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クレアは健やかに育ち、生後半年が過ぎた。
マーシャリーは産後三か月が経つ頃から、ブラーム公爵夫人として再びフィリップと表に立つようになり、社交界ではいつの間にか自分たち夫婦がとても仲の良い夫婦だと思われていた。
そのせいか、フィリップが不機嫌公爵と呼ばれることもなくなり、献身公爵と呼ばれていることを知った。
「献身公爵って何?」
「王命で婚約者と引き離されたお前に、一目惚れした私がひたすら尽くして振り向いてもらえたということになっているらしい。」
フィリップが嫌そうにそう言った。
「どうして!?」
意味がわからない。
「意外とお前が評価されているんだ。学園でCクラスだった男爵令嬢が夫の期待に応えるために公爵夫人として努力している姿が微笑ましく立派だと。」
「そんなつもりで学んだわけじゃないのに……」
公爵夫人として努力せず見放されてフィリップに離婚された女だと思われて、実家やデイヴィスに迷惑をかけないようにと学び始めたはずなのに。
クレアの母親としても自分が評価されることはいいこととは思っても、離婚しにくくなってしまう。
「実際、お前はよくやってくれていると思うぞ。正直言って、見直した。
初めて会った時のお前は令嬢というよりもまるで幼子だったからな。ここに来てからもキーキーうるさい小猿かと思っていたが、今は母親になったせいか落ち着いた。まぁ、年相応というべきだろうが。その成長ぶりは評価する。」
言い方は微妙だけど、褒めてくれているらしい。
フィリップも、嫌味な言い方をあまりしなくなったように思う。
あるいは、マーシャリーの気持ちの変化でそう思うようになったのかもしれない。
「そういえば、十日後からまた子作り再開だとジャニスから聞いたか?」
マーシャリーは驚いて首を横に振った。
三日前にクレアを妊娠してから止まっていた月のものが再開していた。
つまり、再び妊娠できる体に戻ったため、二人目の子作りが始まるらしい。
「早く二人目ができるといいな。そうしたら元婚約者の元に戻れる。そうだろう?」
「え、ええ。」
フィリップの言葉に、マーシャリーはどこか曖昧に頷いた。
二人目ができなければ、あるいは、二人目が光の魔力を持つ子でなければ、ここに居続けられる?
そう思ってしまったから。
この王命結婚を受け入れるために離婚前提の条件をつけたのはマーシャリーからだったというのに、その条件が自分を苦しめることになるとは思わなかった。
子供たちと離れてデイヴィスの元に戻っても、自分は幸せになれるとはもう思えない。
しかし、父はマーシャリーが離婚してデイヴィスと再婚することを望んでいるはずだと思うと、ここにいたいとフィリップに言うこともできなかった。
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