代理で子を産む彼女の願いごと

しゃーりん

文字の大きさ
30 / 43

30.

しおりを挟む
 
 
ナフィン侯爵家には開示できる範囲での前侯爵と現侯爵の罪を極秘事項として報告した。
誰が狙われていたかということは、秘密だった。
しかし、御者を殺したことは知られた事実であったため、息子に侯爵位が渡った。
秘密の屋敷にあるものは、一応契約書と品物を照合し、契約書がないものは不要だと新侯爵が放棄したため、全部押収した。
騎士団長は、『アンネ様の髪』が気になり屋敷内を探したが見つけられないまま引き渡した。


カシュー伯爵が捕まったことで伯爵が変わるのも公然とした事実だ。
誰が跡を継ぐんだ?遠縁か?降爵して息子か?そういえば姪は嫁いだのか? 
 
フィルリナが11歳当時の当初の願いは、自分が21歳で15歳のアリシアを養育下におく。数年当主になりその間にアリシアに相応しい婚約者を見つけ、18歳になったアリシアの結婚と同時に伯爵位を譲渡するつもりだった。その後、自分は領地管理を手伝いながらひっそりと暮らそう。そう思っていた。

次にセラフィーネの結婚直前の16歳の時にはもう一つ案ができた。
18歳になったアリシアがフィルリナを介さずに伯爵位を継ぐ。
自分はこのままアラモンド公爵家でセラフィーネの代理を務める。

アラモンド公爵家に来た当初はずっと願ってきた最初の願いが強かった。
セラフィーネの代わりに公爵夫人の仕事を覚えても5年間だけという思いがあった。
でも、リシェルを産みリディアを産みクロードに抱かれ続けて、もう一つの案を願うようになった。
セラフィーネの代理でいいから、このままここにいたい。と。

予定よりも早く問題が解決したことで、二番目の願いを叶えることはできなくなった。
クロードは行きたいところがあれば連れて行くと言ってくれた。嬉しかった。
でも、私が心の底で望んでいた言葉は一度も言われたことがなかった。
結局はそれが答えだろう。…私は抱くことを許された身近にいる専属娼婦、又は愛人。

しかし、心残りがアラモンド公爵家に沢山できてしまって心が揺れる。
でもフィルリナはアラモンド公爵家の者ではない。何の関わりもあってはならないのだ。
子供たちの母親はセラフィーネ、そのセラフィーネの夫がクロードだ。
フィルリナの居場所はない。
子供たちにはそのうち会える?昔お世話した侍女として?
あの子たちに他人行儀に対応されると私は泣いてしまうかもしれない。
それでも成長を見守るために会いたくなる?遠くから見守る方がいいのかな? 


明日、王城へ向かい授爵することになった。
当然、フィルリナとアリシアの籍は復籍する。
王都の屋敷にも顔を出す。誰も顔を知っている人はいないだろう。
アリシアはそこから学園に通うことになるかな。おしゃれに詳しい侍女も必要ね。
領地は上手く管理されている。でも伯爵としてグルっと挨拶回りが必要ね。
屋敷は随分変わってしまったかな?思い出の品があるといいけど。
両親のお墓参りに行かなきゃね。ようやく帰ってこれたよって。
アリシアが継ぐまではあと5年間、いやもうほぼ4年になってる。
伯爵として頑張らなきゃね。








 
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

唯一の味方だった婚約者に裏切られ失意の底で顔も知らぬ相手に身を任せた結果溺愛されました

ララ
恋愛
侯爵家の嫡女として生まれた私は恵まれていた。優しい両親や信頼できる使用人、領民たちに囲まれて。 けれどその幸せは唐突に終わる。 両親が死んでから何もかもが変わってしまった。 叔父を名乗る家族に騙され、奪われた。 今では使用人以下の生活を強いられている。そんな中で唯一の味方だった婚約者にまで裏切られる。 どうして?ーーどうしてこんなことに‥‥?? もう嫌ーー

【4話完結】 君を愛することはないと、こっちから言ってみた

紬あおい
恋愛
皇女にべったりな護衛騎士の夫。 流行りの「君を愛することはない」と先に言ってやった。 ザマアミロ!はあ、スッキリした。 と思っていたら、夫が溺愛されたがってる…何で!?

最強魔術師の歪んだ初恋

黒瀬るい
恋愛
伯爵家の養子であるアリスは親戚のおじさまが大好きだ。 けれどアリスに妹が産まれ、アリスは虐げれるようになる。そのまま成長したアリスは、男爵家のおじさんの元に嫁ぐことになるが、初夜で破瓜の血が流れず……?

贖罪の花嫁はいつわりの婚姻に溺れる

マチバリ
恋愛
 貴族令嬢エステルは姉の婚約者を誘惑したという冤罪で修道院に行くことになっていたが、突然ある男の花嫁になり子供を産めと命令されてしまう。夫となる男は稀有な魔力と尊い血統を持ちながらも辺境の屋敷で孤独に暮らす魔法使いアンデリック。  数奇な運命で結婚する事になった二人が呪いをとくように幸せになる物語。 書籍化作業にあたり本編を非公開にしました。

私の意地悪な旦那様

柴咲もも
恋愛
わたくし、ヴィルジニア・ヴァレンティーノはこの冬結婚したばかり。旦那様はとても紳士で、初夜には優しく愛してくれました。けれど、プロポーズのときのあの言葉がどうにも気になって仕方がないのです。 ――《嗜虐趣味》って、なんですの? ※お嬢様な新妻が性的嗜好に問題ありのイケメン夫に新年早々色々されちゃうお話 ※ムーンライトノベルズからの転載です

旦那様が素敵すぎて困ります

秋風からこ
恋愛
私には重大な秘密があります。実は…大学一のイケメンが旦那様なのです! ドジで間抜けな奥様×クールでイケメン、だけどヤキモチ妬きな旦那様のいちゃラブストーリー。

束縛婚

水無瀬雨音
恋愛
幼なじみの優しい伯爵子息、ウィルフレッドと婚約している男爵令嬢ベルティーユは、結婚を控え幸せだった。ところが社交界デビューの日、ウィルフレッドをライバル視している辺境伯のオースティンに出会う。翌日ベルティーユの屋敷を訪れたオースティンは、彼女を手に入れようと画策し……。 清白妙様、砂月美乃様の「最愛アンソロ」に参加しています。

辺境伯と幼妻の秘め事

睡眠不足
恋愛
 父に虐げられていた23歳下のジュリアを守るため、形だけ娶った辺境伯のニコラス。それから5年近くが経過し、ジュリアは美しい女性に成長した。そんなある日、ニコラスはジュリアから本当の妻にしてほしいと迫られる。  途中まで書いていた話のストックが無くなったので、本来書きたかったヒロインが成長した後の話であるこちらを上げさせてもらいます。 *元の話を読まなくても全く問題ありません。 *15歳で成人となる世界です。 *異世界な上にヒーローは人外の血を引いています。 *なかなか本番にいきません

処理中です...