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目の薬については、3種類ともに認可されることになる。
ミーシャの目標は、一応達成された。分厚いメガネを外すまでに目が良くなったのだから。
ジャンカ国の薬の文献をこの国用に薬草や分量などを調整する作業をしながらも、次の研究は何にしようかと考えていた。
なんせ、ジャンカ国の薬の文献は素晴らしい。
こんな薬があればいいのになぁと思うような薬がたくさん記載されているのだ。
目の薬の被験者たちに、どんな薬があれば嬉しいかを聞いてみたところ一番多かったのは男性は『増毛の薬』で、女性は『吹き出物に塗る薬』だった。
あとは『虫刺されに効く痒み止め』や『痩せる薬』、『手荒れの薬』、『いびきに効く薬』、『足の臭さを消す薬』、『二日酔いに効く薬』など、需要がそれほど見込めなさそうな要望や作ったら問題になりそうなものもいろいろとあった。
だけど、調べてみるとジャンカ国の文献には似た効果のある薬が載っているので驚いた。
研究所の研究員の中には、自分の研究に行き詰っている者もいるし、研究するネタを探している者もいる。
なので、ジェイコブ様はそんな研究員たちに、ミーシャが目の薬をこの国の薬草に合うように調合したように、ほかの薬でも興味がある薬を開発するように命じた。
もちろん、それに頼ることなく最初から最後まで自分で開発したいという者たちは今まで通りの研究方法も認めている。
ミーシャは、目以外に特に研究したいものがなかったので、薬の文献から選ぼうと思っている。
カーティス様や侯爵家のみんなに望むものがないか聞いてみてもいいかもしれない。
結婚式まであと少し。
研究所の帰りに騎士団本部に寄って、カーティス様と一緒に帰る約束をしていた。
結局、カーティス様はあの10日間以降も毎日私の家に泊まっている。
本人曰く、防犯を兼ねているそうだ。
騎士団本部には、毎回同じ騎士ばかりがいるわけではない。
勤務時間も同じではないし、巡回している場合も多い。
駆けつけやすいように分所も何か所か王都の中にあり、直行直帰する者もいる。
なので、久しぶりに見かける騎士もいる。
そして、誰もがミーシャを見て驚く。
ミーシャの素顔を知っている者はいい。
だけど、ここ数年で騎士になった者の中には知らない者もいるのだ。
「え?カーティス様を呼んでほしい?ダメですよ。あの方には婚約者がいます。
あなたのような美人の方でも、今まで誰も相手にしていません。
ですので、僕とデートしませんか?僕はフリーです。どうか………」
そこまで言った時に、この騎士は後ろからセオドア様に頭を叩かれた。
「お前ねぇ、こんなところで口説くなよ。騎士団の資質を疑われる。
それに彼女はミーシャちゃん。カーティスの婚約者本人だ。
メガネを取っただけだよ。後ろの侯爵家の護衛が見えないのか?」
「あ…………申し訳ありません。理想の女性が目の前に現れてつい……
本当だ。そうですね。ミーシャ様です。メガネで印象がすごく変わるのですね。」
目をパチパチさせながら改めてマジマジとミーシャを見た騎士はそんなことを言った。
「ごめんね、ミーシャちゃん。コイツは指導し直すから。仕事中に何やってんだか。
あぁ、カーティスが来たよ。またね。」
「あ、はい。お疲れさまです。」
セオドア様に連れていかれた騎士は、『ギャー』とか何とか言いながら去っていった。
「ミーシャ、何かあったのか?」
カーティス様にそう聞かれても、どう答えたらいいのかわからない。
大したことではないと言おうとしたが、護衛が答えた。
「ミーシャ様のメガネ姿しか知らなかった騎士がデートに誘いました。
我々が止めに入る前にセオドア様が頭を叩かれました。申し訳ございません。」
「……あぁ、知らない奴がまだいたのか。
すまないな。ココで護衛する必要があるとは思わないもんな。」
騎士団本部内では、外を歩く時よりも侯爵家の護衛も少し離れていたのだ。
「先ほどの騎士の方は私より年下ですよね?
やはり化粧をしていないから年相応に見えないのかな。」
見当違いなことを言っているミーシャに、カーティスと護衛たちは笑いそうなっていた。
確かに、年よりも若く見えるミーシャは、もうすぐ20歳になる。
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