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しおりを挟むナディアはその後、王宮の客間に案内された。
寮の荷物も明日の出立に合わせて纏めてくれるらしく、安心していいと言われたけれど、どう考えても逃がさないように軟禁されたとしか思えなかった。
なぜなら、部屋から出してもらえないから。
食事と入浴を済ませ、そろそろ寝ようと思ったときに扉がノックされたかと思えばニコルソン殿下が入ってきた。……いや、押し込まれてきた。
「で、殿下?大丈夫ですか?」
「……初夜を済ませろと。ふ、夫婦になったんだもんな!当然だよな!!」
嘘でしょう?!
王妃様、心の準備もさせてくれないのですか~!
でもそっか。
シャーロット様は私がニコルソン殿下が好きだと思っていたのだから、王妃様もそう思っているんだわ。
国王陛下も、……ニコルソン殿下本人も。
今更、好きじゃないです、だなんて言える状況じゃないわ。
殿下がチラチラと見てくる。ベッドに誘う雰囲気を作ろうとしているんだわ。
逃げられない。
逃がしてもらえない。
初夜が終わるまで、軟禁は続く気がする。
ナディアは深呼吸をして、腹を括った。
いつか、経験することだから。
ニコルソン殿下は好みではないけれど、美形ではある。
拒絶したいほど、嫌いなわけでもない。
結婚したんだから。
ナディアは頑張って、ニコルソン殿下に微笑んで見せた。
それを見た殿下は…………言葉が通じなくなった。
それはもう、我を忘れたようにナディアの体に夢中になり、初夜を完遂した。
翌朝、ニコルソン殿下とナディアは追い出されるように男爵領に向けて出発した。
「ナディア、体は大丈夫か?」
「大丈夫です。あの、ニコルソン様とお呼びしても?」
彼はもう、殿下ではない。
出発前に王妃様からそう指摘されたのだ。
「ニコルソンでいい。それにもっと気安く話してくれて構わない。ふ、夫婦なんだからな。」
「ふふ。わかったわ、ニコルソン。」
案外、仲良く暮らせるかもしれない。
ナディアは照れるように夫婦という言葉を使うニコルソンを可愛いと思った。
「そういえば、シャーロットは平民になったらしいぞ。」
「え?!なぜですか?」
ニコルソンとの婚約を解消したことでマッケンジー公爵が怒ったの?
「あまり知られていないが、シャーロットは8歳からずっと王宮で暮らしてきた。詳しくは知らないが、マッケンジー公爵家にはシャーロットの居場所がなかったらしい。
だから、そんなところに帰りたくなかったんだろう。自由に生きたいと平民になることを望んだと聞いた。」
「自由に……。大丈夫なのかしら。」
「慰謝料も渡したみたいだし、当分困ることはないだろう。ちゃんと付き添いもいるようだし。母はシャーロットを娘のように思っていたからな。心配いらないと思う。」
「それならよかった。」
一緒に暮らしてきたから、シャーロット様を妹みたいだなんて言ったのね。
シャーロット様に嫉妬の目を向けられたこともなかったし、お互いに婚約解消を望んでいたんだわ。
それにしても……
ニコルソンは男爵家の婿という暮らしに耐えられるのかしら。
うちは貧乏ではないけれど、特別裕福でもないわ。
嫌な予感はするけれど、王妃様の様子ではニコルソンはもう戻れないから我慢してもらうしかないかな。
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