代理で子を産む彼女の願いごと

しゃーりん

文字の大きさ
39 / 43

39.

しおりを挟む
 
 
ショコルテ公爵も立ち会いの元、アリシアとジェフリーの婚約は結ばれた。

「一応、お伝えしておきますが、アリシアの子は女の子の可能性が高いです。女系ですので。」

これに、ジェフリーの母ベークド侯爵夫人が答えた。

「まあ!それは嬉しいわ。長男も次男も子供が男ばかりで。
 あら?うちは男系なのかしら?ふふ。楽しみが増えるわね。」

アリシアとジェフリーが真っ赤になり、初々しい二人にみんなで笑った。


ショコルテ公爵がベークド家に言った。

「アリシアはあと1年で16歳、その時に仮継承を行うことは既に国王も承知しています。
 その後、フィルリナは結婚する気がないので領地で過ごすと説明していましたね。
 ですが実は、アリシアが16歳になると結婚することになりました。
 まだ正式に婚約はしていないので極秘でお願いします。」

「そうなのですね。おめでとうございます。」
 
「ありがとうございます。
 そういうことですので、ジェフリー様、1年後には全て二人に任せることになります。
 よろしくお願いしますね。」

「わかりました。急に重圧ですね…」

「大丈夫です。前伯爵はサインしかしませんでしたが、領地は正常に回っていました。」
 
みんなで大笑いした。優秀すぎる管理人のお陰だと。







騎士団長がラキに6年前の遺体はどこから運びだしたかを聞くと、敷地内の小さな別宅だった。
初めはそこに収集した物を集めていたそうだ。
物が増え、更に牢獄部屋を作るために秘密の屋敷を買ったそうだ。
中の物を全部移し終えた後、何年か経って現ナフィン侯爵がよく使うようになったそうだ。
裏手からこっそり女性を連れ込んでいるのを見たことがあり、遺体遺棄を指示したのは前侯爵だったが、殺したのは息子なのかもしれないと思ったらしい。


ラキから聞いたことを騎士団長はショコルテ公爵に話した。
 
「クララ夫人は、失踪したどちらかの令嬢が婚約者だった夫と一緒にいる所を見たのでは?
 それで失踪にかかわっていると思っているか、問い詰めて逆に脅されたとか。」

「どっちの令嬢が先に失踪した?」

「えーっと、1学年下の男爵令嬢ですね。」

「そうか。その令嬢と侯爵には接点は?」

「調書には名前はありません。人前で会わなければ誰からも名前はあがらないでしょう。」

「クララ夫人に聞くしかないってことか。」

「侯爵邸で聞くのは、難しいですかね?侯爵に知られずに呼び出す方法は…」

「茶会か?あるいは、実家に呼び出してもらうか?」

「実家に孫を連れて会いに来いとでも言わせましょうか。」

「そうだな。」



クララ夫人の実家の伯爵家に詳しい事情を誤魔化しながらも呼び出してもらえた。
そして、約束の日。娘とやってきたクララ夫人は我々を見て驚いた。

「クララ、王弟公爵様と騎士団長殿がお前に聞きたいことがあるそうだ。」

二人の前に座ったクララは目線を下げたまま震えている。

「クララ夫人、君に聞きたいことがあるんだが…そんなにビクつかなくても。
 何かやましいのか?」

騎士団長の問いかけにクララは震えるばかりだ。

「この間の夜会…」

クララは目をきつく閉じて肩をすくめた。

「…そんなに臆病なのに、よく荷物検査をすり抜けられたな。」

「6年前の友人の失踪…」

そこまで言うと、クララは目を見開いて固まった。

「…そんなんじゃもう限界だろ?侯爵の前で普通に過ごせる?
 奴は捕まるべきだ。そう思うだろ?脅されてるのか?」

「……妹と……娘……」

「君が証言すれば、奴をすぐに捕まえる。だから大丈夫だ。」


ようやくクララは、髪の話と失踪の話を語りだした。



 

  
 
 
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

贖罪の花嫁はいつわりの婚姻に溺れる

マチバリ
恋愛
 貴族令嬢エステルは姉の婚約者を誘惑したという冤罪で修道院に行くことになっていたが、突然ある男の花嫁になり子供を産めと命令されてしまう。夫となる男は稀有な魔力と尊い血統を持ちながらも辺境の屋敷で孤独に暮らす魔法使いアンデリック。  数奇な運命で結婚する事になった二人が呪いをとくように幸せになる物語。 書籍化作業にあたり本編を非公開にしました。

唯一の味方だった婚約者に裏切られ失意の底で顔も知らぬ相手に身を任せた結果溺愛されました

ララ
恋愛
侯爵家の嫡女として生まれた私は恵まれていた。優しい両親や信頼できる使用人、領民たちに囲まれて。 けれどその幸せは唐突に終わる。 両親が死んでから何もかもが変わってしまった。 叔父を名乗る家族に騙され、奪われた。 今では使用人以下の生活を強いられている。そんな中で唯一の味方だった婚約者にまで裏切られる。 どうして?ーーどうしてこんなことに‥‥?? もう嫌ーー

【4話完結】 君を愛することはないと、こっちから言ってみた

紬あおい
恋愛
皇女にべったりな護衛騎士の夫。 流行りの「君を愛することはない」と先に言ってやった。 ザマアミロ!はあ、スッキリした。 と思っていたら、夫が溺愛されたがってる…何で!?

私の意地悪な旦那様

柴咲もも
恋愛
わたくし、ヴィルジニア・ヴァレンティーノはこの冬結婚したばかり。旦那様はとても紳士で、初夜には優しく愛してくれました。けれど、プロポーズのときのあの言葉がどうにも気になって仕方がないのです。 ――《嗜虐趣味》って、なんですの? ※お嬢様な新妻が性的嗜好に問題ありのイケメン夫に新年早々色々されちゃうお話 ※ムーンライトノベルズからの転載です

初恋をこじらせた騎士軍師は、愛妻を偏愛する ~有能な頭脳が愛妻には働きません!~

如月あこ
恋愛
 宮廷使用人のメリアは男好きのする体型のせいで、日頃から貴族男性に絡まれることが多く、自分の身体を嫌っていた。  ある夜、悪辣で有名な貴族の男に王城の庭園へ追い込まれて、絶体絶命のピンチに陥る。  懸命に守ってきた純潔がついに散らされてしまう! と、恐怖に駆られるメリアを助けたのは『騎士軍師』という特別な階級を与えられている、策士として有名な男ゲオルグだった。  メリアはゲオルグの提案で、大切な人たちを守るために、彼と契約結婚をすることになるが――。    騎士軍師(40歳)×宮廷使用人(22歳)  ひたすら不器用で素直な二人の、両片想いむずむずストーリー。 ※ヒロインは、むちっとした体型(太っているわけではないが、本人は太っていると思い込んでいる)

殿下、今回も遠慮申し上げます

cyaru
恋愛
結婚目前で婚約を解消されてしまった侯爵令嬢ヴィオレッタ。 相手は平民で既に子もいると言われ、その上「側妃となって公務をしてくれ」と微笑まれる。 静かに怒り沈黙をするヴィオレッタ。反対に日を追うごとに窮地に追い込まれる王子レオン。 側近も去り、資金も尽き、事も有ろうか恋人の教育をヴィオレッタに命令をするのだった。 前半は一度目の人生です。 ※作品の都合上、うわぁと思うようなシーンがございます。 ※作者都合のご都合主義です。 ※リアルで似たようなものが出てくると思いますが気のせいです。 ※架空のお話です。現実世界の話ではありません。 ※爵位や言葉使いなど現実世界、他の作者さんの作品とは異なります(似てるモノ、同じものもあります) ※誤字脱字結構多い作者です(ごめんなさい)コメント欄より教えて頂けると非常に助かります。

十歳の花嫁

アキナヌカ
恋愛
アルフは王太子だった、二十五歳の彼は花嫁を探していた。最初は私の姉が花嫁になると思っていたのに、彼が選んだのは十歳の私だった。彼の私に対する執着はおかしかった。

片想いの相手と二人、深夜、狭い部屋。何も起きないはずはなく

おりの まるる
恋愛
ユディットは片想いしている室長が、再婚すると言う噂を聞いて、情緒不安定な日々を過ごしていた。 そんなある日、怖い噂話が尽きない古い教会を改装して使っている書庫で、仕事を終えるとすっかり夜になっていた。 夕方からの大雨で研究棟へ帰れなくなり、途方に暮れていた。 そんな彼女を室長が迎えに来てくれたのだが、トラブルに見舞われ、二人っきりで夜を過ごすことになる。 全4話です。

処理中です...