逃げた先で見つけた幸せはずっと一緒に。

しゃーりん

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その後、ジェイドは妻を貶める発言をしたことに対して苦情の手紙を送り付けたが、あの夫人たちは夫から離婚されて実家に戻され、さらに修道院に入ることになったという。
慰謝料と共にそう伝えられた。
 
メロディーナに対してだけならそこまでのことにはならなかったが、その他、学生時代の素行やメロディーナ以外の令嬢に対する虐めの問題の浮上、そして、やはり王族への不敬ととられる発言が知れ渡る前に対処したということのようだ。

現国王陛下も母親の出自の話をされると不機嫌になるが、夫であった前国王陛下は妻を蔑む者に対し苛烈なほど怒りを露わにしていたという。
それにより、親世代では格差婚に口出ししなくなったが、若い世代には伝わりきれていなかったのだ。

あのテラスでの会話はローレンスやジェイドたち以外にも聞いている者がいた。
 
そのため、庇いだてしては婚家・実家ともに不利益を被ることを恐れ、早々に決断が下されたようだ。

そして、現国王陛下の治世でも格差婚の話題は口外禁止かのようになり、ローレンスとメロディーナが陰口を叩かれることもなくなり、オリオール侯爵夫妻として社交界に受け入れられた。

 


貴族社会から離れていたローレンスとメロディーナは、貴族であった時も十分な作法を学んでいなかったことから今更テーブルマナーを学ぶ日々。

普段から慣れていないといざという時に失敗することになる、と毎日のように正装での晩餐をするようにとマナー講師からは言われており、なかなか貴族らしい暮らしに慣れないが、朝と昼はできる限り子供たちと一緒に食事をしている。
まだ小さい子供と食事をする貴族は少ないらしいが、子供たちの顔を見る時間は少しでも増やしたい。 


「ねぇ、ローレンス。さっきアンナさんから聞かれたんだけど、子供は二人でいいのかしら?」

「ん?……もう一人欲しいって言ったらどうする?」


大変な思いをするのはメロディーナだから、今のままでもいいけれど。


「いいわよ?一人でも二人でも産むわ。」


メロディーナのその言葉にローレンス以上に喜んだ顔をしたのはアンナだろう。





そして、二か月後。


「あ……妊娠したみたい。この臭い、ダメだわ。ミレージュやリカルドの時と一緒だわ。」

「そうなのか?!医師を呼ぼう!」

「慌てなくても大丈夫よ。まだ診てもらってもわからないと思うわ。」

「三度目ともなると落ち着いたもんだな。イチゴが食べたくなるんだったか?」


ローレンスの言葉を聞いて、慌てて侍女が厨房に報告し、イチゴがメロディーナに提供された。
 

「う~ん!やっぱりイチゴなら食べられるわ。後で他に食べられる物も書き出すわね。」


メロディーナの悪阻は比較的短くて軽いらしいが、その間はローレンスも同じものを食べていたので、今回もそうなるように頼んだ。
ひと月ほどは臭いのキツイ食事は出てこなくなるだろう。


そしてやはり妊娠していたメロディーナは、やがて男の子を出産した。 

弟の顔を眺めて嬉しそうに笑うミレージュとリカルド。

自分が三人の子の父親になるなんて、オリオールを捨てた頃には思いもしなかったことだ。

メロディーナと出会えたことが家出をしてよかったと思える一番のことだ。
 

「もうっ!泣いてるわよ?幸せだなって思ってたの?」

「ああ。幸せだな。家族ってこういうもんだよな。」


祖父母に、父、義母、義弟、元妻という以前の家族には恵まれなかったが、自分が望んだメロディーナと築いた家族との間には幸せを感じられることが嬉しかった。


「愛してるよ。」


そう伝えられる人がいることが、幸せなのだと。



<終わり>


 
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