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しおりを挟む教室に入ったパトリシアたちは、喜びを爆発させた。
「やったわね!こんなに早く婚約解消できるなんて。よかったわね。」
「リチャードが単純すぎるんだ。侯爵令息なのに頭が残念すぎるから。」
「イゾベラはやり過ぎだったものね。学園でわざわざ話しかける必要がある内容なんてなかったし。」
「ブライアン、もう横やりが入らないように、すぐに婚約を申し込めよ!」
協力してくれたみんなに感謝し、先ほどの内容を記して実家に届ける手配を済ませた。
父は婚約解消または婚約破棄に向けて、喜んで書類を準備するに違いない。
イゾベラの荷物はそのうち届くだろう。
彼女が学園に通い続けるかどうかはわからないが、後のことはパトリシアには関係ない。
リチャードがイゾベラをどうするかも、パトリシアには関係ない。
二人と無関係になれて、パトリシアは重荷を下ろしてスッキリとした気分になれた。
「パトリシア、婚約解消の手続きを終えたらすぐに教えてくれ。婚約を申し込みに行くから。」
「ええ、ブライアン。今度こそ、ね。」
パトリシアは久しぶりにブライアンと笑い合った。
リチャードは確かに美形ではあるが、パトリシアはブライアンの顔の方が好みである。
そして、顔は年月と共に衰えるのだから、やはり大切なのは中身、性格。
ブライアンという恋人がいなければリチャードと結婚していたかもしれないが、おそらく彼が早々に浮気をして離婚することになっていたのは間違いない。入り婿が浮気をすれば当然そうなる。
なので、パトリシアは政略結婚より恋愛結婚することを望み、自分で相手を探し、ブライアンに決めたのだから。
パトリシアが屋敷に戻ると、驚くことにダリス侯爵とリチャードが来ていた。
リチャードはあれから帰って父親に報告したのだろう。
「パトリシア嬢、息子が申し訳なかった。二度と愚かな真似はさせないから考え直してもらえないか?」
ダリス侯爵が格下の伯爵令嬢に対し、謝罪を口にするが、パトリシアは首を横に振る。
「リチャード様はイゾベラを選ぶと口にされました。カトリーナ第二王女殿下が証人ですし、二度と愚かな真似はさせないというお言葉に信ぴょう性もございません。
この三か月間のリチャード様の言動からも、結婚相手が私であることに不満があるようでしたので。」
婚約してから、リチャードから手紙一枚、贈り物一つ、デートの誘いすらなく、学園でも昼食を共にしたことはないと侯爵に告げた。
「は……?何も?」
「ええ。何も。」
この国では、最初に男の方から誘うことが常識である。
最初にお茶を飲むなりデートの誘いがあってから、次の約束を取り付けたり、定期的に会う日を決めたりするものだ。
誘いがないということは、婚約を望んでいないというのと同じこと。
しかし、望んでいなくても婚約を続けなければならない場合でも、何かしらの連絡はあるものだ。
「ここまで常識知らずだったとは……残念だが婚約解消を認めよう。」
ダリス侯爵はリチャードの再教育は難しいとわかったに違いない。
このまま婚約を押し切り結婚できたとしても、リチャードが離婚される未来が見えたことだろう。
婚約破棄、ではなく、婚約解消で手を打つことにした。
「あ、あの、イゾベラはどうすれば………」
「うちとは無関係なのでお好きにどうぞ。」
リチャードは困った顔をしたが、パトリシアが笑顔で圧をかけるとスゴスゴと帰って行った。
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