好きな人に振り向いてもらえないのはつらいこと。

しゃーりん

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リゼルは父と共に領地から王都へ向かった。レイフォードも連れて。 

リゼルとエヴァンだけなら問題ない。
でも、それぞれに子供がいることから、一度会わせてみようと思ったのだ。
 
まだ小さな子供たち。一緒に暮らせばそのうち家族になれるだろう。
でも、もしレイフォードが嫌がるようなら、少し様子を見てからでもいいと思ったのだ。


しかし、そんなリゼルの心配は一気に吹っ飛んだ。


 
レイフォードと一緒にバーナー伯爵家を訪れると、伯爵夫妻もエヴァンも歓迎してくれた。


「リゼル、元気そうだな。お、君がレイフォードだな。レイと呼んでいいか?」

「うん!」


レイフォードはエヴァンに抱き上げられて嬉しそうだった。
伯爵夫妻に話しかけられてもニコニコして答えている。

初めて会った人でも人見知りしないレイフォードにホッとした。
 
そして、伯爵家の乳母であろう女性が赤ちゃんを連れて来た。


「エヴァンの娘、ルティアよ。」


エヴァンの母、伯爵夫人テレーゼが抱いてやってというので抱かせてもらった。
エヴァンと結婚すれば、ルティアはリゼルの義娘となる。


「まぁ、可愛い。10か月くらい?この柔らかさが懐かしいわ。」


少し前までレイフォードも赤ちゃんだった。
ここからが早い。歩いて、走って、言葉を話して。目が離せなくなる。でも、楽しい時期。


「もうすぐ10か月になるわ。私に似ていると思わない?」


伯爵夫人はニコニコしてそう言った。ルティアの母の顔を知らないけれど、確かに伯爵夫人に似ている。
エヴァンは伯爵に似ているからルティアとは似ていないけれど、瞳の色は同じだった。
間違いなくエヴァンの子供なんだろうけれど、元嫁が男と駆け落ちしたことで僅かな疑いを払拭しきれずに、伯爵夫人は自分に似ていると肯定してほしいのだろうと感じた。


「ええ。テレーゼおばさまによく似ていますね。眉と目元がそっくりです。」

「でしょう?エヴァンに似たら凛々しい女の子になってしまうところだったわ。」


エヴァンははっきりした眉に涼やかな目元をしているためクールな印象がある。
ルティアはフワフワな髪をしているため、甘さと凛々しさでアンバランスになっていただろう。

想像したら思わず笑ってしまった。


「かあさま、あかちゃん?」


レイフォードがルティアを覗き込むとルティアは笑った。


「かわいいねぇ。アリスねえさまとおなじ?」


兄の娘、アリスと同じ女の子なのかと聞いているのだろう。


「そうよ。女の子。アリスはレイの頭をいい子だねって撫でてくれるでしょう?
レイはこの赤ちゃん、ルティアにできる?」

「できるよー。」


レイフォードは小さな手でルティアの頭を優しく撫でた後、えへへ、と笑った。
自分よりも小さな子供に会う機会はほとんどない。なのでとても嬉しそうに見えた。


小さな子供たちの交流は微笑ましく、再婚話は一気に進んだ。

 

  
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