6 / 9
6.
先ほど、真実の愛など気にせずに王家のために使命を果たす令嬢がいると言った宰相に聞いた。
「宰相、先ほど私に勧めた親戚の令嬢は今何歳なのですか?」
「…確か、18歳で既に学園は卒業しております。」
「どこの令嬢?」
「私の姪でして、リード侯爵家の令嬢です。」
「侯爵令嬢ですか。なぜ婚約者がいないのですか?」
「あの娘はブライディアと言いますが、婚約者候補の令息を言い負かす娘でして……
勝ち気なのか、賢すぎるのか、男をたてることをしないらしく嫌厭されてしまうそうです。」
「なるほど。いいじゃないか。父の側妃、いや、実際は正妃みたいなものだ。
どんな噂をされようが撥ねつける心意気がありそうだし。
ねぇ、父上。まだあと10年は国王陛下でいてもらわねばなりません。
国王の隣には適切な正妃がいるのが望ましいと思いますよ。
是非ともブライディア嬢を父の正妃に。どうでしょうか、みなさん。」
うんうん頷いている者が多い。私には年下の義理の母にはなるがどうでもよい。
「ひとつ、確認いたしますが、陛下と殿下の双方に男子が生まれた場合はどうなさるので?」
「どうもこうも、父の子供は私の弟だ。普通に考えれば王太子の子供が後継者だろう?
私の子供が娘で、父の子供が息子の場合は、私から弟に継承されると思えばいい。
確かに私の母は元伯爵令嬢でブライディア嬢は侯爵令嬢だ。
ブライディア嬢が息子を生んだ場合は弟の方が相応しいという意見も出るだろう。
だが、ララベルの義父である公爵も、ララベルが息子を生んだ場合は譲らないだろう。
しかしどの道、私が中継ぎをしないと、父から弟に継がせるのは年齢的に無理だ。
ま、男子がいつ誰に生まれるかで、その時にまた議論すればいい。」
正妃と側妃が同時期に男子を産む後継者争いと似ているようで少し違う。
しかし、今から杞憂したところで生まれてもいないのだから。
ここで、ようやく父が話の流れについてきたようだ。
「ちょっと待ってくれ。私に側妃?いや、正妃?今更?」
「今更も何も、国王陛下なのですから子供があと一人二人いてもいいのでは?」
「18歳の令嬢が40男に素直に嫁ぐわけがないだろう?」
みんなが一斉に宰相を見た。誰も実際の令嬢を知らないから。
「……ブライディアなら、むしろ同年代よりもいいと思うかもしれません。」
「年の離れた後妻なんて、よくある話ではないですか。」
「……父上、まさか機能していないなんて言いませんよね?」
みんなの視線が机で隠れて見えないのに陛下の股間辺りを凝視していた。
「何をバカなことを。まだ機能している。問題ない。」
なぜか拍手が起こり、父が側妃を娶る方向で承認された。
ひとまず、側妃となり、時機を見て正妃にする方向で……
ブライディアにもブライディアの両親にも確認がとられないまま話は勝手にまとまった。
まさか、父だけでなく大臣たちまで私の口車に乗ってくれるとは……お陰で助かった。
あなたにおすすめの小説
【完結】16わたしも愛人を作ります。
華蓮
恋愛
公爵令嬢のマリカは、皇太子であるアイランに冷たくされていた。側妃を持ち、子供も側妃と持つと、、
惨めで生きているのが疲れたマリカ。
第二王子のカイランがお見舞いに来てくれた、、、、
とある侯爵令息の婚約と結婚
ふじよし
恋愛
ノーリッシュ侯爵の令息ダニエルはリグリー伯爵の令嬢アイリスと婚約していた。けれど彼は婚約から半年、アイリスの義妹カレンと婚約することに。社交界では格好の噂になっている。
今回のノーリッシュ侯爵とリグリー伯爵の縁を結ぶための結婚だった。政略としては婚約者が姉妹で入れ替わることに問題はないだろうけれど……
真実の愛の取扱説明
ましろ
恋愛
「これは契約結婚だ。私には愛する人がいる。
君を抱く気はないし、子供を産むのも君ではない」
「あら、では私は美味しいとこ取りをしてよいということですのね?」
「は?」
真実の愛の為に契約結婚を持ち掛ける男と、そんな男の浪漫を打ち砕く女のお話。
✻ゆるふわ設定です。
気を付けていますが、誤字脱字などがある為、あとからこっそり修正することがあります。
・話のタイトルを変更しました。
再会の約束の場所に彼は現れなかった
四折 柊
恋愛
ロジェはジゼルに言った。「ジゼル。三年後にここに来てほしい。僕は君に正式に婚約を申し込みたい」と。平民のロジェは男爵令嬢であるジゼルにプロポーズするために博士号を得たいと考えていた。彼は能力を見込まれ、隣国の研究室に招待されたのだ。
そして三年後、ジゼルは約束の場所でロジェを待った。ところが彼は現れない。代わりにそこに来たのは見知らぬ美しい女性だった。彼女はジゼルに残酷な言葉を放つ。「彼は私と結婚することになりました」とーーーー。(全5話)
クレアは婚約者が恋に落ちる瞬間を見た
ましろ
恋愛
──あ。
本当に恋とは一瞬で落ちるものなのですね。
その日、私は見てしまいました。
婚約者が私以外の女性に恋をする瞬間を見てしまったのです。
✻基本ゆるふわ設定です。
気を付けていますが、誤字脱字などがある為、あとからこっそり修正することがあります。
【完結】「図書館に居ましたので」で済む話でしょうに。婚約者様?
BBやっこ
恋愛
婚約者が煩いのはいつもの事ですが、場所と場合を選んでいただきたいものです。
婚約破棄の話が当事者同士で終わるわけがないし
こんな麗かなお茶会で、他の女を連れて言う事じゃないでしょうに。
この場所で貴方達の味方はいるのかしら?
【2023/7/31 24h. 9,201 pt (188位)】達成
あなたがわたしを本気で愛せない理由は知っていましたが、まさかここまでとは思っていませんでした。
ふまさ
恋愛
「……き、きみのこと、嫌いになったわけじゃないんだ」
オーブリーが申し訳なさそうに切り出すと、待ってましたと言わんばかりに、マルヴィナが言葉を繋ぎはじめた。
「オーブリー様は、決してミラベル様を嫌っているわけではありません。それだけは、誤解なきよう」
ミラベルが、当然のように頭に大量の疑問符を浮かべる。けれど、ミラベルが待ったをかける暇を与えず、オーブリーが勢いのまま、続ける。
「そう、そうなんだ。だから、きみとの婚約を解消する気はないし、結婚する意思は変わらない。ただ、その……」
「……婚約を解消? なにを言っているの?」
「いや、だから。婚約を解消する気はなくて……っ」
オーブリーは一呼吸置いてから、意を決したように、マルヴィナの肩を抱き寄せた。
「子爵令嬢のマルヴィナ嬢を、あ、愛人としてぼくの傍に置くことを許してほしい」
ミラベルが愕然としたように、目を見開く。なんの冗談。口にしたいのに、声が出なかった。