分厚いメガネを外した令嬢は美人?

しゃーりん

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それから数日のうちに、カーティス様の父親であるストローク侯爵によって、王城・王宮で働く者たちの退職年齢を決める案がその他の案とともに議会に提出された。

議会には、いろいろな部署の部長・副部長などが数人ずつ出席する。

『何を今更』 
『決めなくても自分で判断する』
『居場所がここしかない者もいるのに』

いろんな声が出てきたらしい。
今でも、仕事をろくにしていないのにただ通っているだけの役人もいるのだ。
責任のある仕事をしていない者ほど、仕事の邪魔をすることもないので放置される。
そういった者に対する退職勧告も必要だった。

退職者が出た人数で、次年度の採用する人数を決める今のやり方のままでは若い者たちが職につけなくなる。
それが自分たちの子供や孫になるかもしれない。
そう言われると反論も難しい。

これは既に決定事項だと報告された。次年度から正式に制定されることになる。



実は、ストローク侯爵の提案は、最初に国王及び大臣に持ち込まれて既に議論を終えていた。
まだ誰もが40歳代前半で、今すぐ退職年齢に達するわけではないので話は早かった。


「老眼レンズのメガネ、か。まだちょっと見た目に抵抗があって試してないな。」


文字は確かに見やすくなるらしいが、レンズを通した目が失笑されるレベルらしい。


「ですが、もしそれが当たり前になれば?まだまだ働きたいと思う者は増えます。
 そうすると、若者が入って来られない。
 今の50歳代がこのまま60歳代で死ぬ直前まで働くことを想像すると昔に逆戻りですよ。」

「確かにな。若者が国のために働く意欲がなければ国は廃れる。
 近頃は仕事をしていないのに働いているフリをしている者がいると苦情もある。
 一人ひとりの仕事の成果の確認と、あとコネでの採用も見直す必要があるな。」

「そうですね。退職年齢の制定と仕事内容の確認、平等の採用試験を取り入れましょう。」


こうして、国王と大臣たちとの話し合いは無事に纏まったのだ。


「それにしても、ストローク侯爵は老眼レンズに詳しいのか?持っているとか?」

「いえ、まだ持っていません。この話は実は息子から聞いたのです。
 老眼レンズのメガネが当たり前になると、いつまでも働き続ける老人が増えるのではないか、と。
 もちろん、爵位の継承にも影響はあるでしょう。
 ですが、王城の役人の方が老人で溢れることになるのではないかと危惧いたしまして。
 それに……これはまだ極秘ですが、老眼に効く目の薬が偶然に開発されたかもしれません。
 元は目が良くなる薬を開発しているところなのだそうですが、老眼にも効く可能性があるそうです。
 まだ被験者の前段階ですので、実際に処方されるまでには時間がかかりますが。」

「なんと!老眼に効く薬だと?」

「それは素晴らしいですね。それなら確かに、退職年齢は必要です。」

「そうですね。老眼レンズのメガネをしなくても目の薬が効けば問題なく働けてしまう。」

「だから、今なのか。老眼レンズもそうだが、薬まで出てしまうと年齢の線引きが難しくなる。」

「目が良くなる薬も早く出てくれれば嬉しいな。息子はメガネだが娘はメガネを嫌がるんだ。」

「あぁ、意外と近くまで寄らないと気づかないという人もいますよね。
 無視されたのかと思ったこともあるけれど、あれは目が悪いのでしょうねぇ。」

「どちらの薬も実用化されればありがたいことだな。楽しみだよ。」

「まだ被験前なのでご内密にお願いします。
 ですが、目の良くなる薬の方は高い確率で世に出ることになると思います。
 老眼の方は偶然出来たようで、当初の効能と違って予想外らしいのです。
 それでも世に出てくれれば嬉しいのですがね。」


ストローク侯爵もそろそろ老眼に悩まされ始めている。
ここにいるみんなも同じ年代のため、似たようなものだろう。

偶然でも何でも効果があるなら是非とも試したい年代の男たちだった。



 

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