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15.
フレージュとウィリアムは正式に婚約が解消になった。
ウィリアムのサインがないため、形式上は婚約破棄である。
ウィリアムが気づくまで放っておこうということになった。
跡継ぎではなくなった彼がマリエッタと一緒にいても、もう問題はないから。
妹ナターシャとウィリアムの弟サミュエルは先日、婚約者候補として顔を合わせた。
もちろん、今までも会ったことはあり、お互いの顔は知っていた。
挨拶くらいしかしたことはなかったらしいが、お互いの印象は悪くないようだった。
ナターシャはサミュエルの一歳下。
まだ14歳と13歳の二人は可愛らしいカップルに見えた。
それから少しして、フレージュは兄ローレンスに会ってほしい人がいると言われた。
兄の友人であるなら二歳上。
どんな人なのか、フレージュは少し期待をしていた。
ウィリアムよりもひどい男を兄が紹介するわけがないと信じていたから。
数日後、応接室で待っていたフレージュは、兄が連れてきた人を見て首を傾げた。
「やあ!フレージュ嬢。」
「ごきげんよう、ヘンドリック殿下。殿下は……付き添いの方?」
フレージュはヘンドリック殿下も兄の紹介する人の友人で、付き添うために来たのかと思ったのだ。
とりあえずの顔合わせで、親は同席しないから。
「付き添い、か。なるほど。そう思うか。」
「僕は何も話していませんからね。当然じゃないですか?」
何やら兄がヘンドリック殿下を責めている気がする。
気安い仲なのはわかっているし、ヘンドリック殿下は大らかな人だけど、フレージュにとっては王族という身近に感じられない存在であるため、ここ数回、一緒に昼食をとるようになってもまだ緊張はあった。
「フレージュ嬢のお見合いの相手は私だよ。」
「え……?でも、サーラ様がいらっしゃいますよね?」
婚約者のいるヘンドリック殿下がどうしてフレージュのお見合い相手になるのだろうか。
からかわれているとか?
「確かに、サーラ嬢はまだ私の婚約者だ。だが、もうじき解消になる。このことは少し前からもう決まっているんだ。」
これから話すことは内密に、と言われた。
「サーラ嬢の兄が問題を起こした。薬物摂取だ。彼の奇行はある夜会で人目に触れたため隠せない。
今は治療中で、命に別状はないが、彼に家を継がせるわけにはいかなくなり、サーラ嬢が継ぐ。」
なるほど。
ヘンドリック殿下はサーラを迎えることができなくなったということらしい。
王太子アルベール殿下に子供が二人できるまでは、ヘンドリック殿下も王族のままでいなければならない。
二人産まれれば、臣籍降下もできるようになる。
つまり、フランチェスカが二人産まなければ、ヘンドリック殿下の子も王族として王宮で過ごすことになり、それはもちろんヘンドリック殿下と妃も王族として扱われることになる。
実家の伯爵家を継がなければならなくなったサーラには無理なことで、しかも身内が薬物を摂取していたとなると王族に迎え入れるのも難しくなる。
結婚後ならまだしも、結婚前であるため、婚約解消は決定事項なのだ。
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