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しおりを挟む母が初夜を2か月後と言ったことに、マデリーンは反応した。
「2か月後、私、20歳になります。」
「あら。ちょうどいいわね。その日にしたら?」
母に初夜の日を決められるのはどうかと思うが、よく考えれば結婚式の日=初夜の日がほとんどで、どの夫婦もその夜に結ばれるのだと周りは思っているのだ。
自分たちから、『今日、初夜だから』なんて使用人たちに部屋の準備してもらうのもどうかと思うので、マデリーンの誕生日が初夜だと決まっていると動きやすいだろう。
「そうしようか、マデリーン。」
アークライトはマデリーンの表情を伺いながら聞いた。
「はい。よろしくお願いします。」
よかった。マデリーンははにかみながら受け入れてくれた。
子供を作らないから夜の夫婦生活もないと思っていたと言われる可能性もあったからだ。
マデリーンがそう望むのであれば仕方がないが、その時は一夜の遊びくらいは許してもらうつもりだった。
性欲のある男としては、やはりたまには女性の体に触れたくなるから。
妻の不貞で別れたくせに、自分勝手だとは思う。
だが、許可があるのとないのとでは大違いだろう?
それに、妻になったマデリーンが体を許してくれるのであれば、誘われても応じる気は全くないのだから。
マデリーンが子供たちに会いたいと言うので、2人を呼んでもらった。
「疲れているだろう?慌てなくてもいいのに。」
「大丈夫です。昨日の宿はいいベッドでしたので快適でした。」
その言葉で、領地の屋敷のベッドが質素なものであったということがわかった。
ランクス伯爵も娘のベッドまで覗くことはない。
部屋の場所を変えなかったのは、伯爵が娘の部屋を訪れる可能性があったからだろう。
部屋の掃除はマデリーン本人がやるので、使用人たちはどこでもよかったのだろう。金になりそうなものは奪った後なのだから。
やがて、シェリーとモートンがやってきた。
彼らはマデリーンを見て、目をパチパチさせた後、アークライトを見た。
「シェリー、モートン、お前たちのお母様になってくれる人だ。」
「お父様のお嫁さんになったの?」
シェリーが聞いてきた。前に説明していたので理解しているのだろう。
「そうだ。お父様の妻で、お前たちのお母様になった。仲良くなれるかな?」
シェリーはどこか期待を込めた目でマデリーンに向き合った。
「はじめまして。シェリーと申します。」
シェリーは自分から挨拶をした。……子供の成長は早いな。
「はじめまして。私はマデリーンと言います。シェリーと呼んでいいかしら?仲良くしてね。」
「ぼく、モートン。」
シェリーがマデリーンと話しているのを見て、モートンも自分からマデリーンに寄って行った。
「モートンも仲良くしてね。」
「いっしょにあそんでくれる?」
「ええ。もちろんよ。」
モートンはマデリーンを遊び相手と勘違いしているかもしれない。
この子には実母の記憶など残っていないだろうから、母がどういう存在なのかもわからないだろう。
まぁ、シェリーにも記憶に残っているような母親ではなかったかもしれないので、アレは忘れていい存在だとアークライトは思っている。
マデリーンは淑女教育を受けていないことで、ほぼ平民で生きてきた感覚なのだろう。
どこか作ったところのある貴族令嬢の笑顔よりも、マデリーンの笑顔は子供たちに親しみを感じさせるようだ。
あっという間にマデリーンと子供たちは仲良くなり、さっき自分が呼んで嬉しそうだった『お義母様』と言う言葉を今度は自分が子供たちから呼ばれて、またまた嬉しそうな顔をしていた。
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