺のせいだもんな。」

「そうなんだが、たとえ覗きでも娼館に行った僕にも責任があるんだ。試練は仕方がない。」

「で、でもまぁ、もう迎えに行けるんじゃないのか?」

「報告書を纏めて……だけどあと5か月会えない可能性もある。」

「5か月?」

「……いや、何でもない。」


そうだった。1年間、会うことを禁じられたんだった。解明できたら会えるわけではない。

そう思いながらも、最後のマーキュリーとのやり取りも報告書に含めてマレック侯爵に連絡を取った。 



 
アイリーンに会えないこの7か月の間も、花や果物、お菓子、茶葉、手紙、アクセサリーなど欠かさずいろいろな贈り物を続けてきた。

ただ、アイリーンからは何も返事がない。……試練だ。

マレック侯爵や義兄上にアイリーンの様子を聞いても、『前よりは元気』とか『やけ食いしてる』とか『運動不足』とかの言葉しか返ってこなかった。
僕については、何も話していない。そういうことなんだろう。



マレック侯爵と義兄上がやって来て、纏めた報告書を読み始めた。


「あぁ、なるほどね。アイリーンとジョルジュ君のどちらもが狙われたのか。
 運が悪かったというか、迂闊だったというか。
 いい勉強になったろう?友人でも時には疑いを持つ必要がある。
 次期侯爵なんだから、冷静な判断も必要なんだ。クラークもな。」


義兄上のクラークも僕と同じく次期侯爵。
誰にどんなことで狙われて落とし穴に嵌まるかはわからない。
疑うことは信じることと同じくらい勇気がいるが、今後はもっと必要になるのだ。


「アイリーンは戻ってきてくれるでしょうか。」

「とりあえず、この報告書を読ませるよ。
 1年間までまだあと5か月くらいあるのか?……意外とあるな。
 今までは調査してたから時間が経つのが早かったかもしれないが、残りの期間が苦痛だろうな。
 まぁ、アイリーンには少しくらい早く帰るように伝えておくよ。」

「よろしくお願いします。」


アイリーンに会えなくて、幻覚や夢に泣きそうだから早く実物に会いたい。

 


 


 
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