誤解されて1年間妻と会うことを禁止された。

しゃーりん

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子供の名前はアルビンに決まり、あとひと月ほどマレック侯爵家で過ごした後にアイリーンとアルビンはロックス侯爵家に戻ることになった。

ジョルジュは仕事の途中に毎日のように通いながらもアルビンのために用意した物を部屋に入れて準備をしていった。
両親はいつの間にこんなに用意していたのか。

アイリーンが姿を見せなくなってもそれほど疑問に思われなかったのは買い物のせいもあるようだ。
僕たちは新婚。いつ子供ができてもおかしくない。
実際、マレック家やロックス家の者がそれらしい買い物をしている。
マレック家では長男の嫁の可能性もあるが、ロックス家に嫁いだ娘に送る可能性もある。

だが、基本的には生まれるまで聞かれることは少ない。
妊婦姿を見かけた場合は可能ではあるが、流産や死産も多いために前もって祝いの言葉を言うことは少ないのだ。

そのためアイリーンの不在は、誰もが聞きたくても聞けない状態だったようだ。 
爵位は父にある。
僕たちが公の場に揃って姿を見せなくても問題はなかったのだ。



そしてようやくアイリーンがロックス家に戻ってくる。

屋敷中がかつての明るさを取り戻したかのように活気に溢れ、アイリーンとアルビンがやってくるのを待ちわびていた。
ジョルジュは2人を迎えに行ったが、馬車を降りる前から、うちにはこんなに使用人がいたのかと驚くほどの人だかりだった。
アイリーンはわずか3か月で使用人たちにも好かれていたようだ。
そこに可愛い男の子が増える。

ロックス侯爵家は祝福の嵐に包まれていた。



日常が戻り、毎日アイリーンを抱きしめて眠る日々に戻った。

やがて医師からも閨事の許可が出たと聞いたのは、結婚1周年の朝だった。

結婚記念日のお祝いをして、夜、2度目の初夜気分でアイリーンを待っていた。

そして現れたアイリーンの姿を見て、1年前の今日もこんな幸せはないと思っていたはずなのに、際限なくアイリーンへの愛は募っていくことを感じていた。


「アイリーン、愛してる。あぁ、何度言っても言い足りないくらいに。」

「もう、ジョルジュったら。ちゃんとわかってるわ。私も愛してる。」


ベッドに入ってキスを始めたが、ジョルジュは確認しておきたかった。


「アイリーン、僕の愛撫や挿入時間に不満はある?演技したことは?」

「ええっ?あぁ、言いふらされた噂ね。
 私もジョルジュと同じで他の人を知らないわ。
 だから比較はできないけれど、不満に思ったことなんてないわ。
 いつも……とても気持ちいい。演技なんて考えたこともないし。
 恥ずかしい思いはあるけれど、愛されていると感じて幸せだわ。
 ただ、恥ずかしいことを口にしないでほしいわ。」

「恥ずかしいこと?どんな?」

「……びちゃびちゃ、とか、ぐちゅぐちゅ、とか、トロトロ、とか。
 言われなくてもわかってるの、自分でも。でも言葉にされると恥ずかしくて。」

「あー。ごめん。感じてくれてるのが嬉しくて……
 でも、それを言うともっと気持ちよさそうになってるのも知ってる?」


自覚があるのか、恥ずかしそうに手で顔を覆ってしまった愛しいアイリーンを丁寧に抱いた。

そばにいてくれるだけでも幸せだけど、体を繋げるとすごく満たされた気持ちになれる。

もう二度と、7か月も離れることのないように強く抱きしめた。
会うことを禁止された1年よりも早く会えるようになってよかった。
そのうち我慢できずにマレック家に押し入ったに違いないから。



それから、数年に渡ってアルビンに兄弟をつくってやりたいアイリーンと、アイリーンを危険な目に合わせたくないジョルジュとの攻防が続いたが、結局ジョルジュが折れた。

2人目を妊娠しても、前ほどの吐き気はなく不安定さもなかった。
アイリーンは心配するジョルジュを鬱陶しそうにしていたけれど、アルビンがいるためか寝込むことなく過ごした。

日に日に大きくなっていくお腹をアルビンの時には見せてあげられなかったからジョルジュに見せてあげたかったと告げられて、ジョルジュは号泣してしまった。

やがて元気な女の子アミルを産み、ジョルジュを安心させた。

いつの間にか家族の前でだけ涙腺が弱くなってしまったジョルジュは、嬉しくても楽しくても感動してもよく泣くようになり、アルビンに涙を拭われたり、それを見たアミルも真似したりと、泣き笑いの絶えない温かな家庭を築いた。



<終わり> 


  



 
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