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31.
フィリップに愛人がいるのであれば、彼の望む夫婦生活はお断りしたい。
「愛人と別れる気がないのなら、私と閨を共にする必要はないですよね。それとも愛人とは別れるってことですか?」
きっぱり別れるというのならそうしてほしい。
別れないのなら、医療行為で妊娠したい。
子供たちの側にいられるのであれば何人も子供を産むから、公爵夫人というお飾りになりたい。
それではダメ?
「そもそも、私に愛人がいるというのは誰が言ったんだ?」
誰って……
「デイヴィスが、子種を出すためには誰かと行為をしていただろうから愛人がいるって。」
「そう言えばそんなことを言っていたな。」
「侍女の誰かですか?それとも、まさかジャニス先生?」
どこかの令嬢はもちろん、まさか、娼婦を屋敷に招き入れていたとは思いたくない。
「あのなぁ。子種を出すのは自分一人でもできるんだ。」
「そうなのですか?じゃあ、愛人は?」
「いない。そんな面倒なことするかよ。王命で結婚したんだぞ?新婚早々、愛人なんか作っていたら国王の顔に泥を塗るようなものだ。」
確かに。
「疑って、ごめんなさい。」
「まあ、いい。要するに離婚しないなら妻であるお前が相手をするしかないってわかったか?」
「わかりました。」
元々はそうなるはずだったのに、マーシャリーが離婚前提の条件をつけたから、フィリップが気遣ってくれただけのこと。
愛人を許さず、このまま結婚を続けるのであれば、閨を共にするのは妻であるマーシャリーの役割だとわかっている。
彼の優しさに、今度はマーシャリーが応じるのは当然のことだった。
「いい返事だ。じゃあ、夜までに覚悟を決めろよ?」
「え!?」
今日?
「忘れたか?ジャニスに言われた日だろ。」
「あ……」
妊娠しやすい日。
「その前に……」
そう言ったフィリップは、マーシャリーを抱き寄せてきたと思ったら唇が重なっていた。
「……へ?」
「間抜けな顔だな。」
鼻で笑ったフィリップの顔が再び近づき、今度は少し長く続いて離れた。
マーシャリーは呆然とした後、ハッとして言った。
「は、初めてだったのに、いきなりだなんて!!」
「キスするぞって言うのも変だろう?それにお前、前もって言うと緊張して固まりそうだし。」
「うっ……」
そうかも。
「嫌だったか?」
「……ううん。嫌じゃなかった。」
「なら大丈夫だ。男女のアレコレが初めてのお前はされるがままになっていればいい。」
フィリップは優しい顔をしていたから、嫌味でそう言っているのではないとわかった。
彼に任せていれば大丈夫。
マーシャリーはそう思えた。
そう思えたのだけれど……
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