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33.
しおりを挟むフィルリナがいない。…そのことにまだ慣れない。
リシェルも『フィーちゃんは?』と言ってる。いつの間にか母と同じ呼び方をしていた。
リディアもまだよくわかっていないはずなのに、フィルリナを探しているようだ。
夜、ベッドに入ってもなかなか寝つけない。
4年近く、ずっと側にあった温もりがない。
ずっとフィルリナを抱いていたせいか?愛人を作ればいいのか?
…ダメだ。セラフィーネが妻でいる間に愛人を持ったり娼館に行けば、公爵家も子供たちも傷つく。
それに、俺は他の女性で満足できるだろうか。
『入れて出す』それは誰が相手でもできるだろう。単なる処理になりそうだが。
フィルリナがいない日常が始まり、数か月が過ぎた。
「クロード?あなた寝不足なの?」
「…まぁ、少し。」
「いつまでも情けないわねぇ。
そう言えば、フィーちゃんがもうすぐ領地から王都に来るわね。
こっそり会う約束はしてないの?」
「…は?」
「あら?王都に来るのは内緒だった?」
「…母上は何故知っているのですか?」
「お手紙に書いてあったわ。あなた宛の手紙には書かなかったのね。」
「手紙?フィーから手紙が来ているのですか?」
「え?あなたに来てないの?
今までフィーちゃんのことを聞かないから手紙を貰ってるのだと思っていたのだけれど。」
「クロード、まさかお前、フィルリナと何の約束もしていないとか言わないよな?」
「約束?」
両親が顔を見合わせてから、俺を見た。
「お前、フィルリナのことをどう思ってるんだ?」
「どうって…子供たちの実母?」
「…そうか。お前は阿呆だったのか。それとも私たちが勘違いをしていたか。」
「勘違い?」
「お前の言動をこの4年間見てて、てっきり…
いや、フィルリナはお前の気持ちを理解していたということだな。
だから近況報告は私たちだけなのか。
わかった。お前にその気がないのなら、私たちの思い込みだった。」
「こっちはさっぱりわからない。思い込みって何を?」
「お前がフィルリナのことを愛しているのだと思っていたんだ。
おそらく、セラフィーネもそう思っているはずだ。
アリシアが伯爵家を継げるようになれば、お前がフィルリナと再婚できると。
離婚してから再婚するまでが短すぎてもよくない。
だから離婚を一年ほど待って、その後二人が交際を始める。
半年ほど経ってから婚約する。更に半年後くらいに再婚。そう考えてくれたのだろう。
早めに離婚すると、お前にも縁談が舞い込むだろうから。」
「え?俺がフィルリナを?」
「そういう感情ではなかったということだな。
フィルリナはいい子だし、子供たちの実母だから私たちも期待してしまったな。
お前もフィルリナもそれぞれ幸せになる道を探せばいい。
再婚するなら子供たちを大切にしてくれる人を選べよ。
自分の子だけを可愛がって前妻の子を蔑ろにしないように。
フィルリナもアリシアや領地のことばかりじゃなくて、良い出会いがあればいいな。」
またしてもフィルリナのことに関してだけはポンコツの頭は、言われたことを理解するのに時間がかかった。
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