好きな人に振り向いてもらえないのはつらいこと。

しゃーりん

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レーゲン公爵家にビクターがやってきた。

ビクターは違う公爵家の三男なのだが、女好きのため随分前に婚約を解消してからは結婚する気もない。
 
シモーヌの夜這い対策にも協力してくれた彼は、その後、調査を請け負う職についているが、依頼は極秘であることも多いためビクターが調査員だとは知られていない。
顔がいいため、女がらみでも国の諜報でも重宝されているらしい。

レーゲン公爵家もビクターを通じて跡継ぎになりそうな遠縁の調査を依頼したが、暇だったのかビクターが対応したようだった。


「親戚、調べましたよ~。でも、それよりも驚くべき耳寄りな情報を入手しました!」


明るいビクターのノリは、レーゲン公爵にもエドモンドにも合わない。
ビクターに合わせることなく、眉間にしわを寄せたレーゲン公爵が先を急かした。
 

「耳寄りな情報、驚きますよ~。なんと!エドモンドには子供がいると思われます!」

「…………は?」

「前の奥様、リゼル夫人に離婚後会ったことは?」

「リゼル?……一度、伯爵家に行った。リゼルは避妊薬のせいで不妊になっているかもしれない、と。
あとは夜会で見かけた程度だな。」


リゼルはエヴァンと再婚して幸せそうだった。彼女の笑顔をこの家で見たことがあっただろうか。


「実は、リゼル夫人は子連れでバーナー伯爵家に嫁いでいるんだ。その子供、レイフォード君が、なんと!エドモンドにそっくり!」


そんな、まさか。


「それは思い込みのせいじゃないか?リゼルは不妊の可能性があるし、私は孕ませられない。」

「リゼル夫人は再婚後、エヴァンの子供を産んでいるよ。不妊じゃない。」


本当か?だが、エヴァンは前の妻との間に子供がいると聞いた。その子の間違いじゃ。


「あの夫婦の子供は、3人。リゼル夫人の連れ子、エヴァンと前妻の子、そして2人の子、だね。」

「……連れ子の歳は?」


エドモンドの子供だと確信するためか、父が前のめりになって聞いた。


「レイフォード君は、今7歳。ちなみに離婚した7か月後に生まれていますね。」


7か月後?……離婚前にリゼルを抱いたのはいつだっただろうか。
父が倒れる前が最後だったかもしれない。

父の代わりに仕事に追われて忙しく、母の企みに気づかずに離婚することになった。


「ちょっと待ってくれ。リゼルと離婚して3か月後くらいか?アストリー家のことが片付いてからアルマン伯爵家に行ったときは妊娠中だったってことになる。だが、リゼルは何も言わなかったし、妊婦だとも思わなかった。」


さすがに妊婦だと気づくだろう。


「う~ん。微妙。妊娠5か月程度なら分かりづらいんじゃない?それに、リゼル夫人の浮気が原因で離婚したんだよね?その場合、エドモンドの子供だって言わないのが当然じゃない?」


嫡子と認められないからか。


「だけど、リゼルには不妊になった責任を取って復縁しようとも伝えたが、彼女は拒否した。」


そうだ。あの時、リゼルの浮気は母の企みだったとわかっていた。
妊娠を告げられていたら、間違いなく自分の子供だと認めたはずなのに、リゼルは言わなかった。


「へ……?不妊かもしれないのに復縁?跡継ぎ、どうするつもりで?」

「そこは、愛人に産ませると……」

「うわー。それは拒否するわ。子供のことも言わないわ。」
 

ビクターだけでなく、父まで呆れたような目でエドモンドを見た。間違っているのは自分か?


 
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