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しおりを挟むここで父が疑問を口にした。
「ちょっと待ってください。
話を戻しますが、奥様とセラフィーネを連れ去るように依頼したのは前侯爵だけでしょうか。
現侯爵も共謀していたのでは?
二人を連れ去ったというのが気になります。
前侯爵は奥様、現侯爵はセラフィーネが目的だったのでは?
宿にいたのは侯爵たちの代理の依頼人。その者が実行犯から二人が亡くなったことを聞いた。
依頼人が実行犯を始末して、侯爵たちに報告したのでは?だから『聞いた』と。」
「ああ、そうか。貴族が宿にいるのは目立つな。平民の格好をしても気づかれやすい。
あの宿でそんな情報もなかった。代理の依頼人か。
現ナフィン侯爵は、子供を産んだフィルリナには興味が薄れたようだったとセスが言っていた。
11歳のフィルリナ、13歳のアリシア、そして8歳のセラフィーネか。
男を知らないまだ子供を求めているんだな。ナフィン侯爵は。」
アリシアが男を知っていると嘘を吹き込めば助かる?でも醜聞だよな。
それに、リシェルとリディアも危ないじゃないか。髪色を変えるか?
アリシアも5歳の時から色が変わったと思わせればいいんじゃないか?
「ナフィン侯爵の周りに親の代から仕えている者はいないか調べてみる。
代理の依頼人なら、外部の者に依頼するよりも内部の者の方が頼みやすい。
それに、人を買うなら運ぶ人間が必要だ。抵抗しないようにするには眠らせる。
侯爵という身分の者が、自ら抱えて運ぶことはしないだろう。」
「カシュー伯爵とセスに、ナフィン侯爵と一緒に来た者の風貌を確認してみては?
8年前と今回、売買の話の時に侯爵以外の者が側で聞いていたなら、その者が怪しいです。」
後ろ暗い話を一緒に聞く者は、侯爵家に忠実なのだろう。
突破口となるには厳しいかもしれないが…
カシュー伯爵とセスは、侯爵と一緒だった男は護衛だと思うと言った。
8年前も今回も同じ男だった。
50歳くらいでそこそこ体のしっかりした男。
今考えると、侯爵という身分の男が護衛一人しか付いておらず、その男は年配に差し掛かる。
侯爵本人が強ければ別だが、大体二人はいるものだ。戦う者と守る者。
外にいたのかもしれないが、側にいたのはこの男のみ。
無口で無表情、いかにも護衛といった男だ。
二人共、同じようなことを言った。
普段の侯爵は、別の護衛をつけているようだとわかった。
しかし、秘密の屋敷に行くときはこの男だけだ。馬車も家紋がない。
この屋敷を侯爵が訪れた時、いつもと違う動きがあった。
侯爵と護衛が中に入った後、御者が馬車を屋敷の横に置いたまま中に入った。
しばらくすると、護衛が何かがくるまったものを肩に乗せて出てきた。
馬車の馬を外してそれを乗せ、自分も馬に跨って走らせた。
屋敷を監視していた騎士は仲間に合図を送った。
森に入り、何かを投げ捨てて戻ろうとする男を静止させた。
男は剣を握ろうとしたようだが、どうやら置いてきてしまったようだった。
その隙に取り押さえ、投げ捨てたものを確認した。…刺された御者の死体だ。
すぐさま騎士団長と王弟公爵に連絡。
ナフィン侯爵はまだ秘密の屋敷に留まっている。
御者が死亡した現場は屋敷内で、侯爵か護衛が犯人だ。
二人を捕らえる理由ができた。
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