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しおりを挟む同じような日々を繰り返すように過ごしていたある日、実家から届いた手紙に違和感を感じた。
何度か送ったフォルティアの手紙の内容に対する返事ではない。
それどころか、まるで便りがないことを心配するかの内容だったのだ。
どういうことかしら?
「ねぇ、レニ。頼んだ手紙だけど、ここの侯爵家ではどういう流れで送られるのかしら。」
「手紙は全て執事のジョンさんに渡すことになっています。……伯爵家に届いておられないのですか?」
「そうかもしれないわ。なぜかしら。」
「ジョンさんに確認してみます。まさかとは思いますが内容を確認されているかもしれません。」
「侯爵夫妻が?私が悪口を書いていたら困るから?まぁ、悪口に思えることは書いたわね。」
だって、仕事ができない人ばかりなのだから。
ディカルドもそんな人に教わっても、自領のことなんて把握できるわけがない。
2代続けて領主がこれでは領民が気の毒である。
「端から疑うような聞き方をしないように気をつけてね。誰かの怠慢の可能性もあるから。」
通常はあり得ないが、届けるように頼まれた者が紛失したり盗難にあったりする場合もある。
怒られることを恐れてそれを隠していればなかなか気づかないが、何度も同じ者が狙われることはまずない。
意図的に送られていない可能性が高いだろう。
一体、誰が何を思ってそんなことをしているのか。意味がわからなかった。
レニにフォルティアが実家に送った手紙の行方を確認されたジョンは、調べてみるとレニに告げてから侯爵夫妻の元へと行った。
「旦那様、お渡しした若奥様のお手紙はその後どうされたのでしょうか?」
ジョンは、侯爵夫妻からフォルティアが実家宛に手紙を送ろうとしていたら持ってくるように命令されていたため、これまで3通の手紙を渡していた。
「ん……?あぁ、そう言えば私が書いた手紙と一緒に送ろうと思って入れ忘れたことがあったな。フォルティアが何か言ってきたのか?」
「若奥様の侍女が確認に来られました。本日、伯爵家から若奥様宛に手紙が届きましたので内容がかみ合わないか何かあったのかと思います。」
「そうか。気をつけることにしよう。」
ジョンが部屋を出て行くと、侯爵夫妻はため息をついた。
「手紙を勝手に読んだけど、人を送ってほしいってことだけだったからもう心配ないんじゃない?」
「だが初夜を済ませていないんだぞ?いつ迎えに来いという手紙を書くかわからないじゃないか!」
侯爵夫妻は、侍女たちからディカルドたちがまだ初夜を済ませていないということを聞いていた。
ディカルドに早く済ませるように言ったが、何週間経ってもまだ済ませていないのだ。
しまいには、リーリエ以外を抱きたくないという始末だ。
いつ、フォルティアが実家に戻ると言い出すかと恐れて手紙を勝手に読んでいたのだ。
実家に戻られては援助がなくなってしまう。それでは困るのだ。
何か方法はないか。侯爵夫妻は焦っていた。
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