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しおりを挟むエドモンドは医師から妻アナレージュの腹痛が堕胎薬を飲んだ結果によるものと聞かされて驚いた。
「アナレージュは妊娠していた、と?」
「はい。エドモンド様のお子ではないということでしたが。」
「ああ、まぁ、そうだろうな。」
そして、医師から今後、アナレージュの身に続く症状を聞いてエドモンドは深くため息をついた。
数日後、アナレージュの体調が落ち着いたと聞き、エドモンドはアナレージュの元を訪れた。
「……申し訳ございませんでした。」
「2週間ほど前の君の話とは妊娠のことだったんだな。他の男の子供を私の子供だと偽る気だったのか?」
シモーヌ同様、托卵をしようとしたのだろうか。
「違うわっ!私は、あなたの子供だと思ったの。だけど、あなたに生殖能力がないと聞いて、あなたの子供じゃないことに気づいたの。だから産めないと思って……」
「相手の男は誰だ?相手も結婚しているのか?だから産めなかったのか?」
アナレージュは答えようとしない。そんなにまずい相手なのか?
産む判断をすればエドモンドとは離婚になっただろうが、相手が独身なら結婚も可能だったろうし、既婚者でもその男を愛しているのであれば実家で産むこともできただろうに。
ちょうど、養子の話をしたばかりだから、アナレージュは妊娠を秘密にしたまま離婚を受け入れて慰謝料を受け取ることもできたのにそうしなかった。
つまり、相手の男も自分も遊びで妊娠する気はなく、托卵は計画していなかったのは間違いない。
計画外の妊娠のため、堕胎して、このままエドモンドの妻でいるつもりだったのだ。
「……あなたの愛人が妊娠したと聞いたの。」
どうやら話す気になったようだ。
「私の子ではなかったけどな。……どうやら私の近くの者がお前の近くの者に話したようだな。
まったく、口が軽いのは誰か調べないと。」
「だから、不妊なのは私の方だと思ったの。」
なるほどな。4年も子供ができなければどちらかが不妊なのはほぼ間違いない。
「悔しくて。あなたは私が妊娠しないから跡継ぎのために愛人も抱くのに、私は浮気もせずにあなただけ。
不妊の原因が私でも離婚はしないだろうし、もう浮気しても文句も言われないと思ったの。
だから、仮面パーティーに参加して、そこで……」
「つまり、相手が誰かわからないということか?」
アナレージュは頷いた。
離婚して未婚の母になるか、堕胎して公爵家の嫁のままでいるか、で後者を選んだわけだ。
「で、今後はどうしたい?離婚して実家に帰るか?このままここにいるか?」
「……いてもいいの?」
「条件はいくつかあるけどな。それを受け入れるのであれば。」
「条件を教えて。」
エドモンドは条件をあげた。
性欲処理のために他の女を抱くのを許すこと。
養子をとるのは流産の結果、子供ができなくなったからということにすること。
15歳になるまで何度か顔を合わせることになる養子を疎ましく思わないこと。
養子になってからも関わりは最小限にすること。
必要な社交だけ痛み止めを飲んででも夫婦で参加すること。
必要以上の散財を抑えること。
アナレージュは条件をのんだ。
それはそうだ。実家に戻っても何の役にも立たないのだ。むしろ厄介だろう。
エドモンドとしても、離婚すれば再び再婚を迫られることになり面倒だ。
生殖能力がないと知った上で嫁ぐ女は、結局は地位と財産狙い。アナレージュと大差ないのだから。
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