私が嫁ぐ予定の伯爵家はなんだか不穏です。

しゃーりん

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テラスからサリューシアが去っていくのを呆然と見送っていたティムは我に返った。

いつも穏やかで優しいサリューシアが、毅然とした態度でキツイ言葉を吐いたことに驚いたのだ。

だが、思い返して嬉しくなった。

リズと一緒に住みたくないと思うのは、自分に愛情があるという証拠。
サリューシアはティムを取られたくないと思っているのだとわかったからだ。

 


ティムは、ブルーエ伯爵が治めている領地で母と2人で暮らしていた。

母はそこそこ美人で、恋人もコロコロと変わっていた。
恋人が変わる度に、前の男に貰った物を売ったりもしていたので金には困らなかった。

自分の父親が誰かは知らなかった。
母本人にもわからないのではないかと思っていた。

だが以前、確かに聞いたことがあった。

『ここの領主をしている伯爵様の跡継ぎとも付き合ったことがあるのよ』と。

その母が、風邪をこじらせてティムが14歳のときに亡くなった。

14歳だったが、もう働いていたために生活に困ることはなかった。

ただ一人は寂しくて、恋人になったリズと半同棲を始めた。
リズの両親も、いずれ結婚するならと許してくれた。 


そんなある日、母を訪ねて来た男がいた。 

母が亡くなったと伝えると、ティムの歳と誕生日を聞いてきた。
それに答えると、男は去っていった。

2日後、その男が裕福そうな身なりの男を連れて来た。
それがブルーエ伯爵だった。
 
『お前は私の息子だ。認知するので王都で暮らしてほしい』 

そう言われた。1週間後に迎えに来ると帰って行った。
 
伯爵の息子?俺って貴族になるのか?

正直言って、面倒だと思った。

今の暮らしに特に不満はなかった。今更貴族になんてなってどうするんだ?

そんな気持ちが強かった。

無理だと思ったら帰って来ようと思った。

だから、リズにも数か月分の家賃を渡して払うように頼んでいた。

リズにも父親の話をしたが、面倒そうだねーって言っていた。

別れを惜しむようにリズを抱いて、王都にやってきた。



王都の屋敷には驚いた。どれだけ部屋があるんだ?領地の屋敷はもっと広い?嘘だろ?

腹違いの兄、そして父親の正式な妻を紹介された。

兄は病気だし、義母はいつも本心がわからない笑顔だった。

そして、兄の婚約者であるサリューシアに出会ってしまった。

とても綺麗でそれでいて可愛らしいサリューシアに一目惚れをした。
可愛いと思っていたリズとは次元が違った。
これが貴族令嬢なのかと目が離せなかった。

そんな俺に、父は気づいたようだった。

『お前が貴族として頑張ればサリューシアはお前のものになる』

そう囁かれた。






 
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