26 / 43
26.
しおりを挟むナフィン侯爵は落ち着いていた。人を殺しても何とも思っていないようだ。
ショコルテ公爵は騎士団長と共に尋問した。
「ラキから全て聞き出した。
13年前の妻と娘の事件、8年前に買うはずだった少女、そして今回の少女。
あなたの目的は珍しい髪色の無垢な少女だった。間違いないか?」
「ええ。」
「何か他に言うことはあるか?」
「いいや?結局3人共、手に入れられなかった。
やっぱり人に手を出すのはよくなかった。物で我慢すべきだった。」
「5年ほど前に、死体を処理したとラキが言っていた。どこの誰だ?」
「あれは…娼婦ですよ。感情が高ぶって首が締まったようでね。」
「二人共?」
「そう、二人共。でも証拠がないですよね?
今回の御者は仕方ありませんが…罰金でいいですか?」
「何を言っている?たった今、自白しただろ?ラキの自白もある。カシュー伯爵の自白もだ。
爵位はく奪で鉱山送りか?」
「証拠はない!」
「3人の少女売買未遂、2人の娼婦殺人、1人の御者殺人。自白と状況証拠で十分だ。」
「…は?横暴だ!殺人は平民じゃないか。売買も未遂だ。」
「私の妻を殺した罪もお前に負ってもらうからな。」
「それは父だ!」
「父親はもういないだろ?だからお前の罪にしてやるよ。公爵夫人殺害ってな。」
「殺せなんて言っていない!」
「言っていなくてもお前たちの指示で妻は死んだ。同罪なんだよ。」
「ははっ…どう足掻こうがもう出られないってことか…ハハハハハ」
ナフィン侯爵はようやく悟ったようだ。狂ったように笑い始めた。
「はは…残念だ。はぁー。…頼みがある。毒で早く死にたい。鉱山なんて冗談じゃない。」
「何故、早く楽にしてもらえると思うんだ?」
「じゃあ、いい話を教えてやるよ。多分、もう誰も知らない王弟公爵様の奥様の母親の話。」
「妻の母親?何でお前が知ってる?」
「父から聞いた話だよ。何故、早くに亡くなったのか。知りたくないか?」
「…別にいい。それを知ったところで今更どうしようもないだろ?」
「つまらないね。…人でなしの夫を持ったせいだよ。
父が言ってたよ。だから、自分と結婚していれば幸せにしてやったのにって。」
「……」
「興味が出てきた?」
「どんな話だろうと、お前とお前の父親も人でなしだ。同類の話など胸糞悪い!」
ショコルテ公爵は、そう言い部屋を出た。
残された騎士団長も部屋を出ようとしたが、ナフィン侯爵が言った。
「話したい気分になってしまったんだ。胸糞悪い話を騎士団長に聞いてもらおう。」
「いや、俺も興味ない。」
「あんたが聞いてくれないなら、次に来た騎士に聞いてもらうよ。」
仕方なく騎士団長は座り直し、話を聞くことにした。
…本当に胸糞悪くなる話で、一番の人でなしは前ナフィン侯爵だった。
192
あなたにおすすめの小説
最強魔術師の歪んだ初恋
黒瀬るい
恋愛
伯爵家の養子であるアリスは親戚のおじさまが大好きだ。
けれどアリスに妹が産まれ、アリスは虐げれるようになる。そのまま成長したアリスは、男爵家のおじさんの元に嫁ぐことになるが、初夜で破瓜の血が流れず……?
旦那様が素敵すぎて困ります
秋風からこ
恋愛
私には重大な秘密があります。実は…大学一のイケメンが旦那様なのです!
ドジで間抜けな奥様×クールでイケメン、だけどヤキモチ妬きな旦那様のいちゃラブストーリー。
冷酷王子と逃げたいのに逃げられなかった婚約者
月下 雪華
恋愛
我が国の第2王子ヴァサン・ジェミレアスは「氷の冷酷王子」と呼ばれている。彼はその渾名の通り誰に対しても無反応で、冷たかった。それは、彼の婚約者であるカトリーヌ・ブローニュにでさえ同じであった。そんな彼の前に現れた常識のない女に心を乱したカトリーヌは婚約者の席から逃げる事を思いつく。だが、それを阻止したのはカトリーヌに何も思っていなさそうなヴァサンで……
誰に対しても冷たい反応を取る王子とそんな彼がずっと好きになれない令嬢の話
【4話完結】 君を愛することはないと、こっちから言ってみた
紬あおい
恋愛
皇女にべったりな護衛騎士の夫。
流行りの「君を愛することはない」と先に言ってやった。
ザマアミロ!はあ、スッキリした。
と思っていたら、夫が溺愛されたがってる…何で!?
私の意地悪な旦那様
柴咲もも
恋愛
わたくし、ヴィルジニア・ヴァレンティーノはこの冬結婚したばかり。旦那様はとても紳士で、初夜には優しく愛してくれました。けれど、プロポーズのときのあの言葉がどうにも気になって仕方がないのです。
――《嗜虐趣味》って、なんですの?
※お嬢様な新妻が性的嗜好に問題ありのイケメン夫に新年早々色々されちゃうお話
※ムーンライトノベルズからの転載です
愛されないと吹っ切れたら騎士の旦那様が豹変しました
蜂蜜あやね
恋愛
隣国オデッセアから嫁いできたマリーは次期公爵レオンの妻となる。初夜は真っ暗闇の中で。
そしてその初夜以降レオンはマリーを1年半もの長い間抱くこともしなかった。
どんなに求めても無視され続ける日々についにマリーの糸はプツリと切れる。
離縁するならレオンの方から、私の方からは離縁は絶対にしない。負けたくない!
夫を諦めて吹っ切れた妻と妻のもう一つの姿に惹かれていく夫の遠回り恋愛(結婚)ストーリー
※本作には、性的行為やそれに準ずる描写、ならびに一部に性加害的・非合意的と受け取れる表現が含まれます。苦手な方はご注意ください。
※ムーンライトノベルズでも投稿している同一作品です。
婚約破棄される令嬢は最後に情けを求め
かべうち右近
恋愛
「婚約を解消しよう」
いつも通りのお茶会で、婚約者のディルク・マイスナーに婚約破棄を申し出られたユーディット。
彼に嫌われていることがわかっていたから、仕方ないと受け入れながらも、ユーディットは最後のお願いをディルクにする。
「私を、抱いてください」
だめでもともとのその申し出を、何とディルクは受け入れてくれて……。
婚約破棄から始まるハピエンの短編です。
この小説はムーンライトノベルズ、アルファポリス同時投稿です。
淡泊早漏王子と嫁き遅れ姫
梅乃なごみ
恋愛
小国の姫・リリィは婚約者の王子が超淡泊で早漏であることに悩んでいた。
それは好きでもない自分を義務感から抱いているからだと気付いたリリィは『超強力な精力剤』を王子に飲ませることに。
飲ませることには成功したものの、思っていたより効果がでてしまって……!?
※この作品は『すなもり共通プロット企画』参加作品であり、提供されたプロットで創作した作品です。
★他サイトからの転載てす★
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる