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しおりを挟む三度目の出産だったからか、とても安産で心の整理がついていないブランシェには助かった。
でも、産まれた子については複雑な思いがした。
それはブランシェだけでなく、侍女たちもそうだった。
エルシスやパッティが産まれた時みたいに、今か今かと誰も楽しみに待ってくれていない。
それに、出産を終えたブランシェを労わってくれる言葉もない。
産まれた子の髪色は金髪。
ブランシェは銀髪で、父親の可能性はないがアンゼムは赤茶色。
ブランシェの近しい家系に金髪はいないので、子の父親の家系と思われた。
しかも……
「エルシスやパッティとあまり変わらない大きさよね?」
ブランシェは専属侍女のオリーブに聞いた。
「そうですねぇ。どちらかと言えばこの子の方が大きいかもしれません。」
オリーブも首を傾げていた。
どう考えても、この子は少なくとも二か月近く月足らずで産まれたはずなのに、大きい。
「胎児の発育を促す魔術なんてありましたっけ?」
「聞いたことないわ。でもそう言えば、私は栄養剤を摂取させられていたみたいだけど。」
騎士がそのようなことを言っていたのを思い出した。
その栄養剤が特殊だったとか?
「それは眠ったままのブランシェ様を死なせないためにではないでしょうか?」
オリーブには陣痛の最中、知らない部屋で目覚めた話と、さっきアンゼムと話した内容を伝えていた。
記憶喪失だったのかな?と思いついた想像を話すと、睡眠剤を入れられていたのであれば、ずっと眠らされていたのだろうという結論になった。
「私、じゃなくて、この子を死なせないためだったりして。」
「その死んだ男がブランシェ様との子が欲しかったということでしょうか?」
「そうなのかな。誰なんだろう、その人。」
陣痛の時に騎士が話を聞きに来ていたらしいけれど、相手をするどころではなかったので、まだ話を聞けていなかった。
「でも、私との子じゃなくて誰でもよかったのかもしれないわ。産んだら子供だけ取り上げられて殺されていたかも。」
だって、ずっと眠らされていたのだから、その男にとってブランシェはどうでもよくて子だけを望んでいたのではないかと思う。
「私、誰かに恨まれていたのかしら。」
「恨んでいる女性との子を望むとは思えませんが。」
「……それもそうね。じゃあ、アンゼムが恨まれていたとか?」
アンゼムを苦しめてやろうと私を監禁して妊娠させた?
でもその後は私をどうするつもりだったのだろう。
殺す?
解放する?
監禁したまま一緒に暮らす?
「金髪だし、貴族よね?」
平民に金髪は滅多にいないし、いたら貴族の庶子だと思われる。
それに、カールストン公爵家に入って来て攫うような平民はいないと思うし。
「貴族でしょうねぇ。シャンパンに薬を入れたようですから、使用人に仲間がいたのでしょう。
その辺は、再び調査が行われるでしょうが、もう逃げていそうですねぇ。」
確かに。いつまでもカールストン公爵家にいないと思うわ。
シャンパンを持ってきた使用人の顔なんて、記憶に残ってないし。
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