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しおりを挟む次期アラモンド公爵であるクロードは、今日、ショコルテ公爵令嬢セラフィーネと結婚した。
セラフィーネとは5年前に婚約した。
クロードの前の婚約者が不貞を犯し、婚約破棄となった直後の国王からの打診だった。
セラフィーネの父公爵は王弟であり、国王はセラフィーネの伯父にあたる。
王命のような打診を断るわけにもいかず、婚約を結んだ。
しかし、セラフィーネに会ったのはその日だけで、結婚式が2回目だった。
何度も会おうとしたが会えず、しかも公爵令嬢が社交もせず屋敷から出ない。
…クロードと婚約する13歳まで婚約者がいなかったわけだ。
クロードは学園卒業間近の18歳の時に前の婚約が破棄となり、新たな婚約者の13歳のセラフィーネが18歳になるまで結婚を待つ取り決めだったため、23歳での結婚となった。
この国では女性は16歳から結婚できる。しかし、18歳まで待つのは学園に通うためだと思って納得していたが、セラフィーネは学園に行かなかった。では何故18歳だったのか。…わからなかった。
そして、あっさりと終わった結婚式の後は…初夜である。
クロードはセラフィーネが寝室に現れないのではないかと思っていた。
諦め半分、扉を開けると…セラフィーネはいた。
ホッとしたクロードは、ひとまず優しく話しかけた。
「セラフィーネ、少し君と話がしたい。全然会えなかったから君のことが知りたいんだ。」
「…いえ、旦那様。話は明日からいつでもできます。今日は…初夜です。」
「でも、少しだけ。お酒でも飲む?お茶の方がいいか?」
クロードは飲み物の用意をしようとソファへと向かうが、その隙にセラフィーネは着ていたガウンの紐をとき、扇情的な夜着姿になった。
「っちょっと待て。セラフィーネ?」
初夜用のスケスケで丈の短い夜着でセラフィーネはクロードの前までやってきて、大きな目を潤ませながら上目遣いで言った。
「私では旦那様のお気に召しませんか?」
結婚式でしていた濃いメイクを落としたセラフィーネの素顔はまだ幼さが残って見える。
だが、式の時には気づかなかった胸の膨らみが薄手の夜着を押し上げて谷間がくっきりと見える。
クロードは気がつけば体が熱くソノ気になりつつある。
「本当にいいのか?」
セラフィーネはクロードの胸に抱きついた。
胸の柔らかさを感じ、クロードはセラフィーネの背に腕を回した。
…ああ、撫でまわしたい。既に己の欲望が準備万端になってしまった。彼女は妻だ。問題は…ない。
セラフィーネを優しく撫でつつ首の後ろに片手を回し、顔を上にあげさせると額に口づけた。
顔を離して見つめ合うと自然に唇に吸い寄せられる。
軽い触れ合いから上唇と下唇をそれぞれ食むように変わり、舌で合間を撫でる。
唇が開いたら舌を滑り込ませた。逃げる舌を舐めて絡ませて吸う。
夢中になって口の中をむさぼっていると、セラフィーネが唾液を飲み込んだことに気づいた。
息継ぎが上手くできなかったのだろう。顔が真っ赤だ。…可愛い。
抱き上げてベッドに横たわらせた。
セラフィーネの全身を眺める。夜着は太腿の半分までしか隠していないため、白くて長い綺麗な脚を撫でたくなる。
しかし、それは後だ。先にこの胸が待っている。
「セラフィーネ…」
セラフィーネに跨り、口づけから再開しようとすると、触れる直前で彼女が言った。
「フィーと。フィーと呼んでくださいませんか?」
「フィーか。いいな。では私も名前で呼んでくれないか?」
「クロード様?」
「ああ。」
口づけを再開し、長い初夜が始まった。
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