私が嫁ぐ予定の伯爵家はなんだか不穏です。

しゃーりん

文字の大きさ
10 / 23

10.

しおりを挟む
 
 
自分の屋敷に帰ったサリューシアは、両親が待っているという部屋を訪れた。


「お帰り、サリューシア。ティム君の話は何だったんだ?ただの謝罪か?」

「一応、謝罪らしき事は言われましたが、口先だけでしたね。
 ブルーエ伯爵夫妻が認めたんだから、子供を嫡子とすることを私も認めろと言っていました。
 それと、子供の母親も一緒にいることを許してほしいと言ってきましたわ。
 さすがにそれは頭にきて、いかに非常識であるかを説明してまいりました。」

「……あの男は阿呆なのか?
 子供の母親を妻にすることはできないのだから、父か母のどちらかと暮らすことになる。
 母親と子供を離したくないのであれば、援助だけして平民として暮らさせればよいものを。」


そう。それが普通の判断。
そして、正式な妻となるサリューシアとの間に産まれる子供が跡継ぎとすべきなのだ。
それなのに、あの伯爵家は何を考えているのか。


「お父様、ブルーエ家との事業は今更後に引けないのですよね。
 向こうもティム様に新たな婚約者が難しいことがわかっているので私と結婚させたい。
 なので、政略結婚なしで事業だけの関係に持ち込むことは難しいでしょう。
 私はティム様と結婚するしかありません。
 ですが、リムが跡継ぎとして公になるまではまだまだ時間があります。
 ブルーエ家が他家から嫌厭されることになる前に、共同事業以外に新たな収入源を考えてください。
 利益を元手に、いつかブルーエ家と手を切れるように。クレオとも相談してください。」


クレオは2歳下のサリューシアの弟でレイド伯爵家の跡継ぎ。
やがてあの子にも人脈ができる。
友人と共に新たな事業を思いつくかもしれない。

このままではブルーエ家は必ず落ちぶれる。
その後、共同事業が利益が出るままになるか、負債になるかは未知だ。

リムが10歳くらいまでは跡継ぎを誤魔化せるはず。
サリューシアに子供ができなかったので愛人の子供を跡継ぎにすると言った方がまだ納得される。

つまり、サリューシアはティムの子供を産まないことにしたのだ。

そう伝えると驚いていたが、身軽な方がいいと両親も思ったようだ。


「それと、伯爵家に滞在したままのリズさんと、ティム様は関係を続けています。
 ティム様と話をする前に2人が密会しているところを茂み越しに聞きましたから。
 私と結婚するまでまだ1年半以上あるので居座りそうですよ。
 母として我が子のそばにいて、結婚後も引き離すのが可哀想だと思わせたいみたいです。
 実の母からリムを奪う、悪女のように思われているみたいですね。」

「……今も関係を続けているとは。もっと誠実な男だと思っていたが所詮平民上がりか。
 あるいは、父親の伯爵に似ていると言うべきか?
 とにかく、子供を嫡子とするのであれば、その恋人は邪魔だ。
 もう会わないように言うべきだろう。あちらもそれくらいの条件はのむべきだ。
 すまないな、サリューシア。共同事業がなくとも立ち直して、お前が帰れるようにする。」
 
「はい。期待しています。」


結婚後にテオルドのいる領地に行きたいということはまだ言わない。

その頃の彼の病状がどうなっているかがわからないし。 
 
ただ、どんな状況になっていようと、ブルーエ伯爵夫妻とティムのそばにいたいともいるべきだとも思えない。

見舞いになろうが、……墓参りになろうが、テオルドの近くに行きたかった。


 


 
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

婚約者の命令により魔法で醜くなっていた私は、婚約破棄を言い渡されたので魔法を解きました

天宮有
恋愛
「貴様のような醜い者とは婚約を破棄する!」  婚約者バハムスにそんなことを言われて、侯爵令嬢の私ルーミエは唖然としていた。  婚約が決まった際に、バハムスは「お前の見た目は弱々しい。なんとかしろ」と私に言っていた。  私は独自に作成した魔法により太ることで解決したのに、その後バハムスは婚約破棄を言い渡してくる。  もう太る魔法を使い続ける必要はないと考えた私は――魔法を解くことにしていた。

何度時間を戻しても婚約破棄を言い渡す婚約者の愛を諦めて最後に時間を戻したら、何故か溺愛されました

海咲雪
恋愛
「ロイド様、今回も愛しては下さらないのですね」 「聖女」と呼ばれている私の妹リアーナ・フィオールの能力は、「モノの時間を戻せる」というもの。 姉の私ティアナ・フィオールには、何の能力もない・・・そう皆に思われている。 しかし、実際は違う。 私の能力は、「自身の記憶を保持したまま、世界の時間を戻せる」。 つまり、過去にのみタイムリープ出来るのだ。 その能力を振り絞って、最後に10年前に戻った。 今度は婚約者の愛を求めずに、自分自身の幸せを掴むために。 「ティアナ、何度も言うが私は君の妹には興味がない。私が興味があるのは、君だけだ」 「ティアナ、いつまでも愛しているよ」 「君は私の秘密など知らなくていい」 何故、急に私を愛するのですか? 【登場人物】 ティアナ・フィオール・・・フィオール公爵家の長女。リアーナの姉。「自身の記憶を保持したまま、世界の時間を戻せる」能力を持つが六回目のタイムリープで全ての力を使い切る。 ロイド・エルホルム・・・ヴィルナード国の第一王子。能力は「---------------」。 リアーナ・フィオール・・・フィオール公爵家の次女。ティアナの妹。「モノの時間を戻せる」能力を持つが力が弱く、数時間程しか戻せない。 ヴィーク・アルレイド・・・アルレイド公爵家の長男。ティアナに自身の能力を明かす。しかし、実の能力は・・・?

【完結】今日も旦那は愛人に尽くしている~なら私もいいわよね?~

コトミ
恋愛
 結婚した夫には愛人がいた。辺境伯の令嬢であったビオラには男兄弟がおらず、子爵家のカールを婿として屋敷に向かい入れた。半年の間は良かったが、それから事態は急速に悪化していく。伯爵であり、領地も統治している夫に平民の愛人がいて、屋敷の隣にその愛人のための別棟まで作って愛人に尽くす。こんなことを我慢できる夫人は私以外に何人いるのかしら。そんな考えを巡らせながら、ビオラは毎日夫の代わりに領地の仕事をこなしていた。毎晩夫のカールは愛人の元へ通っている。その間ビオラは休む暇なく仕事をこなした。ビオラがカールに反論してもカールは「君も愛人を作ればいいじゃないか」の一点張り。我慢の限界になったビオラはずっと大切にしてきた屋敷を飛び出した。  そしてその飛び出した先で出会った人とは? (できる限り毎日投稿を頑張ります。誤字脱字、世界観、ストーリー構成、などなどはゆるゆるです)

【完結】私の事は気にせずに、そのままイチャイチャお続け下さいませ ~私も婚約解消を目指して頑張りますから~

山葵
恋愛
ガルス侯爵家の令嬢である わたくしミモルザには、婚約者がいる。 この国の宰相である父を持つ、リブルート侯爵家嫡男レイライン様。 父同様、優秀…と期待されたが、顔は良いが頭はイマイチだった。 顔が良いから、女性にモテる。 わたくしはと言えば、頭は、まぁ優秀な方になるけれど、顔は中の上位!? 自分に釣り合わないと思っているレイラインは、ミモルザの見ているのを知っていて今日も美しい顔の令嬢とイチャイチャする。 *沢山の方に読んで頂き、ありがとうございます。m(_ _)m

あなたを愛する心は珠の中

れもんぴーる
恋愛
侯爵令嬢のアリエルは仲の良い婚約者セドリックと、両親と幸せに暮らしていたが、父の事故死をきっかけに次々と不幸に見舞われる。 母は行方不明、侯爵家は叔父が継承し、セドリックまで留学生と仲良くし、学院の中でも四面楚歌。 アリエルの味方は侍従兼護衛のクロウだけになってしまった。 傷ついた心を癒すために、神秘の国ドラゴナ神国に行くが、そこでアリエルはシャルルという王族に出会い、衝撃の事実を知る。 ドラゴナ神国王家の一族と判明したアリエルだったが、ある事件がきっかけでアリエルのセドリックを想う気持ちは、珠の中に封じ込められた。 記憶を失ったアリエルに縋りつくセドリックだが、アリエルは婚約解消を望む。 アリエルを襲った様々な不幸は偶然なのか?アリエルを大切に思うシャルルとクロウが動き出す。 アリエルは珠に封じられた恋心を忘れたまま新しい恋に向かうのか。それとも恋心を取り戻すのか。 *なろう様、カクヨム様にも投稿を予定しております

【完結】「お前とは結婚できない」と言われたので出奔したら、なぜか追いかけられています

22時完結
恋愛
「すまない、リディア。お前とは結婚できない」 そう告げたのは、長年婚約者だった王太子エドワード殿下。 理由は、「本当に愛する女性ができたから」――つまり、私以外に好きな人ができたということ。 (まあ、そんな気はしてました) 社交界では目立たない私は、王太子にとってただの「義務」でしかなかったのだろう。 未練もないし、王宮に居続ける理由もない。 だから、婚約破棄されたその日に領地に引きこもるため出奔した。 これからは自由に静かに暮らそう! そう思っていたのに―― 「……なぜ、殿下がここに?」 「お前がいなくなって、ようやく気づいた。リディア、お前が必要だ」 婚約破棄を言い渡した本人が、なぜか私を追いかけてきた!? さらに、冷酷な王国宰相や腹黒な公爵まで現れて、次々に私を手に入れようとしてくる。 「お前は王妃になるべき女性だ。逃がすわけがない」 「いいや、俺の妻になるべきだろう?」 「……私、ただ田舎で静かに暮らしたいだけなんですけど!!」

聖女との婚約はお断りです!僕には心に決めた婚約者がいるので。

仲室日月奈
恋愛
「――フィリス・ベルラック公爵令嬢、君との婚約を……」 「はい」 「婚約破棄など、したくない!」 「…………え?」 女神の啓示で聖女が見つかったことにより、父である国王から、公爵令嬢と婚約破棄して聖女を娶るように命じられた第一王子ユリシーズ。 確かに婚約者のフィリスは、引っ込み思案で社交界でも影が薄い令嬢ではあるが、ユリシーズのお姫様なのだ。 幼少時に交わした約束を守りたい王子と、身を引く決意をした婚約者との、すれ違いラブコメ(予定)。 ※小説家になろう様に投稿した作品とタイトルは違いますが、内容は同じです。

【完結】私を捨てた皆様、どうぞその選択を後悔なさってください 〜婚約破棄された令嬢の、遅すぎる謝罪はお断りです〜

くろねこ
恋愛
王太子の婚約者として尽くしてきた公爵令嬢エリシアは、ある日突然、身に覚えのない罪で断罪され婚約破棄を言い渡される。 味方だと思っていた家族も友人も、誰一人として彼女を庇わなかった。 ――けれど、彼らは知らなかった。 彼女こそが国を支えていた“本当の功労者”だったことを。 すべてを失ったはずの令嬢が選んだのは、 復讐ではなく「関わらない」という選択。 だがその選択こそが、彼らにとって最も残酷な“ざまぁ”の始まりだった。

処理中です...