47 / 47
47.
結婚して三か月が経ったころ、義母シャロンが聞いてきた。
「アリア、あなた妊娠したんじゃない?少し様子が違うわ。」
シャロンは目聡かった。
確かに、アリアは少し自分の体調に違和感を感じ、月のものも遅れていることから、妊娠の可能性を考えていたため、ここ数日様子見をしていたのだ。
「そうかもしれない、と思っていて。あまり早くだとお医者様も判断が難しいと聞いたことがありますので、もう少ししてから診断をお願いしようかと思っています。勘違いかもしれませんし。」
期待し過ぎると、違った時に落胆が大きい気がしてまだ誰にも言っていなかった。
昨日、ヴィンスの閨事の誘いも断ってしまい、彼には言っておいた方がいいかもしれないと考えていたところだった。
何も言わずに断り続けると、ヴィンスがショックを受けるかもしれない。
ヴィンスとの閨事は、彼がアリアをとても愛していると感じることができるため、求められることは嬉しいと思っている。
「そう。ドキドキするわよね。月のものがないまま来週になれば一度医師を呼びましょうね。」
「はい。」
シャロンとそんな会話をして別れたすぐ後、ヴィンスがやってきた。
「アリア、ひょっとして子供ができたんじゃないのか?医師を呼ぶか?」
ヴィンスはヴィンスでアリアが閨事を拒否した理由に思い当たったらしい。
「ふふ。先ほどお義母様にも聞かれました。そうかも?って思っているところなのです。ヴィンス様にも話そうと思っていたところでした。」
「母上が?先を越されたか。アリアのことを一番よく見ているはずなのに、まだ敵わないのか。」
ヴィンスは落ち込んでいる。
彼は一緒に暮らし始めてから、自分がアリアの一番になりたいと義母を敵対視している。
アリアの一番はとうにヴィンスになっているが、義母と一緒にいることが楽しいことに変わりはない。
「来週まで様子を見ようと思っています。できていたら嬉しいですね。」
「ああ。楽しみだな。」
ヴィンスが優しく抱きしめてくれて、アリアは幸せを感じた。
後日、アリアは双子を妊娠していることが判明した。
実家にも双子を妊娠したことを知らせると、サリナがやってきた。
「双子が双子を産むって、面白いわね。」
「あなたもその可能性があるかもしれないわよ?」
「確かに。あのね、私、アレックス様とまた付き合っているの。この間、プロポーズされて。」
「クレベリス騎士団長と?大丈夫なの?」
「うん。私が我が儘を言っても優しくて。やっぱり頼れるし、いいなって思うの。」
10歳以上離れているため、喧嘩にもならないのかもしれない。
恋愛にはポンコツっぽいけれど、彼はサリナに振り回されても忘れられなかったようだ。
意外とその我が儘さを好んでいるフシがある。
サリナも自分の幸せを見つけたようで安心した。
アリアは男女の双子を出産した。
夫であるヴィンスがいて、子供たちがいて、義母シャロンがいて。
賑やかな毎日を楽しく暮らせて、アリアは幸せに思った。
<終わり>
この作品は感想を受け付けておりません。
あなたにおすすめの小説
幼馴染を囲う夫に、破滅を贈ります
たると
恋愛
結婚式当日。
幸せの絶頂で教会へ向かう途中、見知らぬ女に平手打ちされたエリアーナ。
「あなたさえいなければ」と叫んだのは、夫の最愛の幼馴染だという女。
それでも経済的に困窮する実家を救うため、エリアーナは泣き寝入りするしかなかった。
旦那様からお前なんて出て行ってほしいと言われたのでその通りにしたら、今になって後悔の手紙が届きました
睡蓮
恋愛
レオン第一王子と婚約者の関係にあったルミナス。しかし彼女はある日、レオンが自分の家出を望んでいる事を知ってしまう。ルミナスはそれを叶える形で、静かに屋敷を去って家出をしてしまう…。レオンは最初こそその状況に喜ぶのだったが、ルミナスの事を可愛がっていた国王の逆鱗に触れるところとなり、急いでルミナスを呼び戻すべく行動するのであったが…。
忘れ去られた婚約者
かべうち右近
恋愛
『僕はレベッカしか選ばない』
甘い声音でそう話したはずの王太子サイラスは、レベッカを忘れてしまった。
レベッカは、王太子サイラスと付き合っていることを、ある事情により隠していた。舞踏会で関係を公表し、婚約者に指名される予定だったのに、舞踊会の夜にサイラスは薬を盛られて倒れ、記憶喪失になってしまう。
恋人が誰なのかわからないのをいいことに、偽の恋人が次々と名乗りをあげ王太子の婚約者の座を狙ってくる。おかげで不信に陥ったサイラスに、レベッカは自分が恋人だと名乗り出せなくなってしまった。
サイラスの記憶喪失を解消するため、薬師兼魔女であるレベッカは恋人であることを隠しながら、事件調査を協力することになった。そうして記憶が戻らないまま二人の距離は再び近づいていく。だが、そんなおりにサイラスの偽の恋人を名乗りでた令嬢たちが、次々と襲われる事件も起き始めて……!?
※他のサイトにも掲載しています。
毎日更新です。
お飾り王妃の愛と献身
石河 翠
恋愛
エスターは、お飾りの王妃だ。初夜どころか結婚式もない、王国存続の生贄のような結婚は、父親である宰相によって調えられた。国王は身分の低い平民に溺れ、公務を放棄している。
けれどエスターは白い結婚を隠しもせずに、王の代わりに執務を続けている。彼女にとって大切なものは国であり、夫の愛情など必要としていなかったのだ。
ところがある日、暗愚だが無害だった国王の独断により、隣国への侵攻が始まる。それをきっかけに国内では革命が起き……。
国のために恋を捨て、人生を捧げてきたヒロインと、王妃を密かに愛し、彼女を手に入れるために国を変えることを決意した一途なヒーローの恋物語。
ハッピーエンドです。
この作品は他サイトにも投稿しております。
表紙絵は写真ACよりチョコラテさまの作品(写真ID:24963620)をお借りしております。
【完結】捨てられた侯爵夫人の日記
ジュレヌク
恋愛
十五歳で侯爵家に嫁いだイベリス。
夫ハイドランジアは、愛人と別邸に住み、三年の月日が経った。
白い結婚による婚姻不履行が間近に迫る中、イベリスは、高熱を出して記憶を失う。
戻ってきた夫は、妻に仕える侍女アリッサムから、いない月日の間書き綴られた日記を手渡される。
そこには、出会った日から自分を恋しいと思ってくれていた少女の思いの丈が詰まっていた。
十八歳になり、美しく成長した妻を前に、ハイドランジアは、心が揺らぐ。
自分への恋心を忘れてしまったとしても、これ程までに思ってくれていたのなら、また、愛を育めるのではないのか?
様々な人間の思いが交錯し、物語は、思わぬ方向へと進んでいく。
私の婚約者はちょろいのか、バカなのか、やさしいのか
れもんぴーる
恋愛
エミリアの婚約者ヨハンは、最近幼馴染の令嬢との逢瀬が忙しい。
婚約者との顔合わせよりも幼馴染とのデートを優先するヨハン。それなら婚約を解消してほしいのだけれど、応じてくれない。
両親に相談しても分かってもらえず、家を出てエミリアは自分の夢に向かって進み始める。
バカなのか、優しいのかわからない婚約者を見放して新たな生活を始める令嬢のお話です。
*今回感想欄を閉じます(*´▽`*)。感想への返信でぺろって言いたくて仕方が無くなるので・・・。初めて魔法も竜も転生も出てこないお話を書きました。寛大な心でお読みください!m(__)m
【完結/番外追加】恋ではなくなったとしても
ねるねわかば
恋愛
十一年前、彼女は納得して切り捨てられた。
没落した貴族家の令嬢アリーネは、王都の社交サロンで同伴者として生きる道を選んだ。
歳月は、すべてを思い出に変えたはずだった。
会うたびにかつての婚約者を目で追うのは、ただの癖。
今ある思いは、恋ではない。
名がつくことのない二人の関係は、依頼主と同伴者となり、またその形を変えていく。
2万字くらいのお話です。