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しおりを挟むクロードはその夜、衝撃を受けた。
「明日?そのまま戻って来ない?」
「そうなのよ。フィーちゃんがそうしたいって。
授爵後に王都にある伯爵家の屋敷に向かうのですって。
いろいろ整えたら、領地にも行きたいからって。
伯爵様ですものね。いくら管理人がいても執務はたくさんあるものね。
寂しくなるわ。」
「…フィーは今どこに?」
「子供たちのところよ。しばらく会えなくなるから…」
クロードは慌てて子供部屋に走った。
扉をノックして開けると、リシェルが手を伸ばして近づいてきた。
「お父しゃま!」
抱き上げて腕に乗せ、額に口づける。
こんな天使のような可愛い子を置いて行くのか?
なぜだ?わかってる。仕方がないことだ。でも…
「クロード様、お帰りなさいませ。」
「ああ。…フィー。ただいま。」
…何を言ったらいいのかわからない。
晩餐は久しぶりにセラフィーネも一緒だった。
「フィルリナが明日の授爵後には戻らないと聞いて、私もお話があります。
伯父様とお父様がようやく認めて下さいましたので、一年以内には修道院に入ります。
『心無い言葉に深く傷つき療養中に神に救いを求めた』との筋書きです。
幼い子供たちを残してのことに公爵家と言えど多少は批判もありましょう。
払拭するために、クロード様には二年後くらいを目途に再婚をお勧めします。」
みんなで呆気に取られた。
「セラフィーネ様…」
「フィルリナ、今までありがとう。あなたとアリシアのお陰でこの9年間生きてこられたわ。
あなたたちがいなければ、お母様が救って下さったこの命を粗末にしてしまったかもしれない。
でも、やはりこの貴族社会で私は生きていけない。心穏やかに神にお仕えしたいの。
いつまでもあなたたちは私の妹よ。それは変わらないわ。」
「こちらこそ、ありがとうございました。
近いうちにアリシアにも会っていただけますか?
お義父様、お義母様、こちらにアリシアを呼んでもよろしいでしょうか?」
「ああ、もちろん。いつでも呼ぶといい。寂しくなるな。
フィルリナ。子供たちに会いたくなったらいつでも言いなさい。
この公爵邸では無理でも、出先でも会える。」
「そうよ。あなたは、セラさんの侍女をしていたことになってるんだから。
アラモンド公爵家にもショコルテ公爵家にも知り合いがいておかしくないのよ。」
ドンドン話が進んでいく。俺は一人取り残されたようだ。
修道院に入るから離婚するってことか。そして、子供たちのために再婚しろと?…誰と?
公爵邸でフィルリナに会うのが無理?そうか、単なる侍女だった彼女が来るのは変か。
セラフィーネに会う理由だと変なのか?伯爵が公爵家に何度も来るのは変か。
公爵家と知り合いでも当たり前なんだ。だが…フィーとは呼べないな。何て呼べばいいんだ?
…やっぱり何を言ったらいいのかわからない。
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