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ブライディアのリード侯爵家にやってきた宰相。
侯爵夫妻に、ブライディアが国王陛下の側妃に選ばれたことを報告。
ひと月以内に王宮で暮らすように告げた。
「国王陛下の?王太子殿下ではなく?」
「ええ。国王陛下です。王太子殿下は妃殿下を大切にしており、側妃は考えられないと。
ならば、陛下が側妃を娶り弟妹ができることを望むとおっしゃられましてね。」
「ああ、王太子殿下は結婚から2年経ちましたか。
確かに仲睦まじい姿を見せつけておられるのに、側妃を娶るとなるとまだ早く感じますね。
それで陛下が、ですか。」
「側妃と言ってはおりますが、早いうちに正妃つまり王妃となられます。
現王妃様は何年も公務ができておりません。
ブライディア嬢には王妃としての公務も望まれています。
まぁ、陛下のお子を、というのが本命ではありますが。」
「なるほど。しかし、なぜブライディアの名が?」
「それは……申し訳ない。私の失言によるところで。」
宰相は、8年も側妃を考えないと言い出した王太子殿下に対抗し、ブライディアなら王太子夫妻の仲を気にすることなく子供を生んでくれるのではないかと思い、名を出したことを話した。
それを逆手に取って、国王陛下の側妃にすることを王太子殿下が言い出したことも。
「しかし、ブライディアにはいいと思わないか?
あの娘には同年代の令息は物足りないだろう。
年上過ぎるかもしれないが、陛下は若く見えるし容姿がいい。腹も出ていない。どうだ?」
口調を親族向けにして説得というか懇願してみた。
「……まあ、そうだが。王命ではないが決定事項で断れないんでしょう?」
「国のためにも一日も早く王宮に来てほしいんだ。頼む。」
「……わかりました。お受けしましょう。」
何歳離れていようが貴族令嬢の義務だ。しかも、条件としては悪くもない。
娘がそのうち王妃になるというのは、まだ心の準備ができそうにもないが。
リード侯爵は娘ブライディアに国王陛下の側妃に選ばれたことを話した。
「…は?側妃?私が?陛下の?王太子殿下ではなく?」
だよな。同じことを思うよな。
「王太子殿下に2年経ってもお子がいないため、側妃の話があがった。
しかし、妃殿下を大切にしておられる殿下が断り、ならば陛下が側妃をということになった。」
「つまり、子を産めと?」
「そういうことだ。殿下に兄弟がいたなら、兄弟に子がいたなら良かったんだがな。
陛下も殿下も兄弟がおらず、直系の維持が難しい。
殿下が側妃を望んでいないとなると、可能性があるのは陛下になる。…嫌か?」
「嫌といっても無理なんでしょう?というか、別に嫌じゃないわ。
陛下が隠居するまで、せいぜい10年くらいでしょ?その後は社交界から遠ざかれるし。
それまでに貴重な文献を読んだりできるし、陛下を使って改善案を出すのも面白そうだし。」
そうだ。この娘は知らない知識を得ることが好きだ。
男であれば、学者になったり、王城でいい働きができたのにと思う。
「改善案というのは、令嬢にも官吏の職をというやつか?」
「ええ。それはもちろん。他にもね。いいと思わない?」
「……そうだな。議題にもあがらなければ改善はできない。陛下の声では無視もできない。
検討の上、可決も否決もあるだろうが、いい機会だな。」
時代の流れはかわりつつある。ブライディアのような考えが出てきてもおかしくない。
ブライディアを側妃にすることを賛成した大臣たちが後悔しなければよいがな………
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