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翌日からも、表面的にはいつもと変わらなかった。
タイラーと閨を共にすることを考えなければ、この生活はこのままで問題ないのかもしれない。
だけど、ルチルはどうしても割り切ることのできない思いがあった。
ルチルは知りたかった。
『快感』を。
こんなことはあのタイラーに言えない私の秘密で。
母や義姉の行為後の満足そうな顔を何度も見てきたルチルにとって、夫から与えられるはずのソレは期待に満ちた結婚の一つでもあったから。
だが実際は、気持ちいいなどと一度も感じたことはない。
翌月、月に一度の閨事の日に、私は夫婦の寝室には行かなかった。
「ルチル、昨日の夜はどうかしたのか?」
「………あぁ、眠くて寝てしまいました。ごめんなさい。」
「いや、調子が悪いのでなければいいんだ。」
侍女から言われて、一応タイラーは寝室で待っていたらしい。
もし昨日、寝室に行っていたらタイラーは私で興奮してくれた?
それとも前みたいに無理やりソノ気になろうと自分で頑張った?
もうタイラーと閨を共にすることができる気がしない。
息子のジェイドがいるから、嫌々しなくてもいいと思い始めた。
だけど、『快感』を知らない自分が惨めに思えて……自分で慰めてみた。
でもどうするのが気持ちいいのかわからず、余計に惨めに思えてしまった。
あぁ、もう何をどうすればいいのかわからない。
私は思い切って、昔からの友人に話を聞いてもらおうと思った。
兄と高級娼婦の話や、兄と義姉の営みの声の話とか、割と赤裸々な愚痴を聞いてくれたニコラ。
前に会ったのは、出産して少し経った頃だったのでタイラーとの閨事の話は一度もしたことがない。
だけど、もう全部ぶちまけてしまいたかった。
「ルチル、いらっしゃい。」
「二コラ、妊娠中なのにごめんね。胎教に悪い話かも。」
「ふふ。大丈夫よ。あなたが心配だったから。」
「心配?」
「ええ。だって、あなたまだ旦那様の愚痴を言わないんだもの。
ずっと話にくい何かがあるとは思っていたの。
以前は相談とかもしてくれていたのに、結婚後はなかったでしょ?
何か溜め込んでそうだなぁとは感じていたから。」
「……そうよね。前にキスのタイミングの話とか聞いたこともあったわね。
まぁ、その延長みたいな話なんだけど聞いてくれる?」
私は初夜から今までの夫との夫婦の営みで起こったことを語った。
それはもう自棄のように………
「………えーっと。あなたの旦那様、初心?違うわね。知識がない?
それに、何か勘違いというか、先入観というか、間違った常識を植え付けられていない?」
「やっぱりそう思う?侯爵家の教育がそうなのかしら。
私に付いている侍女は義父の若い頃からいるみたいだけど、それが普通のように思ってるのよ。」
毎月、妊娠しやすい日をタイラーに報告している侍女がいるって普通なの?
そして、その日に私も夫婦の寝室に行くように言われるのよ?
侍女に決められた閨事の日みたいだわ。
「それにしても月1回って………それでよくジェイド君ができたわね。」
「でしょ?私も驚いたもの。」
やっぱり月1回ってまだ若いし不仲な夫婦でもないのに変よね?
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