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しおりを挟むマデリーンと結婚した2日後、家に驚くべきものが届いた。
単なる手紙なのだが、その手紙の差出人があのエレンの父であるハムルド公爵からだったのだ。
「……父上、これって。」
「読まなくても中身がわかるな。フォレスターの情報に感謝だ。」
全くだ。フォレスターから聞いていなければ、マデリーンとはまだ結婚していなかった。
明日辺りに食事にでも行く約束をしていて手遅れになっていただろう。
父が封を開けた。
「……公爵家由縁の令嬢とアークライトの顔合わせを希望すると書いてある。さすがの公爵家の調査員も一昨日に出した婚姻届のことまで後追い調査をしなかったようだな。」
アークライトについての調査は一昨日以前に終わっていたのだろう。
他の候補者も出揃ったところで、アークライトだけに送ってきたのか、他の候補者にも送っているのかは定かではないが。
「既に婚姻届を出し終えた後に無関係の者が口出しすることはマナー違反だ。公爵には他を当たってもらうよう返信しておく。」
「お願いします。……ギリギリでしたね。」
「ああ。公爵令嬢には悪いが気性が激しいのも浪費が激しいのもうちはご免だからな。」
アークライトも、エレンが自分のことを傲慢だとわかっていない素振りや、自分の金銭感覚がいかにおかしいかわかっていないことや、自分のために周りは動くものだと自己中心的な考えをしていたことは目の当たりにしていたが、さすがに夫の浮気相手にナイフを向けたと聞いたら近寄りたくもない。
夫婦喧嘩をすれば命の危険を伴うかもしれないなんて冗談じゃない。
浮気相手は夫の母の侍女をしていたと聞いたが、傲慢な嫁に嫌気が差した母親が自分の息子に侍女を計画的にあてがったのではないかと思っている。
エレンは妊娠できないのだろうか、それとも意図的に妊娠しないように仕向けられていたのだろうか。
いずれにせよ、26歳になったエレンはお払い箱となったのだろう。
エレンが自分の生活水準に満足しながら、しかも、貴族として輝いたままいられる嫁ぎ先は見つかるだろうか。
いや、ないだろう。
エレンの弟夫婦が生涯エレンの面倒を見てくれることを願う。
「マデリーンが淑女教育を受けていないと知った時は驚いたが、そんな程度はコレに比べると可愛いものだ。」
コレと公爵からの手紙を指して父は言った。
「確かに、淑女教育を受けているはずのエレン嬢はとんでもない令嬢ですからね。
あぁ、そう言えば、マデリーンはメイドとして掃除をしていただけではなく領地経営の仕事も手伝わされていたようです。」
「……ランクス伯爵の指示ではなく?」
「どうやらある事務官の仕事を丸々請け負っていたようですね。その男は屋敷の使用人の恋人だったようです。」
「ということは、その男も逃げた可能性があるな。……ランクス伯爵は後始末が大変だろうな。」
「そうでしょうね。ですのでマデリーンは思った以上に知識はありそうです。」
「そのようだな。5歳から放置されていれば、文字の読み書きすら危うかった可能性もある。8歳までいてくれた侍女のお陰だろう。だが、独学で頑張ったのだろうな。」
そうだろう。毎年領地に来る父親が違和感を抱くことがなかったということは、知識も成長していたに違いないのだから。
「母上は楽しそうでしたね。シェリーも。」
昨日から始まった淑女教育は、シェリーと同じような基礎から始まったようだが仲良くなりつつ学びつつでマデリーンもシェリーも会話が弾んだらしい。
アークライトもマデリーンとの時間を取ったが、確実に母や子供たちとの仲のほうが先を進んでいる気がした。
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