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32.
マーシャリーはベッドの上でシーツに潜って唸っていた。
「ううぅ~……恥ずかしすぎる。顔から火が出るかと思ったわ。」
「すぐに慣れる。」
「こんなの、慣れないっ!!」
マーシャリーとフィリップの正真正銘の初夜は、マーシャリーの狼狽える声と恥ずかしがる声と……ちょっとだけ気持ちよさげな声で騒がしいまま無事に終えた。
「いっておくが、今日はまだ手加減したんだぞ?」
その言葉に驚いて、シーツから顔を出してフィリップに言った。
「……あれで?」
「ああ。今後が楽しみになったか?」
ニヤッと笑うフィリップの余裕が恐ろしかった。
なのに、彼の色気を感じ、体が勝手に疼いた。
「体の反応に素直になれば、楽しい夫婦の時間になるぞ。」
それは、そうかもしれない。
でも、とにかく恥ずかしい!!
「みんな、同じような経験をしてる。だが、普段は平然として表に出さないだろう?」
「そうね。すごいわ。」
既婚者はみんな、こんなに恥ずかしい思いをしているはずなのに、毎日普通に過ごしているのね。
私はフィリップとのアレコレを思い出してしまうと顔が真っ赤になりそうなのに。
みんな、すごいわ。
「お前は思っていることが顔に出るからわかりやすい。公爵夫人としては少し問題だが、普段はそのままでいい。お前のいいところでもあるしな。」
「……不作法でも?」
「ああ。もう慣れた。」
フィリップはマーシャリーと離婚するつもりだから、それほど口うるさくないのかと思っていた。
しかし、結婚を続けることになっても、マーシャリーを型にはめるつもりはないらしい。
それが嬉しかった。
それから、回数を重ねるごとに、確かに慣れてきた。
それでも恥ずかしいものは恥ずかしい。
しかし、恥ずかしさは気持ちよさに負けてしまうのだとマーシャリーは実感した。
今日は誘ってくれる日かな?と心待ちにしてしまうほどに。
フィリップとの閨事は、もう生活の一部になっていた時、妊娠がわかった。
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「言い方っ!!」
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