自国から去りたかったので、怪しい求婚だけど受けました。

しゃーりん

文字の大きさ
3 / 21

3.

 
 
離れた場所で座っていたもう一人の隣国の男性、ジムニーが言った。


「オルビス、お前、怪しすぎる。会ったばかりの令嬢に求婚すると引かれるのは当然だ。
 アミディア嬢、一応言っておくけど今まで誰かに求婚なんてしたことはないよ、オルビスは。」


いや、そう言われてもあなたの言葉を信用してもいいかもわからないから怪しいままだし。


「そうか。俺の言葉も怪しいよな。初対面だしな。
 えっとな、オルビスは王女の婚約者だったんだ。
 だけど、王女は学園で他国の男を好きになった。
 オルビスと王女はお互いに思い合っていたわけじゃないから、陛下も許した。
 それで嫁いで行ったのが2年前。それ以降、オルビスに婚約者はいない。」


そう言えば聞いたことはあった。
隣国の王女様は愛する人を見つけて嫁いだ。
兄のような存在だった仮の婚約者であった公爵令息も祝福した、と。仮だったの?って疑問に思った。
その婚約者がこのオルビスだったということか。

怪しさは少し減った。けど、怪しい人には変わりない。


「何が知りたい?前向きに結婚を考えてくれるのであれば可能な限り答える。
 あぁ、そう言えば伯父とは誰だ?」

「パニーノ侯爵です。」

「なるほどな。だからその髪色か。ランスロットも友人だ。」


ランスロットとは従兄。従兄の友人なら……と怪しさがまた少し減った。


「例えば、アミディア嬢がパニーノ侯爵に縁談を頼んだとすれば、最初に打診されるのは私だ。」 


この国でも侯爵令嬢だし伯父も侯爵であるため、独身の公爵令息であるオルビスに縁談を申し込みするのはおかしなことではない。
むしろ、速攻断られることをわかった上で、格上から順に打診するだろう。
つまりここでオルビスの求婚を断っても、アミディアが伯父にオルビス以外の人との縁談を望むと言う前に、先手を打ってオルビスから婚約を打診されてしまえば同じこと。
公爵令息が、他国から侯爵家に身を寄せている侯爵令嬢に求婚。
よほどの理由がない限り、断りづらい。
自国での婚約解消を理由にしても、それでもいいと言われればどうしようもない。

ってことは、積んでる? 

なぜ、アミディアなのかはわからない。何か裏があるかもしれない。
だけど、ここには我が国の王太子殿下もいる。
どんな理由があるのかはわからないけれど、ひどい扱いをされることはないと思う。


「誓っていい加減な求婚ではない。
 自国に恋人もいないし、両親も君ならば認めてくれるはずだ。
 婚約者を選ぼうとしなかった私が求婚した令嬢だからね。
 可能であれば、この国で婚約の許可を得てから国に戻りたい。
 なので、明日の午後までには返事が欲しい。」


婚約者のいない侯爵令嬢のアミディアに、隣国ではあるけれど公爵令息からの結婚の申し込み。

受けないわけにはいかなかった。
怪しいけれど、この国から去るつもりだったから理由としては妥当よね?


「わかりました。求婚をお受けします。」


オルビスはニヤッと笑い、あとの3人はこの場で受けた私に驚いたようだった。






 

あなたにおすすめの小説

兄にいらないと言われたので勝手に幸せになります

毒島醜女
恋愛
モラハラ兄に追い出された先で待っていたのは、甘く幸せな生活でした。 侯爵令嬢ライラ・コーデルは、実家が平民出の聖女ミミを養子に迎えてから実の兄デイヴィッドから冷遇されていた。 家でも学園でも、デビュタントでも、兄はいつもミミを最優先する。 友人である王太子たちと一緒にミミを持ち上げてはライラを貶めている始末だ。 「ミミみたいな可愛い妹が欲しかった」 挙句の果てには兄が婚約を破棄した辺境伯家の元へ代わりに嫁がされることになった。 ベミリオン辺境伯の一家はそんなライラを温かく迎えてくれた。 「あなたの笑顔は、どんな宝石や星よりも綺麗に輝いています!」 兄の元婚約者の弟、ヒューゴは不器用ながらも優しい愛情をライラに与え、甘いお菓子で癒してくれた。 ライラは次第に笑顔を取り戻し、ベミリオン家で幸せになっていく。 王都で聖女が起こした騒動も知らずに……

【本編完結】真実の愛を見つけた? では、婚約を破棄させていただきます

ハリネズミ
恋愛
「王妃は国の母です。私情に流されず、民を導かねばなりません」 「決して感情を表に出してはいけません。常に冷静で、威厳を保つのです」  シャーロット公爵家の令嬢カトリーヌは、 王太子アイクの婚約者として、幼少期から厳しい王妃教育を受けてきた。 全ては幸せな未来と、民の為―――そう自分に言い聞かせて、縛られた生活にも耐えてきた。  しかし、ある夜、アイクの突然の要求で全てが崩壊する。彼は、平民出身のメイドマーサであるを正妃にしたいと言い放った。王太子の身勝手な要求にカトリーヌは絶句する。  アイクも、マーサも、カトリーヌですらまだ知らない。この婚約の破談が、後に国を揺るがすことも、王太子がこれからどんな悲惨な運命なを辿るのかも―――

殿下をくださいな、お姉さま~欲しがり過ぎた妹に、姉が最後に贈ったのは死の呪いだった~

和泉鷹央
恋愛
 忌み子と呼ばれ、幼い頃から実家のなかに閉じ込められたいた少女――コンラッド伯爵の長女オリビア。  彼女は生まれながらにして、ある呪いを受け継いだ魔女だった。  本当ならば死ぬまで屋敷から出ることを許されないオリビアだったが、欲深い国王はその呪いを利用して更に国を豊かにしようと考え、第四王子との婚約を命じる。    この頃からだ。  姉のオリビアに婚約者が出来た頃から、妹のサンドラの様子がおかしくなった。  あれが欲しい、これが欲しいとわがままを言い出したのだ。  それまではとても物わかりのよい子だったのに。  半年後――。  オリビアと婚約者、王太子ジョシュアの結婚式が間近に迫ったある日。  サンドラは呆れたことに、王太子が欲しいと言い出した。  オリビアの我慢はとうとう限界に達してしまい……  最後はハッピーエンドです。  別の投稿サイトでも掲載しています。

婚約者は妹の御下がりでした?~妹に婚約破棄された田舎貴族の奇跡~

tartan321
恋愛
私よりも美しく、そして、貴族社会の華ともいえる妹のローズが、私に紹介してくれた婚約者は、田舎貴族の伯爵、ロンメルだった。 正直言って、公爵家の令嬢である私マリアが田舎貴族と婚約するのは、問題があると思ったが、ロンメルは素朴でいい人間だった。  ところが、このロンメル、単なる田舎貴族ではなくて……。

つかぬことを伺いますが ~伯爵令嬢には当て馬されてる時間はない~

有沢楓花
恋愛
「フランシス、俺はお前との婚約を解消したい!」  魔法学院の大学・魔法医学部に通う伯爵家の令嬢フランシスは、幼馴染で侯爵家の婚約者・ヘクターの度重なるストーキング行為に悩まされていた。  「真実の愛」を実らせるためとかで、高等部時代から度々「恋のスパイス」として当て馬にされてきたのだ。  静かに学生生活を送りたいのに、待ち伏せに尾行、濡れ衣、目の前でのいちゃいちゃ。  忍耐の限界を迎えたフランシスは、ついに反撃に出る。 「本気で婚約解消してくださらないなら、次は法廷でお会いしましょう!」  そして法学部のモブ系男子・レイモンドに、つきまといの証拠を集めて婚約解消をしたいと相談したのだが。 「高貴な血筋なし、特殊設定なし、成績優秀、理想的ですね。……ということで、結婚していただけませんか?」 「……ちょっと意味が分からないんだけど」  しかし、フランシスが医学の道を選んだのは濡れ衣を晴らしたり証拠を集めるためでもあったように、法学部を選び検事を目指していたレイモンドにもまた、特殊設定でなくとも、人には言えない事情があって……。 ※次作『つかぬことを伺いますが ~絵画の乙女は炎上しました~』(8/3公開予定)はミステリー+恋愛となっております。

完璧な妹に全てを奪われた私に微笑んでくれたのは

今川幸乃
恋愛
ファーレン王国の大貴族、エルガルド公爵家には二人の姉妹がいた。 長女セシルは真面目だったが、何をやっても人並ぐらいの出来にしかならなかった。 次女リリーは逆に学問も手習いも容姿も図抜けていた。 リリー、両親、学問の先生などセシルに関わる人たちは皆彼女を「出来損ない」と蔑み、いじめを行う。 そんな時、王太子のクリストフと公爵家の縁談が持ち上がる。 父はリリーを推薦するが、クリストフは「二人に会って判断したい」と言った。 「どうせ会ってもリリーが選ばれる」と思ったセシルだったが、思わぬ方法でクリストフはリリーの本性を見抜くのだった。

魔の森に捨てられた伯爵令嬢は、幸福になって復讐を果たす

三谷朱花*Q−73@文フリ東京5/4
恋愛
 ルーナ・メソフィスは、あの冷たく悲しい日のことを忘れはしない。  ルーナの信じてきた世界そのものが否定された日。  伯爵令嬢としての身分も、温かい我が家も奪われた。そして信じていた人たちも、それが幻想だったのだと知った。  そして、告げられた両親の死の真相。  家督を継ぐために父の異母弟である叔父が、両親の死に関わっていた。そして、メソフィス家の財産を独占するために、ルーナの存在を不要とした。    絶望しかなかった。  涙すら出なかった。人間は本当の絶望の前では涙がでないのだとルーナは初めて知った。  雪が積もる冷たい森の中で、この命が果ててしまった方がよほど幸福だとすら感じていた。  そもそも魔の森と呼ばれ恐れられている森だ。誰の助けも期待はできないし、ここに放置した人間たちは、見たこともない魔獣にルーナが食い殺されるのを期待していた。  ルーナは死を待つしか他になかった。  途切れそうになる意識の中で、ルーナは温かい温もりに包まれた夢を見ていた。  そして、ルーナがその温もりを感じた日。  ルーナ・メソフィス伯爵令嬢は亡くなったと公式に発表された。

前世の記憶がある伯爵令嬢は、妹に籠絡される王太子からの婚約破棄追放を覚悟して体を鍛える。

克全
恋愛
「カクヨム」と「小説家になろう」にも投稿しています。