王命結婚しても、役目を果たせば愛する人の元に戻ります

しゃーりん

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マーシャリーはまた悪阻がないまま安定期に入りそうだった。


「また光の魔力を持つ子みたいね。よかったー。食事が美味しいわ。」 


病気などしたことがないマーシャリーは、悪阻で寝込んだり食事がとれなくなることを恐れていた。
しかし、何事もなく妊娠初期を終えることになり、妊娠しているとは思えなないほどよく動き、よく食べた。
 

「クレアを抱っこできないのは残念だけど。」


1歳になったクレアはそれなりに重くなったため、抱き上げることを禁止された。
まだお腹が出ていないため、膝の上に乗せることならできるのに、クレアがお腹を蹴るかもしれないとフィリップはすぐにクレアを取り上げる。

初めは嫌がっていたクレアもフィリップに慣れ、腕の中でご機嫌そうにしている。
そんな二人を見るのがマーシャリーの楽しみとなっていた。 


「そう言えば、お前の元婚約者の相手、子供を産んだぞ。」

「あら。デイヴィスも父親になったのね。よかったわ。」


テープラー男爵家はフィリップとの契約に違反したことで爵位と領地を失った。
托卵をしようとしていた罪は、未遂であったこととデイヴィスの無知さを理由に、フィリップとマーシャリーは咎めないことにした。

その代わり、イザベラとお腹の子と三人で、平民として地道に働くよう約束させた。

マーシャリーはイザベラを平民だと思っていたが、実際は子爵令嬢だったらしく、デイヴィスに托卵をけしかけたことを親に知られて勘当されたらしい。

彼らにはフィリップの知り合いを通じて仕事を与えたと聞いている。
ちなみに、前テープラー男爵夫妻にも。

おそらく、マーシャリーや父を頼らないよう、見張る意味で。
そして、生活状況を報告させているため、イザベラの出産のことも伝わったようだった。


「だが、産まれた赤子は黒髪だったらしい。」

「黒髪だと問題なの?」


マーシャリーはイザベラの容姿を知らない。
黒はデイヴィスの家系の色ではないため、イザベラの家系なのだと思ったのに。
 

「どちらの家系でもない。デイヴィスにイザベラを紹介した男が黒髪だったらしい。」

「つまり、その男の子供で、デイヴィスの子供じゃないってこと?」

「そのようだ。」

「あらら……」


いくら頭の悪いデイヴィスでも、自分の子供じゃないと気づいたらしい。
優しい彼でも怒るだろう。


「黒髪の男は独身?」

「いや、既婚者だ。妻との間に子供もいる。」

「うわぁ。修羅場ね。」

「ああ。デイヴィスはその男の元に産まれたばかりの子供を置いて行った。」

「え……?置いて行った?」

「イザベラに指示されたようだ。子供は父親の元で貴族として育った方がいいと。」 

「……その男に捨てられたイザベラの復讐かしら。」
 

デイヴィスは深く考えないから。

それでもデイヴィスは、イザベラが側にいてくれるのなら言いなりになる。

それが彼の愛し方だから。

 

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