失った真実の愛を息子にバカにされて口車に乗せられた

しゃーりん

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2年前に結婚した王太子ベンジャミンには、まだ子供がいなかった。

王家では後継者を早く望まれ、2年を過ぎた辺りから側妃の話があがり始める。

例に漏れず、王太子にも側妃の選定が行われることが告げられた。けど……


「嫌です。」

「………え?」


告げた大臣は何を言われたか、一瞬理解できなかったようだ。


「まだ2年です。私もララベルもまだ20歳だ。二人きりの時間が欲しくて子作りが遅くなった。
 だから、あと2年あってもいいんじゃないですか?」


……嘘だ。実際は結婚当初から子作りに励んでいるが出来ない。


「っそれは困ります。今までに結婚から4年過ぎても子供がいなかった王太子などおりません。」

「私が前例になればいいんじゃないかな?後の王族にも喜ばれる。」

「その喜ばれる王族のためには、まず王太子殿下のお子様が必要です。」


水掛け論になりそうだな。鬱陶しい。


「私はララベルを愛しているから、側妃を抱くことはないよ?それでもいい?」 

「いいわけありません。殿下のお子を授かるために側妃になられるのです。」

「殿下、王太子妃殿下も納得の上、嫁がれているのです。
 自分が産めないのであれば、側妃が産む。王家の直系を守るためには当然のことなのです。」


王家の直系に生まれた義務。それはわかってる。……だけどなぁ。


「国王陛下には側妃はいないではないですか。」

「っ陛下はすぐに王太子殿下を設けられました。」

「でも、私一人しか子供はいない。父に側妃の案はなかったのですか?」

「それは…ですが、今は殿下の問題です。陛下の時とは状況が違います。 
 まずは一人、お子を設けてもらわなければなりません。
 側妃に一人でも産ませれば、妃殿下だけを愛そうが自由です。」
 

そんな条件で側妃になる令嬢いる?………いるか。いそうだな。将来の国王の母だもんな。
愛はいらない。地位だけほしい。正妃に優越感。うわー嫌だ。


「だから、無理です。ララベル以外抱きたくありません。」

「殿下。他の女性を経験することで妃殿下との閨も刺激になりますよ。
 嫉妬で妃殿下も妊娠しやすくなるかもしれません。
 愛人に対抗する正妻は多くいますからね。」


んなわけあるか!愛人と正妻が同時期に妊娠なんてすると産まれる子供にまで嫌われそうだ。


「せめて、あと1年待ってくれませんか?」


少しでも引き延ばしたい。


「…では、殿下の結婚3周年直後に側妃を迎え入れることでいかがでしょうか。
 皆様も殿下からの折衷案で納得いただけますか?」


大臣たちは、みんな頷いている。マズい。


「ちょうど良いのでは?今から内々に打診を始めることになります。
 まぁ、その前に公募をかけて側妃に立候補なさる令嬢の中から選ぶでもいいですね。」

「殿下との相性もありますし、直接面談をなさるのがよいのでは?」

「妃殿下との兼ね合いもありますね。
 いっそのこと妃殿下がお選びになられると不和にならなくて済むのでは?」

「いいですね。自分が産めなかった跡継ぎを産んでくれた側妃と仲が良い正妃。」


ちょっと待ってくれ。ララベルに選ばせるなんて正気か?
しかも、この1年の間にそんなことをさせると、ストレスで妊娠するわけないじゃないか。

 

こうなったら………もうあの手しかない。










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